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1on1で、できる上司ほどやりがちな2つの間違い

それなりに良い1on1はできているはず。
そう思っているマネージャって、多いんじゃないでしょうか。

さすがに、マネージャが説教し続けるような全くダメな1on1ではしていない。1on1の大事さも分かっているし、メンバーの話を聞いて役にたっている。そんな現状のマネージャです。

今回は、そういった「1on1結構がんばってるぞ!」というマネージャに贈る、ちょっと踏み込んだ内容について書いてみたいと思います。

まず、はじめにこんな調査結果からご紹介。

ある調査で、3761人の経営幹部に自身のコーチングスキルを評価してもらい、それを同僚による評価と比較したところ、双方の評価にはギャップがあった。経営幹部の24%が自分の能力を過大評価し、平均以上だと答えたのに対し、同僚からの評価では、彼らは下位3分の1に属していた。明らかな不一致だ。
ハーバード・ビジネス・レビュー日本版 2020年7月号 「リーダーのコーチング能力を高める方法」ハーミニア・イバーラ、アン・スクーラー

つまり、自分の1on1の状態を自分で認識するのはなかなか難しいということです。これは、私の経験からもそう思います。
さらに言うと、結構うまくできていると思っているマネージャほど、陥りやすい間違いが2つあるなと感じます。

順にご紹介しますので、自分自身の1on1を振り返りながらお読みください。

間違い① 相手の問題を解決する
できる上司に一番多いのがこのパターンです。

メンバーが何かを相談してきたら、相手に質問をして話をさせます。そういう意味では、問いかけて聞くという1on1のセオリーを体現しています。ただ、質問の意図は、自分が問題解決するための情報収集になっているというパターンです。

このパターンは、自分の思考順序で質問をして最後に「自分ならこうするよ」というようなアドバイスをして問題解決し、物事を進めていくような会話の流れをつくっています。メンバーは自主的に考えて発言しているというより、決まった流れに乗っているだけという状態です。

飛行機のコックピットに例えるなら、メンバーが主パイロットで飛行機を飛ばしていて、マネージャは副パイロットしてサポートするはずなのに、副パイロットが操縦かんのコントロールを奪っているような状態です。

教育の一環として意図的にやっているなら良いのですが、マネージャとしてメンバーに自分で考えてもらったと満足しているケースもあります。メンバーの成長を目指し、現場で担当しているメンバーならではの発想、自分を超える発想を生み出したいという目的であれば、操縦かんはあくまでメンバーに握り続けさせるべきです。

できる上司ほど、問題解決の先が見えて操縦かんを握りたくなるようです。それは、早く解決したいのか、自分の力量を相手に見せたいのか、何のためにやるのか、あらためて考えてみてほしいのです。

間違い② 相手の話に入り込む
1on1は相手の話を聞くことが大事。それを忠実に行動にうつしてはまってしまうのが、このパターンです。
メンバーの話をずっと聞いていると視点が相手と一緒になり、2人で一緒になって悩んでしまいます。優しいマネージャに多いパターンのように思います。

先ほど、マネージャは副パイロットという話をしましたが、マネージャは副パイロットであると同時に管制官にもなる必要があります。

今、会話に出ている情報には存在しない違う視点で状況を見て問いかける役割があるのです。たとえば、メンバーが仕事がうまくいっていないという話をすれば、反対にうまくいっていることは何なのか?に目を向けます。また、メンバーが自分の能力について話しているなら、周囲との関係について目を向けます。

このようにコックピットからは見えない視点にも意識を向けながら、テーマと向き合っていくことが大切です。
自分が相手の話に入り込んで悩んでしまっていると思ったら、ぜひ一度周囲を見渡して、そこにない視点で問いかけてみてください。相手と一緒に問題に頭をつっこんではいけません。


この2つの間違いは、「問いかけて聞く」という1on1の基本会話スタイルを守っています。だからこそ上手くいっていると勘違いしやすいものともいえるでしょう。
副パイロットと管制官を意識しながら、対話を進めることで、もう1レベル上の1on1を実現できるのではないでしょうか。

今回説明不足なところもあるので、ご質問ある方はぜひコメントにどうぞ。また、時間のある時にご返信します。

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