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ファインダー内に見えたゴム弾発砲、直後に太腿激痛

 労働省の規模は大きく、デモ隊が集結する道路はその敷地に沿って数百メートル伸びている。若者が死んだ場所でウロチョロするのがしんどくなり、奥に100メートルほど進んでみた。

 前方に知り合いの日本人がいる。タイで騒ぎがあるたびに日本から飛んでくる、フリーのカメラマンだった。知り合いではあるが実際に現場で会うのは初めて。そして彼、写真はそこそこ撮っているらしいが売るのが下手。

 「あっ、おはようございます」。
彼、一応あいさつ。その後、
「この現場、危ないですよ。気を付けてくださいね」。
場数も実力も、彼よりこちらの方が上だと思うのだが、取り敢えず頷いておく。

 この日、デモ隊と警官隊は双方で死傷者を出すほどやり合っており、確かに危なかった。警官隊は催涙弾とゴム弾を容赦なく撃ち込んできていた。紫色の、浴びると皮ふがしびれる放水車まで登場。デモ隊はそれに対して催涙弾を投げ返し、その辺に転がるこぶし大の石をガンガン投げつけていた。危ないのは、双方とも見境がないからだ。

油断して携帯にかかってきた電話に出たら、ゴム弾で撃たれた

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