日の丸半導体産業の寿命はあと8年 岸田さん、あなたの手順は間違っている

かつては世界で5割以上のシェア
何故このような顛末になったのか

 経済産業省が2021年6月に公表した「半導体戦略」の中で、「日本の凋落―日本の半導体産業の現状」として、これから先の日本半導体産業の姿を描いた。1988年日本半導体産業は世界半導体市場の50.3%を占め、世界のトップに上り詰めたが、しかしこの年をピークにして以降一直線で日本のシェアは低下し、20年は10%を切った。「この延長線を辿ると2030年には日本の半導体のシェアは0 %になる」と経済産業省は占う。つまりあと8年で日本半導体産業は消滅するというのである。

 これまで残っていた日本の半導体メーカーもどんどん消えた。パナソニックは2020年に北陸の半導体3工場を台湾企業に売却し、東芝傘下のキオクシアも株式の49.9%を米投資会社が握り、インテル出身のアメリカ人を会長にした。勿論、経済産業省は、日本半導体産業の衰滅を黙認しているわけではない。何とか衰退を止めたいと訴えているのである。

 日本の半導体産業が衰退したのは、特に電子機器の中心になるプロセッサーを開発してこなかったからだ。日本では、半導体製造装置産業、半導体材料素材産業は健在だが、肝心のSOCチップを開発するメーカーも、プロセッサーなどのIP(ある機能を持った半導体ブロック)、また付加価値の高い半導体にする設計ソフト(EDAツール)企業も不在だ。

 資本主義経済社会は「資本」と「商品」が社会の中を常に巡りながら動く「商品経済社会」である。しかし商品には「製品寿命」がある。つまり同じ商品、同じ産業が永久に続くことはない。「商品経済社会」発展の原動力は、イノベーションによる新陳代謝-「新しい商品・産業の開発・誕生」である。しかし、日本はそれができなくなった。

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