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ぼくの基盤 #1「旅人」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第二章

ぼくはふわふわ飛んでいる。ぼくの頭は上をむいたり下をむいたり、体が360度まわったりする。まるで丸い気球にのっているかのよう。気球はまったく重さを感じさせない。ぼくと外の世界は薄い膜のようなもので隔たれている。外側の世界は光の具合で七色に変化している。

ぼくははるか上のほうからふわふわおりてきて、下の世界へとむかっている。どこまでも広がる青い空が映っていたぼくの目に、山々の茶色や森の緑が飛び込んでくる。ミミズのように地面をくねくねと這いつくばる青色の細い線が、ぐんぐん大きくなって河になる。赤茶色のレンガづくりの家が立ちならび、煙突から立ちのぼる灰色の煙がゆらゆらとぼくのほうへ近づいてくる。ぼくは人間の匂いにむせかえる。


ぼくがのっている気球は風に流されて、どこへ向かうともわからない。赤い鳥がぼくをじろりと眺めながら通りすぎてゆく。気球は風圧を受けてゆがみ、今にも破裂しそうになっている。気球はかろうじて堪えながら高度を下げていく。青緑色の地面が間近に迫ってくる。脇から木の枝がにゅっと出てくる。

パーン!

気球が割れてぼくは悲鳴をあげる。ぼくの体はまっさかさまに落ちていく。ぼくは気を失う。


どれくらい時間が経ったのかはわからない。目を覚ますと、ぼくは青緑の芝生に横たわっている。ゆるやかな起伏がつづく芝生の向こうで噴水が勢いよく水しぶきをあげている。ここはずいぶんと広い公園のようだ。ぼくは立ち上がる。ぼくは生まれたての赤ちゃんのようにつるんとしている。足元にはぼくの抜け殻が落ちている。ぼくは脱皮したようだ。


ぼくはサクサクと芝生を踏みしめながら歩く。素足の裏がわから大地の記憶が立ちのぼる。ぼくはこの場所を知っている。ここはかつてよく訪れたことがある公園だ。ぼくの前をうさぎが駆けぬけていく。こんもりとした茂みの中からピエロが立ち上がり、アコーディオンを奏ではじめる。広場では太極拳のポーズをゆっくりと決めている人々がいる。噴水の間を駆け抜ける子供たちのはしゃぎ声。ぼくは今この瞬間を味わいながら歩いている。ぼくは立ち止まる。

→ …続きを読む(ぼくの基盤 2「目覚め」)

前回の話はこちら。

​誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はここに。

制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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