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里帰り

引っ越して2週間後、早速娘が里帰りしてきた。


父の日のプレゼントを渡すため、という名目ではあったけど。

試行錯誤しながら新しい家庭を作っていく娘の話はとても面白い。
まず、料理をしないつもりと言っていたのだが、そこそこ作っているらしい。
娘のお相手のお仕事は出社が月に2回くらいでほぼリモート、娘はほぼ出社、なので、「たぶん夕飯はバラバラに食べると思う」と言っていたけど、お相手が結構作ってくれるのだそうだ。食が細い人で、そもそも食にあまり興味がなさそうだと思っていたから意外だ。
他の家事もこまめに動いてちゃっちゃと済ませてくれて、「気づいたらだいたい終わっている」と娘は笑っていたが、何か感じるところはあったようで、「あんまり何もかもやってもらうのも悪いから、私が洗濯するようにしてたんだけど、なんとなく息が詰まるというか……無理してない?って聞いたら、たしかにちょっと張り切ってたかも、だってさ。お互いのペースのすり合わせが難しいよね」と言っていた。

まったく違う環境で暮らしてきた二人が一緒に住むんだもの、喧嘩の一度や二度はあるよね、と言ったら、「実は一回喧嘩済み」とのこと。
「正論ぶちかますから腹立つよね。そんなことはわかってるんよ、そこをどうにかならんか、って相談してるのにさ」
で、どうしたの?
「今回は私がひっこめた、彼が正しかったから。でも、むこうも言い方は良くなかった、って反省してた」
雨降って地固まる、よね。
「マジそれ。ほんとそれだな、って思ったよ」

「私、小さいころ、お気にいりのタオルあったじゃん。寝るときにいつも持ってたやつ」
あったねぇ、ライナスのブランケット笑
「彼も持ってるんよ、小さいタオル」
えぇぇぇ?
「意外だよね。枕のそばにちんまり置いてあった。『俺は人生で2回しか怒ったことがない。1回目はタオルを勝手に洗濯されたとき。2回目は、その次の週にまた勝手に洗濯されたとき』だって笑」
よっぽどだったんだね。
「もうね、タオルとも呼べないくらいボロなの。でも捨てられない気持ちがめちゃわかる」
私もわかる。

「彼の何がいいってさ、彼も風呂キャン族だってことと、トイレを座ってすること」
あ~それ大事よね。
「でしょ?笑」
お相手が風呂キャンの人だとは思わなかった。
すべてにきっちりして隙がなさそうに見えるのに、タオルを捨てられないあたり、娘とは合う部分があるのだろう。

「もう毎日ホームシック。帰りたくないよう」
と言いながら娘は帰っていった。
ホームシックなのは本心だろう。
でも新生活が楽しいのも本心。
それでいい。



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