司法の傍観が映すこの国の統治
「騒音」ではなく「爆音」
近くのライブハウスの大音響で眠れない、工場の煤煙で近隣住民が体調を崩す。そんな時、自治体や国は騒音や公害物質の排出者に善処を求め、従わなければ行政命令なりを出す。行政が動かなければ司法が裁く。そんな、先進国と呼ばれる国では当たり前のことが、当り前でないのが私たちの住む国である。
米軍嘉手納基地周辺の住民907人は1982年、米軍機の飛行差し止めを求めて提訴した。昼夜「電車通過時の線路わき」に相当する100デシベル以上の騒音が続き、不眠や精神障害を来たす人が相次ぐ。当時、本土でも同様の騒音訴訟があったが、弁護団は「騒音」ではなく「爆音訴訟」と名付けた。