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読みが当たったのに、本人は外していた赤シャツ最後の日

 リーという名前でしか知らないが、韓国人の女性カメラマンがいた。赤シャツ騒ぎを追っていた日本人カメラマンと仲が良く、いつも電話で赤シャツ情報を流してくれていた。といっても、それはほとほと当てにならず、「明日こそ軍の強制排除」といった毎回外す情報だった。
「それって誰から聞いた情報だよ」
「赤シャツのおじさん」
の繰り返しで、最後の方は誰もが聞き流していた。

 そのリーが、最後の最後で言い当てた。仲間を片っ端から抜け作呼ばわりする例のネパールに詳しいカメラマンが、
「リーがまた電話してきた。翌朝5時に強制排除開始だってよ。赤シャツのオヤジが言ってたって」。
彼はもうほとんど信用しておらず、リーのことを抜け作呼ばわりする寸前だった。が、その彼もまた、
「なんでそんな頻繁にバンコクに行っているの? バンコクで何をしているの?」
と、日本からネパール人の女房の文句の電話が入り、赤シャ取材最中にネパール語でケンカしている抜け作だった。

最後に残された政府批判のポスター類

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