暗闇から覚醒へ 5

長い長い間、に思えた。
からだは動かなくて、自分を探す旅。
まるでトンネルの中にいるようだった。

からだが反応するできごとが、きっと本当の自分の気持ちなんだろう。
そう思って、いろいろなことをやってみた。

研究室に行くことが、一番しんどかった。で、やめた。
家に帰ることもしんどかった。で、やめた。
映画館で映画をみてみようと思った。暗闇がダメだった。で、やめた。
音楽を聴こうと思った。クラシックがOKだった。オフコースもOKだった。
RCサクセッションで泣いた。そればかり聴くようになった。

街中を歩くのはきつかった。買い物以外やめた。
自然の中を歩くと、深呼吸ができるような気がした。
自然の中ばかりを探して、歩くようになった。

空を見上げるようになった。
海を見に行くために、旅行した。ずっと一日、海をみていた。

魚を眺めていた。蟹を眺めていた。
道ばたの花を眺めていた。木を眺めていた。
石を眺めていた。水を眺めていた。
傷ついた心で、ぼろぼろのからだで、いろいろなものを眺めていた。

そうしたら、眺めているものが、光を放つようになった。
眺めているものの一つ一つに、生命の息吹を感じられるようになった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?