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この人、資産家だと思う

2023年5月26日

 近所のカフェに行った帰り、いつもの物売り屋に寄る。いかにも崩れ落ちそうな掘っ立て小屋で少量の野菜、くだもの、菓子を売っている。カウンターの幅は2メートルほど。
 歩行者がまずいない道路で、店の前を通るのは車だけ。あまりに目立たない建物なので、車を運転している人が気づいたとしても、スピードを落とせず通り過ぎてしまう。自分がそうだった。もとより、車をわざわざ停めて買いたいほどの品物はない。
 なので、これまでに客の姿も見たことがない。そういう自分は、自宅がすぐ近くで、車でカフェに行くと30秒で着いてしまうので歩くことにしていて、道すがらこの店の存在に気づいた次第。
 夕方6時の時点で、明日にはぐにゃっと柔らかくなってしまいそうなモンキーバナナが売れ残っている。1房20バーツ(ざっと50~60円)。これを2房、自宅のうさぎの夕ご飯として買って帰る。袋に詰めてもらっているときに目についた米せんべいを2袋。1袋は自分、もう1袋は(自宅がある)集合住宅の門の警備をしているガードマンへの差し入れ。1袋25バーツ。計90バーツで300円しない。
 こんな貧しい商いをしている初老の女の人、別に尋ねた訳ではないが、店の裏に広がる土地の地主(多分)。資産がなければ、こんな貧しい商売をのんびりやっていないはず。道路わきに土地が余っているから、土地の角で勝手になっているバナナでも売ろうか、といった余裕しゃくしゃくさで日がな過ごしているのだと思う。

 

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