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日本酒 古酒・熟成酒飲み比べ(千葉県いすみ市 木戸泉酒造 特別純米 鈴木三河屋SP)

今日は、貯蔵・熟成温度は違いますが、全く同じ日本酒の飲み比べです。

20210618木戸泉瓶jpeg

家の中をごそごそしてたら、飲みきれなかった日本酒の瓶が出てきました。
瓶を立てて常温の暗いところに一年くらい置いてました。
少しいただいてみたら、おいしい!

その後、同じものが、一年前と同じお酒屋さんで、冷蔵で貯蔵・熟成され続け、販売されているのを発見。
比べてみたい!

木戸泉 特別純米 鈴木三河屋SP 仕込み21号 無濾過原酒(高温山廃仕込み)

酒蔵は、先日いただいた日本酒と同じ木戸泉酒造。

また、先日の日本酒と同じ、高温山廃仕込み。
先日の日本酒の説明書には、高温山廃にすると、「一本すじが通った酸が生まれます」とありました。

「鈴木三河屋SP」とは、「この作品(この日本酒)は数本仕込む山田錦のタンクの中から店主(鈴木三河屋の店主)が納得いくものを厳選した別誂え品」という意味です。

「仕込み21号」は、選ばれたタンクの番号だそうです。

20210618木戸泉裏ラベル

つまり、二本は、同じタンクの日本酒です。
いくつかのタンクの日本酒を混ぜて味の調整をすることが結構あるらしいので、同じタンクの日本酒の飲み比べって、そんなにできることではないのかもしれません。

「特別純米」、この純米酒が「特別」なのは、精米歩合が60%だからだと思います。
「無濾過」なので、日本酒を絞った後、残った固形物などを除去する濾過をしていない、ということ。
「原酒」なので、割水をしておらず、アルコール度数高めです。

二本の木戸泉のその他共通点

二本の木戸泉は、次の通りの同じスペックです。

原料 米(国産)・米麹(国産)
原料米:山田錦 100%(兵庫県産)
精米歩合:60%
アルコール度数:18度
日本酒度:➖➖
酸度:➖➖
アミノ酸度:➖➖
酵母:自社酵母(協会7号系)
価格:1,650円(税込)720ml
上槽年:2017BY
製造年月(瓶詰年月):2018年3月
出荷年月(蔵出年月):2018年10月

上槽年「2017BY」ということは、2017酒造年度、つまり、2017年7月から2018年6月の間に造られた日本酒。
製造年月(瓶詰年月)が2018年3月なので、3月かそれより前に上槽されたことになります。
今は2021年6月なので、熟成期間は、最低でも3年3ヶ月ですね。

瓶詰め(2018年3月)から出荷(2018年10月)までの7ヶ月間は、木戸泉さんにて、出荷以降は、鈴木三河屋さんにて、どちらも冷蔵での貯蔵・熟成だそうです。

二本の木戸泉の違い

熟成期間(3年3ヶ月)のうち、直近一年の貯蔵・熟成が、冷蔵だったか(冷蔵もの)、常温だったか(常温もの)、という違いがあります。
また、冷蔵ものは、ずっと未開封で貯蔵・熟成でしたが、常温ものは、一年前に開封後、瓶の中身が半分ぐらい残った状態で貯蔵・熟成でした。

右が冷蔵もの、左が常温もの。
う〜ん、1m以上離れてても、グラスから香りが漂ってきます!

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未開封でずっと冷蔵貯蔵・熟成(冷蔵もの)


レモンイエローに少しグリーンがかっているよう。

香り
わたあめのような甘い香り、ヨーグルト、ナッツ、チーズ、少しバターぽい感じも。


ふっくらした甘旨にしっかりした酸が加わり、苦味が来る。

余韻
甘旨は少しして穏やかになり、酸味と苦味が続き、最後は苦味が残り、ふっと消える。

ペアリング
これだけで、ずっと飲んでられるな。
しばらく飲んでると、最後は心地よい苦味が口の中にふわっとひろがるようになるんです。

何かと一緒にいただくなら、ちょっと酸味があるパンにパテを乗せて。
かぼちゃを甘さ抑えめで煮たのにも合いました。
京都で季節になると出てくる鮎の形をした和菓子(焼皮に求肥)やダークチョコともいいですね。

開封後の直近一年は常温貯蔵・熟成(常温もの)


黄色。

香り
しょうゆ、椎茸のだし、バター、スパイス、少し野生的な香り、クリーミーなヨーグルト。
鼻につんとくる。
冷蔵ものより複雑な香り。


甘旨味、まろやかな酸味、そして苦味が来る。
冷蔵ものより、とろみとボリューム、そしてコクを感じる。

余韻
甘旨味を心地よい酸味と苦味が覆って、ほのかな酸味と苦味が残るが、最後は苦味がスーッと消えて行く。

ペアリング
これだけでもおいしい、くせになりそう。
ちょっと酸味があるパンにパテをのせて、バルサミコ酢を少しかけたものと一緒にいただいてみたら、よかったです。
ピーマンとおじゃこを、砂糖と醤油をちょっと加えた一番出汁で炊いたものとも合いました。
鶏肉に茹でたキャベツやにんじんなどの野菜を、ライムやナンプラーが入っているエスニック風ドレッシングに絡めたものともよかったな。

まとめ

飲みきれなかった日本酒を瓶にいれたまま常温貯蔵したって、ちゃんとおいしく熟成します。
そんなに過保護に扱わなくても大丈夫なよう。
全部の日本酒がそうではないかもしれないけれど、少なくとも、そういう日本酒はあります!

そして、冷蔵貯蔵・熟成には、また違うおいしさがありました。
一つの日本酒の楽しみ方は、いくつもありますね。

ところで、この日本酒の価格、今も一年前も同じでした。
消費者にとっては嬉しいことですが、これでいいのかな、と少し思いました。

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