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Do as infinity『エレジー』と隠れた名曲

 どのアーティストにも必ず、代名詞となっている曲がある。スピッツなら『ロビンソン』、福山雅治なら『桜坂』といった具合に。

 それと同じようにあるのが、隠れた名曲だ。

 隠れた名曲は、ファンしか知らないような曲、マイナーな曲であることが多い。そして、歌詞やメロディーにどこか心打たれるものがあるのが特徴だ。

 隠れた名曲の一例として、Do as infinityの『エレジー』という曲がある。

 Do as infinityと聞いてわからない人のために説明しておくが、『犬夜叉』や『フェアリーテイル』の主題歌を歌っていた。ドラマの主題歌では、『初体験』、『チームバチスタ3 アリアドネの弾丸』。ゲームだと、『戦国BASARA』の音楽に曲が使われている。

 もしかしたら、名前は聞いたことはないが、曲なら聴いたことがある人は多いのではなかろうか。


『エレジー』を初めて聴いたのは、音楽サイトでDo as infinityと調べていたときのこと。調べていた理由は単に、『深い森』と『君がいない未来』を聴きたくなったからだ。

 音楽サイトで「Do as infinity」と調べたら、曲をメドレー形式で試聴できたので、少し聴いてみることにした。

 聴いてみたとき、元気が出る曲が多いなと感じた。

 歌詞やメロディーは比較的明るく、背中を押してくれたり、生きてゆく強さを与えてくれたりする。もちろん『深い森』や『黄昏』のように、片方しかあてはまらないものもあるが。

『陽のあたる坂道』、『楽園』、そしてかねてから聴く予定だった二つの曲を聴いたあとのこと。

 次はどんな曲が聴けるかな、と楽しみにしていたときに、先ほどまで聴いていた曲とは真逆の、陰鬱なギターの前奏が始まり、

思い出溢れ 涙止まらないよ
Do as infinity『エレジー』

 という歌い出しが聴こえてきた。

 先ほどのものとは違う曲調の歌詞に興味を持った私は、さっそくダウンロードしてみることにした。

 聴いてみると、どこか悲しげな感じがした。苛まれるような気持ちにさせる歌詞、曲の持つ寂しさをより引き立たせる暗いギターの音色。タイトルの『エレジー』が、日本語で「悲歌」や「哀歌」を意味しているだけある。

 浅はかな自分の行いが友達を傷つけ、そのせいで縁を切られてしまった。5年経った今でも、忘れようとしても忘れられない。そして、自分のわがままで友達との思い出と縁を切った後悔に、今も囚われている。歌詞の感じからして、そんなところだろうか。

「大事だった誰かに囚われている」

 という面では、スピッツの『楓』によく似ている。

 ただ、違いをあえて挙げるとすれば、忘れられない対象が、恋人か友達か、故人なのか存命なのかだろう。あくまで私の解釈から見ての話だが。


 Do as infinityの『エレジー』についての話題を、音楽好きな友人とフォロワーさんに出したことがあった。

 音楽好きな友人は、

「いい曲だ。過ぎた時間がもう二度と戻らないことが歌われていて」

 と気に入ってくれた。

 彼の過去について、私はよく存じてはいないので、誰かと縁を切った経験があるかどうかはわからない。だが、想像力や考える力はそれなりにあるうえ、感受性の強い人物だった。ゆえに、彼なりに思うことがあったのだろう。

 そして最近、フォロワーさんとDo as infinityの『エレジー』について語り合う機会があった。

「悲しい歌を聴きたいな」

 音楽の話をしていたときに、フォロワーさんが、こんなことを言い出してきた。

 私は自分の知っている「悲しい歌」をいくつか紹介した。

 紹介したのは、浜崎あゆみの『Dearest』、Brian the sunの『カフネ』、米津玄師の『Orion』など。今思えば、紹介した曲はほとんど、『犬夜叉』と『3月のライオン』のエンディングだった。

 その中でも特にフォロワーさんが気に入った曲が、Brian the sunの『カフネ』とDo as infinityの『エレジー』だった。

 Brian the sunの『カフネ』を気に入った理由は、

いつのまにか 僕の手に 余るほど愛してた
それでもいい 精一杯背伸びして 抱きしめたいんだ
Brian the sun『カフネ』

 というサビの一節にジーンと来るものがあったからだそうだ。

 Do as infinityの『エレジー』については、具体的な一節をあげることなく、

「何年経っても忘れられない辛い過去を振り返っているような感じだね。とても辛いことがあった日以降の毎日を思い出させてくれる」

 と自分の経験を交えながら、そのままの印象を話してくれた。

 フォロワーさんの率直な感想を聞いて、私は気づいた。この曲を気に入った理由が、音楽好きな友人と同じであることに。

 私が『エレジー』を初めて聴いたのが高2のころだった。そのときにまず感じたことが、友達やフォロワーさんが言った感想と同じことだった。そして同じく後悔していることならば、誰よりもある私のことだったので、なおさらだ。

 やはり、隠れた名曲には、有名な名曲に匹敵するほどの力があるようだ。ものによってはそれ以上かもしれない。

 例えて言うなら、こんな感じだろう。外装をぱっと見だけでは、地味で誰も気づかない。だが、入ってみると、料理がおいしいお店のような感じだ。

 だからこそ、ファンたちに愛され、人から人へと語り継がれているのだろう。 

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