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世界は激変した。私たちは何が変わったか。-2020年の出来事とニューピース総まとめ

2020年、本当に激動でした。コロナに始まり、Black Lives Matter(以下、BLM)や『鬼滅の刃』、安楽死の是非、夫婦別姓をめぐる議論、『100日後に死ぬワニ』、民間初の有人宇宙船など、本当にいろんな話題が挙がった年だったと思います。

NEWPEACEも、今年は歴史ある大企業から自治体、創業したてのベンチャー企業まで、例年以上に多種多様なパートナーとお仕事をすることとなりました。

今回は、代表の高木とクリエイティブディレクターの田中、プロデューサーの早崎で座談会を実施して、その振り返りを行います。座談会を通してわかったのは、いま、企業がものすごい勢いで変化を迫られていて、その流れに逆らうことは許されないというシビアな現実。

2020年に社会はどのように変化し、2021年の私たちはどのように変化すべきなのか。NEWPEACEの考える「これまで」と「これから」をお届けします。


1.ブランドのコミュニケーションはどう変わった?

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(左から高木新平、早崎未央、田中佳佑)

─2020年はコロナ禍やBLMの影響もあり、生活者の感性、価値観も変わった1年でしたね。

田中:特にBLMで顕著になりましたが、SNSを通じて生活者が企業に声明を求めるようになったことが大きな変化だったと思います。それに呼応するように、いろんな企業から社会問題に対する声明が出るようになりましたが、一方で、みんな同じような意見広告を出すようになっているなとも感じます。意見を言っているようでいて、意外と守りに入っている。ある意味、SNS社会に迎合しているような印象です。

高木:SNSが普及したおかげでヒットが生まれやすくなった反面、社会課題への関心も強くなっているから、企業も必死だよね。「取りあえず自分たちも声明を出しておかなきゃ」みたいな風潮も感じる。でも、ジェンダーやサステナビリティ、人種差別問題などはもう無視できないほどリアルで大きな問題になってきているから、企業もイシューに対して絶対に向き合わないといけない。こういう空気感って、去年まではなかったよね。

田中:難しいなあと思うのは、イシューに対して沈黙することもまた炎上に繋がる可能性があるし、口先だけで実態が伴っていないと、それはそれで炎上すること。それこそ、BLMによって、どの企業にも人種差別問題への意見表明が求められたとき、表明しても実際の活動が伴っていなくて炎上した企業もありました。

高木:企業としてのスタンスの表明が求められる一方で、そのスタンスを企業活動自体で体現しないと意味がない。だからこそ、SNSや広報などのコミュニケーションレイヤーだけでなく、事業や商品開発まで、根っこから一気通貫して意識や行動を変えていく必要があるんです。その根っこになるのが、ビジョンだと思っています。

田中:11月に公開されたナイキのCMも、かなり物議を醸しましたが、あれはいいなと思っています。たぶん、ナイキも世間がざわつくことは覚悟の上でやっている。広告において、社会に迎合せず、自分たちのキャラクターを突き詰めたうえでどこまで勇敢になれるか。これってすごく大事だなと思いますね。

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ナイキジャパンは11月28日に「動かしつづける。自分を。未来を。」と題したCMを公開。「他人と違う自分」に悩み苦しむ3人の少女が、スポーツへの情熱を胸に世界を変えることを決意する内容に「日本全体のイメージを貶めている」と一部で批判の声が上がりました。


高木:ナイキのCMは、炎上なのかどうかすら議論になっていたよね。あれはナイキの企業としてのスタンスがはっきりしていたからだと思う。たしかにオピニオンの要素が強かったけど、自分たちのスタンスを表明することによって、社会にいい波紋を起こしている。

田中:あの広告の賛否を見ていると、社会全体のリテラシーが向上した気がしますね。昔だったら「炎上かどうかの議論」なんてしなかったですし。

高木:あとは、「誰が本当の顧客なのか?」をどの企業も考えなくちゃいけなくなったってことだよね。今までは大規模なプロモーションを打って広くあまねく数を取ることが主流だったけれど、それを今やると、みんなにいい顔をする必要があるから、必然的に守りに入った意見広告になる。

そうじゃなくて、そもそも炎上させるようなことを言う人はうちのお客さんではない、と切る判断をしなければいけない。そういう時代になったんですよね。


2-1.【2020年の潮流①】コロナ禍での企業のソーシャルアクション

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ーここからはNEWPEACEが実際に取り組んだ企業事例と合わせて、話を聞かせてください。生活者のスタンスも変わっていく中、今年はコロナ禍による緊急事態宣言などで、企業も大きな決断を迫られるシーンが多かったかと思います。

田中:NEWPEACEがお手伝いしたプロジェクトも、コロナ禍に入って進行が止まった案件がいくつかありましたが、生活者や社員のために今こそ何かしたいと考えた企業に関しては、コロナ禍直後でも多くのプロジェクトが走りました。

たとえば中古車販売のガリバーを運営するIDOMでは、「#SaveMoving」を掲げて移動が必要な方に無料で中古車を貸し出したり、Panasonicでは、部屋のシンボルであるドアを変えておうち時間をポジティブに楽しむ『#ドアコレ』を企画したりしました。

大型連休中に帰省できないかわりに花を贈ることで日頃の感謝を伝え、結果としてフラワーロスを防ぐ試み『#花で帰省しよう』も、全国の花屋さんとコロナ禍の中でスタートさせたプロジェクトでした。

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NEWPEACEがサポートしたIDOM社の『新型コロナウイルス対策クルマ支援』。緊急事態宣言発表から8日後の4月15日にリリースされ、わずか24時間で応募は1万件を超えました。

高木:就活サービスを提供しているワンキャリアも、企業説明会に足を運べない就活生の不安に寄り添って、いち早くYouTubeでのオンライン説明会に移行する意思決定をして、立ち上がりを一緒につくっていきました。あと、コロナ禍はオンラインメディアを巻き込んでいろんなことをやりましたね。Forbes Japanでのマザーハウスの山崎副社長との対談も、先が見えない中で視座を獲得できる有意義な時間でした。

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2020年5月に行われたONE CAREER SUPER LIVE。「就活に、透明性を。」のビジョンを掲げるHRカンパニー、ワンキャリアがいち早くリモートに切り替えて実施したオンライン合同説明会は、1万人もの動員を記録しました。

早崎:こうして挙がった事例を見ても思いますが、NEWPEACEの過去事例を見ると、一見サービスやブランドのPRが目立ちますが、実はビジョンの深掘りにこそ時間をかけているんですよね。そこが変わらない真髄だなと思います。


2-2.【2020年の潮流②】リブランディングの依頼が激増。スタートアップは新たな社会インフラへ

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ーリモート勤務が促進されるなど、コロナによって社会全体のデジタル化も進んだ1年でしたが、NEWPEACEとしては他にどのような企業との取り組みがありましたか?

高木:僕らはもともとスタートアップ企業との付き合いが多かったけど、今年はリブランディングを共創するプロジェクトが増えたかな。コロナ禍で社会全体が「変わらなきゃ」と痛感する中で、デジタル化を推進するIT企業にとっては「どんなビジョンを掲げ、どんな事業やブランドになっていくか」を考え直す機会になっていたんだと思う。新しい社会インフラとしての顔つきをどうつくるかを悩んでいた経営者は多かったと思う。

早崎:実際に「STORES」「SAKE HUNDRED」「Akerun」「TSUKURUBA」など、リブランディングの相談もすごく多かったですよね。皆さん自分たちが提供する価値ってなんだろうと、自問自答する年だったのかなと思います。

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2020年1月リリース。STORES.jpとCoineyのブランド統合、「デジタルストア・プラットフォーム」というサービスの価値、「Go Original.」というブランドスローガンの開発、ロゴなどのブランドアイデンティティ刷新のディレクションをNEWPEACEで担当しました。

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2020年8月リリース。スマートロック「Akerun」をビジョニング。「世界から鍵をなくそう」という合言葉から、“キーレス社会”という新ビジョンを開発。そしてビジネス戦略としての「Access Intelligence」を共創し、Akerunをハードウェアブランドから、IDプラットフォームブランドへと昇華させました。

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2020年8月リリース。“日本酒は安すぎる”という課題意識を起点として「プレミアムからラグジュアリーへ」「フレンチに合う日本酒を」と方針を決め、ブランド名の再考から世界観の議論、日本文化のエッセンスを取り入れながら、日本酒のD2CのリーディングブランドであるSAKE HUNDREDらしい姿をつくりだしました。リブランディング実施後、ECでの売り上げは急増して話題に。


2-3【2020年の潮流③】大企業や行政は時代にどう寄り添うか

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ーーマザーズ市場が大きく盛り上がる一方で、歴史のある非デジタル領域の大企業ほど、社会変化に対してどう向き合うかを問われた1年だったと思います。

高木:そうですね。でも、コロナ禍はひとつのきっかけに過ぎないと思っています。今まさに相談をもらっているのですが、たとえばジュエリー業界は、バブル期に3兆円規模だったのが、ここ10年は9000億円程度。さらにコロナ禍によって落ち込む見込みもあると言われている。すでに低迷していたものが、コロナ禍を皮切りに一気に切羽詰まったんですよね。

早崎:かつての業界トップシェア企業や、マーケット自体が縮小に迫られている企業からの相談が多かったですよね。数百年の歴史のある地域企業や自治体からの相談もあって、やっぱりみんな「変わらなきゃ」と感じたんだと思います。

高木:今年は卓球用品メーカーのVICTASも、90年愛されたブランド「TSP」を刷新して、『VICTAS』にブランド統合したんです。企業としては相当痛みを伴うはずだけれど、決して過去を否定しているわけではなく、新しい未来にコミットするという意思表示でした。

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2020年10月のリリースより。NEWPEACEがブランドパートナーを務める卓球男子日本代表公式サプライヤー・VICTAS社は、世界中のプレイヤーから愛された老舗ブランド『TSP』を『VICTAS』と統合。フランス代表の公式サプライヤーになるなど、日本だけでなく世界市場でトップシェアを獲っていく戦略を明確にした。

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田中:新しいライフスタイルが浸透しつつある時代にどう対応するかを、みなさん自然に考えていた印象ですよね。例えば福岡市の『人生100年時代啓発キャンペーン』はコロナ禍以前から携わっているプロジェクトですが、コロナ禍で家を出るお年寄りが減ったことで健康寿命が下がりつつあるという課題に向き合っています。今まさに、安全に家から出て人生をもっと楽しむことを呼びかける、人生100年時代に向けたポジティブな提案をしています。

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福岡市は100歳まで生きるのが当たり前になるこれからの時代に向けて、市民が支えあいながら心身ともに健康で自分らしく暮らす社会を実現するための100のアクションを「福岡100」として公表し続けています。

田中:福岡市のように、コロナ前から続けているプロジェクトでも、それまでの文脈を受け継ぎながら新しいライフスタイルを取り入れて、自然に肉づけされた提案が多くなったなと感じています。

高木:僕らが求められる範囲も広くなった感じはあるね。それはきっと、変わりたい企業が増えているから。既存の延長線上のPRをやるのではなく、自分たちらしさを大事にしながらデジタルシフトを考えたり、ビジネスモデルを変える必要があったり、会社で働く意義をもう一度考える必要があったり。

田中:正直、緊急事態宣言の直後あたりは大喜利状態だったけど、長期化することがわかってからは「ちゃんとやらなきゃ」って空気になっていますね(笑)。

高木:うん(笑)。来年以降も、コロナが長引けば長引くほど変化できない企業は淘汰され、デジタルやグリーンシフトも止まらないはず。この大きな流れがある中で、社会を変えるための強い志をもった個人や組織からの相談も増えています。そういう活動もすごく面白いと思うし、今後はもっと応援していきたいですね。

3. 広告の前に、向き合うべきは社内から

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─痛みを伴う事業転換が必要になる中で、企業が大切にすべきことはなんでしょうか

高木:それこそ、NEWPEACEが今日まで続けてきたビジョニングではないでしょうか。目指す社会像(VISION)をトップが宣言し、それを実現するために一貫したアクション(ING)を、社員やユーザーを巻き込んで仕掛けていく。今の時代、言葉だけでは綺麗事になってしまうので、いかにアクションに転換していくかが肝です。NEWPEACEは、そこにコミットし続けてきました。

会社の中にいると、自社の本当の価値に気付きづらいんですよね。ビジョニングはある意味、これまでの自分を否定しなきゃいけない部分もあるから。でもそういう、見逃されていた思わぬ価値を一緒に見つけて育てるのが僕らの仕事です。

田中:先が読めない今だからこそ、正しいかどうかはわからなくても、ひとつのビジョンを社員みんなが分かち合うことで企業活動は必ずスムーズになると思います。決して過去を否定するのではなく、これから目指す新たなステージを見据えることで、どの企業も変わっていけるはずです。

早崎:会社を変えたい、社会に対して何かやりたい、と会社に可能性を感じている社員さんは多くいるのに、うまくやりきれないもどかしさを抱えている。NEWPEACEとして、経営者と現場を巻き込みながら、その解決策を一緒に考えて実行していくうちに、「やっと変われる」と表情が明るくなる社員の方々は多いです。その感覚を、社内外に浸透させることが大事なのかなと思います。

高木:
そういう意味では、ビジョニングはまずはインナー施策から始めるほうがいいです。それがSNSなどで染み渡って、企業イメージを変えていくので。

たとえば、2018年の大晦日にラーメン屋『幸楽苑』が「2億円事件。」というキャッチコピーがついた広告を出しました。年末年始は約2億円の売上があるかき入れ時だけれども、それよりも働く人の幸せが優先なので、休業します、という内容ですが、これはまさに、企業の内側をさらけだすこと自体がマーケティングになっているんですよね。

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幸楽苑の2018年12月31日のニュース。"売上2億円を削ってでも、全店休みます。”とのメッセージが、働き方改革の議論と相まってSNSで話題に。

田中:#SaveMovingを実施したIDOMもそうでしたね。コロナ禍の中でも柔軟にアクションをする自分たちの会社を誇らしく思った社員さんがたくさんいた。マーケティングアクションではあるけれど、社員たちをエンパワーメントしている。

高木:そうそう。だから根本的に「社員か顧客か」の境界線はないんだよね。みんな企業活動を通じて何かしらエンパワーメントされている人たちなんですよ。それが中にいるか、外にいるかの違いで、経営者が対峙するステークホルダーという意味では一緒です。SNSで誰でも個人として発信できる環境になって、それがより顕著になってきたなと思いますね。

早崎:NEWPEACE社内でもよく例に挙げるナイキやパタゴニアなどの競争力のあるブランドは、中にいる社員が熱狂的で、もちろんユーザーにファンもいて、そこからどんどん口コミやSNSで波及してビジョンが染み出してくるんですよね。NEWPEACEが担当しているアダストリアのアップサイクリングブランド「FROMSTOCK」も、プロセスとして社内を巻き込んでいくことで改革を進める旗印になりましたよね。

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2020年3月のリリース。「Play Fashion!」を掲げる大手アパレル企業アダストリアとの新規事業。倉庫の服を黒染めして別ブランドとして蘇らせるプロジェクト。業界課題である衣服ロスの問題を社内で議論する場を持ち、社員から出てきたアイデアを昇華して事業化。まずはインナーを巻き込んだビジョンの実践をしています。


田中:広告やPRでメディアをハックして、外向きにきれいなことを言っていても、社員が冷めているといずれバレますね。それがSNS時代なんだと思います。社員がしっかり信じていれば、それが勝手に染み出していく。

高木:そう。社員をはじめとする身近な人やファンの熱量を育てて、その熱量がじわっと周りに染み出すような流れにシフトしている。それは地元の飲食店や自治体も同じですね。長距離移動が難しくなった今、遠くの人をたくさん呼び込むより、現地の人にきちんと満足してもらって、リピーターになってもらうほうが時代との相性がいいんです。


4.変化した社会が前提となった2021年に向けて

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──企業から求められる範囲が広がってきた中、NEWPEACEの仕事ぶりで変化したことはありますか?

高木:どうだろう。何か変わったかな……? むしろ時代の流れが自分たちに追いついてきた感じがしますけど。

田中:そうですね。NEWPEACEとしてやることは変わっていないですけど、これまでやってきたことがやりやすくなった気がします。僕らから「変わりましょう」と提案する前に、向こうから「変わりたい!」と相談をいただけるようになりました。

高木:そうだね。大きな会社ほど自分たちのキャラクターやスタンスって見えないものだけど、だからこそビジョンが大事だという考えが浸透しつつある。小手先や建前だけではなく、SNS戦略や広報から事業や商品開発まで、根っこから一気通貫して変化する必要があることを、大企業も感じ始めている。それはコロナ禍で世界の変化の速度が一気に上がって、差し迫った状況になったからだと思いますね。

早崎:「変わりたい」という相談が増えてきたのは、世界がより良い方向に向かうための確実に大きな一歩だと思いますね。

高木:この局面で前向きな意思決定ができる企業は強い。世の中の動きを見て正解を待つのではなく、自分たちはこういうスタンスだから、と動ける企業が生き残っていく。みんなが変化を求める時代に、それに寄り添う仕事ができているのは幸せですね。

──リモートワーク中心となり、NEWPEACEのメンバー間のコミュニケーションなどでの変化もありましたか?

高木:まずは人数が増えたんですよね。1年前から考えるとインターンとかも含めて10人ぐらい増えたかな。総勢30名弱。かなり組織っぽくなりました。

田中:社員が増えたことに加えて、リモート勤務で直接会わなくなったせいか、以前よりも団結力を意識するようになったなあと思います。

早崎:私は入社して2ヶ月経ったところですが、社員のビジョンを大切にすることが徹底されている会社だなあと感じます。NEWPEACEがよく言う「インナーから熱狂させる」ことを、まさに社員である私たちが体現している。社員それぞれが何をしたくて、なぜこの会社にいるのかを共有するNEWPEACE内の取り組みはすごくいいなと思います。

高木:社員ひとりひとりのビジョンが会社のビジョンと接続していることが大事なんです。会社のためだけにがんばるってすごく弱いと思っていて、自分のビジョンと組織のビジョンを重ね合わせて、より大きなことを成す、それが個人の時代に組織に属する意味だと感じています。そういう個の思いや、少人数だからこその一体感やバイブスをベースに持ちながら、組織としてどうシステム化し、大きくするかを考えた1年でしたね。

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─NEWPEACEにも変化があった2020年でしたが、改めて、来年以降、企業はどのように舵を取るべきだと思いますか?

早崎:もうシェアの奪い合いではなくなってきた気がしています。これまでは暇な時間を何に使うか、余暇という市場で戦うフェーズでしたが、ウィズコロナで行動が制限される今、必要なものと不必要なものがより選別されていきます。例えば『鬼滅の刃』が人気なのは、リスクをとってでも見に行きたい!と思わせる強い力がちゃんとあるから。逆に、そう思わせるほどの価値がないと判断される事業は、選ばれなくなるんじゃないでしょうか。

高木:そうだね。「広くあまねく安く」が日本企業の昔からのスタンスだったのが、今はそれだけじゃグローバルインフラ企業に勝てないから自分たち独自のビジョンと提供価値をはっきりさせなければいけない。

田中:そういう思想は、ひとつひとつの行動に反映されていきますよね。例えば、社員が自分たちの仕事をSNSで発信できるかどうか。

高木:そう。企業主体の発信だけではなく、社員やユーザー、メディアなどの行動に思想が伝播していくことで企業のスタンスが伝わり、結果として唯一無二のブランドになっていく。それをやるには社会の潮流を捉えたビジョンが必要だし、今の時代の強いブランド企業たちはそれをアクションに換えて、しっかりビジョニングをやっているなと感じます。

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多くの企業が変化を求められた2020年。世界はたしかに大きな痛みと苦しみを味わいました。しかし、今こそが古い慣習の延命をやめ、新たな時代にシフトするために全世界へ与えられたチャンスかもしれません。

世界は激変した。これから私たちは、どう変わろうか?

この1年、そしてこれから始まる新しい1年は決して終わりの合図ではなく、より豊かで自由な時代の幕開けであると、NEWPEACEは信じています。



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