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カッティヤ狙撃、軍が一気に強硬手段

 セーデーン(赤い参謀)と呼ばれた、カッティヤ・サワディポーン陸軍少将がスナイパーに狙撃された。

 タイ国内でタクシン支持者を抑え込むのはたいてい国軍の役目だが、その国軍の中にもタクシン支持者はいる。「一枚岩ではない」とか「タクシン派は異端者」とかではなく、軍として各界に「あらゆるルートを確保している」という意味での、タクシンと派の存在だろう。ちなみに、タクシン支持でありながら赤シャツ騒ぎの抑え込みに駆り出された陸軍兵士たちは、フルーツの「すいか(テーンモー)」と呼ばれた。外は緑色の戦闘服、中は赤い実、という比喩(ひゆ)というか揶揄(やゆ)だ。

 カッティヤもタクシンと良好な関係を維持していた陸軍将校だったが、かなりのめり込んでしまっていた。自宅に持ち込んだ大量の武器が不法所持とみなされて停職中、仕事もなく暇なのか赤シャツ集会場によく顔を出していた。

 その風貌は極めていかついのだが、赤シャツ集会場では熱烈歓迎でみんなにもみくちゃにされていた。普通に話しているときは非常に温和で、「照れ屋さん」という印象まで与える性格。ツーショットを求められたりサインをねだられたりすると、あのいかつい顔で恥ずかしがるものだから、誰もが「かわいい」と感じていた。タクシン派を嫌うメディアでさえ、カッティヤについては好意的に報道したぐらいだ。

圧倒的な人気を見せつけたカッティヤ

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