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今日の子供

わたしはお客様がやってくる「窓口」業務をしている。
そこには日々、いろいろな人がやってくる。
たいていは、ある事柄に関して困っている人、助けを必要としている人たちだ。

時には、困っている親に連れられて子供もやってくる。
子供はあまり困っていないので、親がややこしい話をしたり手続きの書類を書いている間は、おとなしく待っていなければならない。
小学校に上がる前くらいの子供を静かに待たせるために、ここでは、ぬりえと、ペンや色鉛筆を用意している。

今日やってきた3歳くらいの男の子は、ペンはペンでも蛍光ペンが良いとハッキリと言う。さらに、オレンジ色で塗りたいと言う。
オレンジ色がペンのセットの中に見当たらず、私はいろいろな人のデスクを回って、その子のためにオレンジの蛍光ペンを探し、手渡す。

子供はだまってそれを受け取り、静かに、熱心に、大人気のヒーローを塗りだした。

オレンジ色って、いいよね。
元気出るよね。

心の中で、そう、呼びかけた。

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