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「就活に、透明性を。」1万人が同時視聴したオンライン合同説明会の裏側と”染み出るビジョン”の強さ【ワンキャリア×NEWPEACE対談】

5月22日。Twitterのタイムラインを眺めていたら、あるイベントの中継画面が目に止まった。名だたる企業の人事や代表が、カメラに向かって自社事業やビジョンの紹介をしている。それも、かなり熱量が高い。

ONE CAREER SUPER LIVE。
就活生に向けられたリモート合同説明会が、SNS上で無料公開されていた。

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イベントを企画したのは「就活に、透明性を。」というビジョンを掲げるHRカンパニー、ワンキャリア。 コロナ禍によって大規模なリアルイベントが中止となった就活市場において、同社はいち早くリモートに切り替えて、学生と企業をつないできた。

そしてONE CAREER SUPER LIVEでは、最終的に1万人もの動員を記録することになる。オンラインでの合同説明会としては最大規模であり、就活の地方格差をなくすことにも大きな貢献を果たしたと言える。

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(ワンキャリア新オフィス。2020年6月撮影)

同社が運営している就活クチコミサービス「ONE CAREER」は「就活生が選ぶ使いやすい就活サイトNo.1(*1) 」にも選ばれ、今日も存在感を強めている。そのブランドパートナーとしてずっと伴走し続けてきたのが、NEWPEACEだ。(*1)NewsPicks 【図解】20サービスを徹底比較。本当に役立つ「就活サイト」一覧

ワンキャリアとNEWPEACEがタッグを組んだのは、もう2年も前のことになる。 激動の就活戦線において、両社はどのような関係値を築いて今日まで走ってきたのか。 両社の対談インタビューによって見えてきたのは、ビジョンの共有による対等な信頼関係スピード感のある意思決定だ。

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(左→右) ワンキャリア  北野唯我さん(取締役)、宮下尚之さん(代表取締役)、NEWPEACE 高木新平、渋谷麻里

コロナ到来で動き出した、収益度外視の一大プロジェクト


──5月のリモート合同説明会『ONE CAREER SUPER LIVE』は相当な反響があったと思いますが、ワンキャリアはそれ以前の3月からYouTubeで企業説明会を平日毎日やっていましたよね。
 

宮下尚之(ワンキャリア代表取締役/以下、宮下):2月中旬にコロナが来そうだぞってムードになって、リアルでの大規模イベントは難しくなりそうだから、ほかの道を探していたんです。そのタイミングで唯我さん(北野さん)が、学生や企業からはお金をもらわずにオンラインでの説明会を毎日やろうって言ったんだよね。

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北野唯我(ワンキャリア取締役/以下、北野):やるしかないでしょ、って感じでした。シンプルに、僕がもし就活生だったらどう思うだろう? 就活生の両親だったらどう感じるだろう?と考えたとき、本当に不安だし、困るだろうなと思ったんですよね。就活市場を大局的に見ても、動画へ移行する流れは今後10年で絶対に起こること。だったら我々がいま社会的使命を果たすべきなんじゃないかと。 

宮下:無償で、という動きは、我々役員としては、今まで一切なかった意思決定でした。基本的に僕ら、めちゃくちゃケチなんですよ。収益や持続性がないと事業はやっぱり難しいから。でも、今回は一瞬で決まったよね。

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高木新平(NEWPEACEビジョンアーキテクト/以下、高木):「もうやるしかないね」と決まって、それまで進めていた別のキャンペーンも、コロナ対策に切り替えた。サイト公開もすぐだったよね? 

渋谷麻里(NEWPEACEプロデューサー/以下、渋谷):2月末には3月1日から毎日行われる説明会のONE CAREER LIVEのプレスリリースが出て、4月上旬には5月のSUPER LIVEのサイトを突貫で作り、リリースしていましたね。

3か月準備したプロジェクトを捨てて──ONE CAREER SUPER LIVE決行までの意思決定

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──もともと準備していたキャンペーンを全て中断して、約1か月でコロナ禍に適応したオンライン企業説明会へ切り替えるのは、かなり大きな決断だったのではないでしょうか。

北野:それまでは『就活生新聞』を作って街中で配るというリアルキャンペーンを3~4か月かけて準備していたんですが、コロナでそれが厳しくなって。3か月やってきたものを捨てて動画配信へ振りきらなきゃいけなかったんですけど、社内ではまだ少し迷ってました。それを、新平(※NEWPEACE高木)がバシッと言ってくれたのは助かりましたね。 

高木:『就活生新聞』に携わっていた社員の頑張りを知っている以上、ワンキャリア社内から方向転換をはっきり言うことは難しいと思うんですよ。だから僕みたいな外野がバシッと言うのはある種の役回りだと思うし、よかったと思います。

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2020年3月公開の就活生新聞。氾濫する情報の取捨選択に迷う学生に就活の真実を届けるため、就活生のクチコミをもとに制作。
CD: 鶴見至善(株式会社ひろろ)、AD:横山 徳、Planner :田中 佳佑(NEWPEACE)、Producer: 渋谷麻里(NEWPEACE)

──3月のYouTube LIVEでの企業説明会を経て、5月の『ONE CAREER SUPER LIVE』をやろうと決めたのですか? 

北野:そうですね。3月の動画配信をやりながら、これは相当意味のあることだし、その先のビジネスチャンスも確実にあると判断できたので。ただ、生配信だけならどこの企業でもできるから、その前に「生配信と言ったらワンキャリアだよね」と認知されるブランドを作りたかった。そこで5月にSUPER LIVEをやろうと決めたんです。NEWPEACEには改めてブランディングや戦略の相談をしました。どうやってブランド化するか、どこをビジネスに繋げるか、あらゆる戦略の相談をスピード感をもってできるのは、スタートアップ側からするとすごく助かります。 

宮下:そうだね。僕も本当にそうなんだけど、「昨日Aって言ってたのを今日はBって言って、明日はC」ってコロコロ変わることが、スタートアップにはザラにあるんですよ。……ってめっちゃ頷くのやめてくれる?(笑)

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渋谷:それにはこっちも慣れてますから(笑)

宮下:NEWPEACEとタッグを組んだこの2年間で、何度その意思決定をやってきたか。ゼロベースに立ち戻って話すことを僕らは大事にしていますし、それが一番良かったんじゃないかなと思ってますね。

「なぜこの組織が存在するのか」崩壊寸前だったワンキャリアを支えたNEWPEACEのビジョニング

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──NEWPEACEがワンキャリアのパートナーとなったのは2年ほど前ですが、そこまで信頼を置くきっかけは何だったのでしょうか? 

宮下:新平とはもっと付き合いが長いけど、NEWPEACEが相談相手になったのは、2018年末から2019年の頭ぐらい。その頃、うちの組織は崩壊しかけてたんですよね。社員数も増えて、いわゆる「30人の壁」というタイミングで。そのとき、新平が経営陣と一緒にディスカッションして、全社会議でも話してくれたことがすごく良かったんです。 

北野:「WHY」から語る、って考え方を話してくれたんですけど、あの時に聞けてよかったですね。なぜこの組織が存在するのか、僕らのミッションってやっぱりこうだよね、という話を共有できたことで、今の中枢メンバーたちが「やっぱり自分たちは、このためにやっているよね」と気づいた。それが一番良かったのかな。NEWPEACEへの信頼感が、社員全体でぐっと上がった瞬間でした。 

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高木:コミュニティや組織づくりには、会社の中の人達が信じられる指針を作ることが大事だと僕は思っています。それが行動や組織全体の雰囲気に染み出していって、コミュニティを作っていく

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(2019年1月に提案したVISION。提案書より抜粋)

高木:そもそもNEWPEACEが持つ根幹の価値は、経営や事業戦略を作っている人達が、数字やロジックとは違う感覚的な判断を求められるときに、その意思決定をサポートすること。方向性を決定できる言葉やアウトプットを提供することで、企業活動をドライブできるといいと思っていますし、今回もそれができた結果だと思っています。

 ──組織のミッションやビジョンという根底から付き合っているからこそ、スピード感のある意思決定を重ねることができるんですね。 

北野:NEWPEACEとはずっと一緒にやってきていて、我々が普段から染み出しているものや戦略・ビジョンの理解があるので、信頼があります。だからSUPER LIVEのデザイン、キー・クリエイティブが上がってきたときも一発目から良かった。

高木:ビジョンを共有しているからハチャメチャに違う方向に行くことはなくて、「よりこっちがいいでしょう」と提案していく感じ。 

宮下:1プロジェクト1サービスの最適化キャンペーンじゃないよね。どの企画にもビジョンが染み出している。スタートアップの経営者はそれにすごく助けられているんじゃないかな。とにかくバズらせてくださいとかじゃない。

渋谷:スタートアップはPRにめちゃくちゃお金をかけられるわけじゃないので、会社の中の人も良いと思って発信してくれないと上滑りする可能性がありますよね。これはこのためにやってるよね、というビジョンから染み出たものを作りたいなと思っています。

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2019年3月に公開した #ES公開中 のキャンペーン。同じようなESを大量に書くプロセスは本当に必要なのか。就活当たり前に惑わされず、無駄をなくし、もっと自分と向き合うことに時間を使ってほしいと公開。
CD:鶴見至善(株式会社ひろろ)、AD:花田 克斗志(PLY)、Planner:田中 佳佑(NEWPEACE)、Producer:染谷英輝(NEWPEACE)

北野:逆に、そういうビジョンがない会社とか、どうするの?

高木:ムリ(笑)

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高木:根本から考え方を改めてもらうか、もしくは社長じゃなくても、誰か染み出るような想いを持っている人をクライアントの中から探して、その人と作るケースならあるけど。でも、何も想いを持たずに会社経営やってる人なんて、基本的にはいないはずなんだけどね。

「就活に、透明性を。」──ワンキャリアが描く、ポジティブでオープンな「これからの就活」

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(ワンキャリア新オフィス。2020年6月撮影)

──ONE CAREER SUPER LIVEをはじめとするワンキャリアのオンラインイベントは、就活生だけではない学生や一般人も自由に見ることができ、地域や立場の格差を超えた革命的なイベントだったと思います。 

北野:「生放送番組」かつ「オープンなプラットフォームでやること」に、すごくこだわりました。理由は2つあって、1つは就活の格差をなくすこと。地方の子や留学している子、1年生でも見れる。もう1つは、生放送だからこそ人事の「本当」が出ること。表情やしぐさから、仕事に対する真剣さや緊張感、楽しさが分かるし、そこから感じるものは大きいと思っています。 

渋谷:結果的に情勢が大きく後押しした事実はもちろんありますが、ワンキャリアさんの決断は「仕方ないからオンラインにしよう」というネガティブなものではなくて、「オンラインの方がビジョンを達成できる側面がある、就活を進化させられる」という強い意志がありました。だからこそ、ああいうお祭り感のあるイベントができ、大きな盛り上がりになったんだと思います。

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(ONECAREER SUPER LIVEの様子)

北野:就活って、会社から内定をもらって入社することがゴールではなくて、その会社でどんな価値を出すかが本質じゃないですか。つまり、会社名以上に「仕事の本質的価値」が上位概念にある。今回は、それを表現できる新卒イベントを作りたいと思っていたし、それが今の時代の就活だって定義したかったんですよね。

高木:キャリアが流動的になっている今、自分はどういう能力を身につけていこうかとか、どういうことを価値として出す人間になるのかとか、キャリアの考え方を提供してくれる存在があまりにも無さすぎると思うんですよ。ぜんぶ業界・会社単位の就活で、「キャリアの考え方は会社に入って総合職になってローテーションして身につけるしかない」みたいな。学生はその手前を求めていると思う。

──いわゆる「就社」からの脱却ですね。今後もそういった大きなイベントを企画されているのでしょうか。

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宮下:まずはSUPER LIVEをブランドにしようとしています。大きなオンライン化や動画の流れに乗って、この1年はやり続けようかなと思っています。

高木:今の合同説明会ってかっこいいものではないし、もっと枠組みを超えた新しい就活の在り方を作っていけるといいなと思いますね。もっとワクワクする面白い新しいものにしていくことができればいいなと思ってます。

渋谷:今までのプロセスをそのままオンラインに持っていくのではなく、キャリアの選択の仕方が柔軟に変わっていくきっかけになればいいですね。

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ビジョン共有の強さからくる両社の信頼関係。互いに下の名前で呼び合う場面も多く、対等で気の置けないパートナーであることを物語っていた。

「就活に、透明性を。」──ワンキャリアとNEWPEACEの両社が描く新たな「就活」が、多くの若いキャリアの芽を育んでいくだろう。

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(ワンキャリア新オフィス。2020年6月撮影)

執筆・編集:カツセマサヒコ、広瀬 唯。
撮影:きるけ。

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