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カードを駒に持ちかえても。

我が家は、ポケカを引退した。理由はコロナ禍である。外出自粛なども含めてかなり厳し目の対応方針だった我が家はジムバトルなど対外的な対戦機会を失ってしまった。そうなると段々とポケカと離れていった。家庭内対戦だけで満足できる感じではもうなかったのだ。そして時間経つにつれてワクチン接種や社会的な対策が進み、コロナ禍の中で大会開催がより一般的になっていた頃には親子ともども熱が冷めていた。

 最後に箱で買ったパックは「VMAX クライマックス」だったと思う。もちろん今の色々な意味で異様に盛り上がっているポケモンカードの状況は横目で見ていて、お祭りに参加できていないような寂しさを感じることもある。でも、どこかホッとしている気持ちもある。

 そんなポケモンカードの代わりに長男の興味の中心になったのが『将棋』だった。突然2021年のクリスマスに駒の動きが分かる「マスター将棋」が欲しいと言いだし、翌2022年3月には地元の将棋教室に通いだした。初日に先生に8枚落ちで負かされ15級に認定された。

 息子はある意味で予想通り、あっという間に上手くなった。駒の動きは初日にマスターし、駒の動きが書いてある「マスター将棋」はすぐに役目を終えた。パパが初めて負けたのは彼が将棋をはじめて2週間経ったころ。負けるわけはないと思っていたので、さすがに驚いた。それからパパも将棋の勉強をはじめた。詰将棋を解いたり、プロ棋士の対戦動画をみたり・・ある程度、抵抗はしたものの子どもの成長速度に叶うわけもなく、パパの勝利は5割になり3割になり1割になり・・・今では2枚落ちでも太刀打ちできない。

 詰将棋や棋譜並べなど将棋には様々な練習方法があるが、長男が最も好んだのは、あの頃と変わらない「一人まわし」だった。ポケカに熱中していたころのように自分vs自分の対局を飽きもせずに朝から晩まで、ずっとやっていた。ポケカで色々なデッキ同士を戦わせるように、将棋では自分の得意戦法と他の色々な戦法を戦わせたりしていた。またポケカで変なデッキを組んでいたように、独自の戦法を考えていたりした。カードが駒に変わっただけで、本当に何一つ変わらない光景だった。

 ありがたいことに将棋の世界では大会が盛んに開催されている。もちろん競技は違えど対人戦の経験も豊富だったので、年上や大人との対局も問題はなかった。「将棋ウォーズ」などオンライン対戦環境も非常に将棋界は整っているが、長男はあまり好きではないらしく、それほど熱心にはやっていない。「対面で人と指す方が楽しい」と昭和のおじさんみたいなことを言っている。だから大会には積極的に参加した。毎週末、将棋教室や将棋大会のつきそいに行くことは我が家の新しい日課になっていった。

 またJTこども大会などの大型大会も、まんまチャンピオンズリーグで笑った。広大なイベント会場に所狭しとならぶ事務机とパイプ椅子。初対面なのにあっというまに仲良くなっておしゃべりをしだす子どもたち、対戦エリアの外から心配そうに見守る保護者達…。あぁ、またこういう世界に帰ってきたんだなと懐かしい気持ちになった。

 ポケカを始めたばかりの日々を、将棋でも繰り返している感覚があった。その時に、このnoteの存在を思い出し、あの頃、読んでいただいた方に長男の話をご報告したいという気持ちになった。「カードを駒に持ちかえたけど、元気にやってます」って。なぜこのタイミングだったかというと、少し前に長男が初段に認定されたからだ。初日に8枚落ちで勝てなかった先生に2枚落ちで勝てるほど、息子は成長していた。いい区切りだと思ったのだ。
※フォローいただいている方はポケカ関係がほとんどだと思うので、将棋の話はご興味ないかもしれませんが・・・

 息子がスムーズに将棋を上達することができた理由の一つは、間違いなくあのポケカに熱中した日々があったことは間違いない。彼の将棋を見ていると純粋な棋力だけでなく、「勝負のかけひき」「ゲーム慣れ」みたいな要素で勝ちを拾っていることも多く、これは4歳、5歳の頃からポケモンカードの世界で遊んでくれた多くのプレイヤー達のお陰である。もちろん、最初から将棋に熱中していたらもっと強くなっていたのではという話もあるし、あんなにお金を使わなかったのではとも思うが、それはパパである自身も楽しんだし仕方がない。

 以前も書いた通り、子どもが真剣になにか一つのことに取り組むのであれば全力で応援するというのが我が家の方針だ。それはカードが駒に持ちかえた今も変わらない。彼の将棋熱がいつまで続くかは分からないが、しばらくは応援していこうと思う。

※写真は一人回しをする長男。盤面がぐちゃぐちゃなのもポケモンカード時代と変わらない(笑)

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