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デモ隊が警官隊衝突 久々の催涙ガス発射

 2010年の赤シャツ暴動以降、国会議事堂前での座り込みはあったものの、デモ隊と警官隊が衝突するような大きな騒ぎは2012年後半までなかった。同年11月24日、インラク政権打倒を目指して座り込みを続けていたデモ隊が警官隊と衝突。催涙弾を発射などで一帯は混乱し、デモ参加者130人以上が拘束された。デモ隊を率いるのは、ブンルート・ケーオプラシット退役陸軍大将。2006年のクーデター後に首相となったスラユット枢密顧問官(元陸軍司令官)の士官候補生学校の同級生といわれる。
「インラク政権は犯罪者タクシンの操り人形!」
「汚職やインターネット上での王室批判が野放し!」
といった主張だった。

 衝突現場は、この手の騒ぎではお決まりの国連本部周辺。デモ隊はもともと、衝突現場近くのラマ5世騎馬像前広場で開かれている集会に向かっていたが、警官隊が同広場への道路を封鎖していたため、今回の衝突となった。

 首相のインラクは2日前の22日、
「選挙で選ばれた民主的な政府を暴力で転覆しようとしている」
として、治安維持を目的に集会が開かれているバンコクドゥシット区、プラナコン区、ポープラープサットパーイ区の全3区に対して国内安全保障法を発令。翌23日には、ラマ5世騎馬像前広場周辺に警官隊を配置し、周辺の道路を封鎖していた。ちなみに国内安全保障法というのは、国軍主体の国内安全保障司令部(ISOC)に、「関係政府機関の動員」「特定の建物、地域への進入禁止」「外出禁止・集会禁止・移動禁止」といった権限を与えるもの。2010年にバンコク都心で起きたタクシン元首相派の暴動でも発令されている。

催涙ガスは中国製。死傷者が続発した2008年のデモ制圧で使用された催涙ガスよりは威力が弱まっている。

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