撃たれて死んだのは「お前じゃない」
撃ち合いが起きたというコークウア交差点に向かう。大通りのラーチャダムヌン・クラーン通りは騒ぎを聞いて駆け付けてきた赤シャツメンバーで芋洗い状態、プラスメーン通りという道にそれて先に進む。するとこちらは赤シャツによるバリケードで通行止め、数十メートル向こうの交差点では陸軍兵士が横一列で並び、こちらを警戒していた。
バリケードにとどまって様子を伺う。5分10分経ったころだろうか、いきなり銃を連射する音が聞こえてきて、横一列に並んだ兵士がバラバラと態勢を崩した。赤シャツは軍が引き揚げたと勘違いして歓声を挙げたがそうではなく、兵士たちは左側からいきなり銃撃を受けたようだった。こちからだと交差点を左折した方向、すなわち民主記念塔から撃たれている。
一瞬歓声を挙げた赤シャツも、何が起こったか分からずに静まりかえる。陸軍兵士はこちら側の赤シャツそっちのけで、民主記念塔の方向に銃を撃ち返している。前方から兵士に撃たれ、後方から赤シャツに攻撃されるのが怖かったが、ここにとどまっていられない。バリケードを乗り越えて兵士たちの方に向かって走る。撃ち合っている相手はやはり、民主記念塔の周辺を封鎖していた赤シャツだった。この現場、おばさんの炊き出しを断り、もう1人のおばさんから取材しろと怒られていなかったら、危うく外していた。
身を隠して赤シャツ側を伺う陸軍兵士
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