ロジスティックスVSコロナ対策非常時戦略のない日本

ロシア苦戦の理由は…
武器も食料も届かなかったから?

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まった当初、両国の軍事力の大きな違い(表1)からウクライナがすぐにも制圧されると予測する人も多かったはずだ。そんな予想に反して苦戦したロシアは、体制を立て直して戦闘は長期化している。いったん攻め込まれた地域でも、一部はウクライナが回復してロシア軍を押し戻している。

 ロシア苦戦の原因はロジスティックスの失敗だとされる。ロジスティックスとは、戦場の後方にあって作戦に必要な物資、特に弾薬や食料、燃料の補給と兵器などの整備、連絡、輸送さらには兵士の補充などのことである。

 日本語では兵站へいたんという。軍事用語だが、民間の生産、商業活動などでも前方の作戦遂行に必要な後方支援任務全般に使われ、製品や資材の流通、輸送、配送、備蓄などを指す。

 ロジスティックスは軍事では重要な概念であり、世界中の軍隊で部隊の行動を維持するために必要不可欠なものと見做されている。特に作戦行動が長期化すればするほど、このロジスティックス力の差がモノをいう。

ここから先は

4,751字 / 1画像
この記事のみ ¥ 200