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読みが外れて非常事態宣言&陸軍出動

 取材というのは各局・各紙が競い合いながら我先にとネタを追いかけているように見えるが、実はそうでもない。いったん事件事故が起きれば他局・他紙との馴れ合いなどあり得ないが、普段はいろいろ情報交換している。タイの一連の政情不安の取材でもそうだった。特に2009年の取材では、コラボ相手がいた。こちらは日本語情報紙の発行、相手は日本語ラジオの放送。どちらかが現場に出れば、もう一方に取材内容を提供していた。

 タイ人なら必ず休暇を取る、ソンクラーン(タイ正月、水かけ祭り)5連休の初日、4月11日。このときもコラボ相手と情報を共有して動いていた(つもりだった)。しかし、タイ人なら必ず休暇を取るという読みが外れ、騒ぎが起きた。読みが外れた、ではない。貴方たちタイ人はソンクラーンの時期に騒ぐな! と言いたいのだ。貴方たちは好きでやっているが、こちらはずっと付き合わされて休みも取れないのだ。

 「どこにいます?」
コラボ相手が電話してきた。こちら、タイ人の連れ合いが実家の北部ピッサヌロークに戻るということで一緒に里帰り、地方を運転中だった。
「どうするんすか?」
どうすると聴かれても、今さら引き返すにはそれなりの決断がいる。おまけにバンコクではなく、ビーチリゾートで知られた東部チョンブリー県パッタヤー市、赤シャツがアセアン会議の会場となっているホテルに乱入したという。バンコクから車を飛ばしても1時間以上はかかる。現地に着いてどこに車を停める? と、それだけ考えても面倒だし、事態はすでに各国要人が会場からヘリコプターで脱出、非常事態宣言の発令にまで発展している。
「もう遅いよ」
と返事。コラボ相手は呆れていたものの、そういう本人もバンコクでだらけていて、現地に行く気力はなさそうだった。

強制排除に乗り出した陸軍部隊に空きビンを投げる赤シャツ

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