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金が続けばデモも続く

 デモがどこで行われ、参加者が何を主張し、治安部隊といつ衝突した、といった報道は日本語メディアで詳しくなされるが、なぜ若者らが主役なのかという根本的な解説はない。「民主化への覚醒」などという大義名分でごまかしているのが常だ。そもそも若者らが改正を求める憲法は、2016年の国民投票で(新憲法案として)61%の賛成を得ており、大の大人が今になって反対を唱えるには少々無理がある。今回の一連のデモでは、「当時は年齢的に投票できなかった若者が立ち上がった」というシナリオが前面に立つ。リベラルなイメージのタナートーン氏は若者からの支持が強固と評されるが、一部のタイ人は逆の見方をして「学生を中心とする若者の後ろに彼がいる」とする。その後ろにはもちろんタクシン元首相だ。実際、タクシン元首相を支持して暴動を引き起こした「反独裁民主戦線(UDD)」(通称「赤シャツ」)もデモに合流。「学生デモ」と呼ぶには大人が多すぎる。

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