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死傷者900人の騒ぎにうんざり、トゥクトゥクと地下鉄を乗り継いで帰宅

 ディンソー通りを数メートルも進めずにのろのろしていると、前進していた兵士の1人が戻ってきて、「ペー(衛生兵)!」と叫ぶ。どうも前方で兵士が負傷したらしい。衛生兵が担架を担いで走っていった。数分もすると、担架に乗せられ、腕を取られ、担がれて、前進したほとんどの兵士が負傷して帰ってきた。そのうちの1人はすでに死んでいて、取り囲む兵士らは誰もが、民間人を相手にどうしてこういうことになるのかと、唖然としていた。

 銃声が止む。銃撃戦は30分程度で終わった。しばらくすると、赤シャツ数人が前方から平然と歩いてきて、周辺に落ちている空薬きょうを拾っている。そのうち1人の若者が、装甲車をバックに写真を撮ってくれといってくる。まるで観光客。
「こっちはさっき死人が出たんだぞ」
というと、
「向こうは5人死んだ。脳みそが道路に落ちているから見に行ってくれば」
と、平然と返してきた。2010年4月10日のディンソー通りでの銃撃戦では、赤シャツによる軍用銃の使用など想定外だった。軍は情けないことに、民間人を相手に後退を余儀なくされた。

死傷者を連れて後退する陸軍兵士

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