見出し画像

ここ数年で自分が手伝ってきた同人誌のまとめ その2

 女性向け同人界隈でバリバリ活動されている方と比べれば全然なのですが、自分が今までどういった同人誌に関わってきたのかを記事にまとめてみようと思いました。18禁企画やグッズ関係、ゲスト原稿を除いたお手伝い経歴です。その1(2015~2021)はこちら

■POKEMON GIJINKA SKETCHBOOK (2021.12.30)

画像1

内容:ポケモンの擬人化アイデアスケッチ集
発行:Jelly & Dandy(発行者:Jellyさん, Dandyさん)
担当:編集手伝い・翻訳ちょっと・おまけ冊子制作等
印刷所: 印刷-㈱グラフィック 製本-(有)長井製本所
□POO松本さんによるレビュー □通販ページ

※インドネシア在住のイラストレーターJellyさんとアメリカ在住のDandyさんがめちゃんこかわいい&かっこいいポケモンの擬人化イラストを描かれるので、本作りましょうよということで完成した本がこちらです。素晴らしいゲストの皆さまの作品と併せて、めちゃんこ素敵な本ができました。
※擬人化、というと人間キャラクターがベースでその上にパーツや衣装として足していく、といったイラストが過半だと思うのですが、お二人の擬人化デザインは獣人化——というか、出来る限り元のポケモンのアウトラインを残しつつ人間に近いキャラクターにまとめる工夫が非常に巧みで、デザインの引き出しも超豊富なので物凄く見ごたえがあるのですが、その見応えがそのまま本の形になったという素晴らしい仕上がり。圧巻です。
※横長の短辺綴じはJellyさんのアイデア。「吉成曜画集 ラクガキ編」みたいでめっちゃ可愛い仕上がり。
※製本までグラフィックさんにご依頼するのではなく、(有)長井製本所さんに分割発注。理由は次の「ORBIS Vol.2 -Russian / Belarusian illustration-」にて説明があります。また、二冊を一度に発注する事でちょっとだけコスト削減させてもらったり。

画像2

※ついでに未使用のスケッチをまとめたおまけ本を制作&こちらの製本も同時に長井さんにお願いする事でケチケチとコスト削減。貧乏ってヤーネハハハハ……。おまけ本なのでこちらはホチキス中綴じに。本体はボリュームの都合上当然無線綴じ。

■ORBIS Vol.2 -Russian / Belarusian illustration- (2021.12.31)

画像3

内容:ロシア・ベラルーシ出身”ケモノ系”イラストレーター紹介本
発行:怪獣使いの遺産(発行者:自分)
担当:アンソロ主催がやるようなこと色々
印刷所: 印刷-㈱グラフィック 製本-(有)長井製本所
     箔押-箔押しのLEDA
□POO松本さんによるレビュー
□通販ページ ( メロンブックス / アリスブックス

※以前編集させて頂いたポケモンの同人アンソロジー「Project ORBIS」と本の題名がカブっているのですが、それとはまったく関係のない内容のインタビュー集「世界の特定の地域をテーマにしたケモノ系作家さん紹介本」第2弾。
※特定の地域、例えば国で括らせていただいて、ケモノ系作家さんのインタビュー集を作ろうとすれば、ある程度作れる地域が限られてくる(国の人口やITインフラの普及度、ケモいカルチャーへの親和度等の問題)中で、特に個人的に興味をそそられた国としてロシアとベラルーシの作家さんにご協力をお願いする事に。前回の中国本と同じく、「日本のご近所だけどなかなか情報が手に入りにくい」国として。結果として、今まであまり個人的に実感できていなかった二国に住む人々の多様性や文化の豊かさを知ることが出来て非常に良い経験になりました。
※そして強く印象に残っているのが、参加して下さった作家さんの凄い熱気。自分の場合、おおまかな大枠だけ設定させてもらって後はご自由にどうぞ、という編集スタイルを同人アンソロ編集の時に取ることが多く、何故なら ①自分の発想力の限界 ②楽しさ第一の趣味の世界で相手を縛るような事するのはよくない という理由からなのですが、この方針の長所であり短所であるのが作家さんのモチベーションに思いっきり左右されるという事。企画を楽しんでぐいぐい来て下さる作家さんに「それだったらこういう形でできますよ!」という形でアンソロの幅を広げられる一方、そうでない方はどうしても小さく纏まってしまう。とはいえ、そうでない方だったとしても同人とは個々人それぞれに楽しみ方のある趣味の世界な訳でして。うん、自分の同人企画が気晴らしや気分転換になったらそれで十分っす……! なんだけども、できれば思いっきり楽しんで欲しい……んですよね……。
※――話を戻して、元々はインタビューのみで構成された本だった所「自分が住んでるコーカサス地方の民族衣装とか風習とかの知識あるのでそれにまつわる絵を描くよ」「えっそれなら解説文書けますか?」「まかせろー」という形で急遽冒頭に解説ページを用意したり、そもそも回答の文章量が多かったりして「ええい2ページ見開きから4ページに増ページじゃい!」など建設的なやりとりや嬉しいサプライズでどんどん良い方向に本を膨らませていただけて、編集作業は間違いなく至福の時間でした。ほんと良い本を作らせて頂くことができて光栄です。ご参加下さった皆様には何度感謝を申し上げていいのか分かりません。いやーこんな日本のよく分からんヤローによくも……(涙)。
※とはいえ、内容増はページ増、当然コスト増ということで、コスト圧縮の為に前回ご依頼した(有)ねこのしっぽさんから㈱グラフィックさんに変更。といっても印刷から製本まで一貫で依頼する通常の方法ではそこまで費用を削れないので(余談として、データチェックや同人活動フレンドリーなきめ細かい発送作業については雲泥の差なので、少しの値段の差ならねこのしっぽさんに依頼させて頂く方が圧倒的に良い)、グラフィックさんでは印刷のみを行い、箔押しは箔押しのLEDAさん、製本加工は(有)長井製本所さんに依頼。こうすれば何故か費用が安くなる。何故なのか? 分からない……。
※しかし、分散発注するということは各会社さんへの連絡やスケジュール整備を自分が行わないといけないということ。グラフィックさんに一括発注ならボタン1発ポチーで済むところ、まず各業者さんの必要納期を問い合わせて脳内に工程表を作り、それを元にグラフィックさんに発注→発送先はLEDAさん&LEDAさんに連絡・指示→発送先は長井さん&長井さんに連絡、という連絡ラッシュで、1度崩れたら連絡し直し、この手間賃こそが一括発注に費用がかかる理由……!(ちょっと違う)
※しかししかし、分割発注するということは工夫次第で装丁の幅が広がるという事で、今回はLEDAさんに同じ版型を使いまわして二種類の色味で表紙と裏表紙に箔押しをご依頼(○||の部分がソレ)。制作費はできるだけ圧縮したいわけですが、特殊加工をただ単純に減らしてコスト減を図るのではなく、版を使い回すという形で版製作費を抑えて、かつ箔押し通数が増えることに1通あたりのコストが下がるのが通常なので(多分)、デザインとアイデア次第で低コストでリッチな仕上がりになるという算段です。

20210129_084535 - コピー (2)
画像5

(他の例:同じ版・違う色味という同じ発想で作った額装風箔押しポストカード。コ型の版を作り1回目銀色、2回目金色の箔押しを行う事で、金銀二色の額縁風箔押しに。超絶精度の高い箔押しは当然ながら(有)コスモテックさんのお仕事)

※長井さんからは今回もこってりと製本用刷本を制作する際の注意点を丁寧に教えて下さり、物凄く良い勉強をさせて頂いて恐縮恐縮オブ恐縮でございました……。本当に有難いことです。
※と、良い思い出ばかりが詰まった同人アンソロだったのですが、アレが始まってしまった訳で……。作家さまを勧誘中に「ウクライナの人も呼ぶのはどう?」とご提案頂いたり、発表後もウクライナの方が本の告知をRTしてくれたりと、政治的にはかなり緊張していたものの民間交流はさほど悪くなかった中でのアレだったので、しばらくはかなりのショックを受けてどんより落ち込んでいました。そして突然に多くの人の人生が狂うという異常事態が、天災によって引き起こされたものではなく、たった一人の人物の狂気によって引き起こされたという事も、そしてそれが今後の二国間の関係性に大きな影響を与えるであろう事も。天災という人間の範疇外である災厄でなく、国家や民族の対立というスケールではなく、人間の内部で引き起こされた事物が、多くの人を死に至らしめて人生に不可逆的な悪影響を与える、そういった世界が今ここに存在することや、その世界にこの本を通して生まれた新しい友人たちが巻き込まれた事も。
※とにかく皆が無事で生き延びてくれることだけを望んでいます。

■許されざる いのち (2022.08.13)

内容:ポケモン二次創作漫画同人誌
発行:怪獣使いの遺産(発行者:自分)
担当:自分の個人誌でございます
印刷所: 表紙・白黒本文・製本-(有)あかつき印刷
     カラー本文-㈱グラフィック
     表紙トムソン加工-創成企画㈱ 

※ぽちぽち自分が描き続けていたポケモンの短編漫画が、無事完結したので一冊にまとめました本。せっかくなので前からやってみたかった「表紙に穴をあけるやつ」をやることに。つまりトムソン加工ですな。
※といっても大分前に実はレーザーカット加工で表紙に穴を開けたことがあるので初めての経験ではないのですが、トムソンするのは今回初&何事もやってチャレンジと経験、ということでレーザーカット加工をした時にお問い合わせをした会社さんの内の一社さんである創成企画さんにメールでご相談。快く引き受けて下さりそうな感じだったので、早速工程を組み立てる。
※1P目のフルカラーの口絵がクロマティコ(色付きトレーシングペーパー)越しに透けて見えるという装丁なので、カラー口絵との対比の為に表紙はごくシンプルに(作業負担を減らすという意味合いももちろんアリ)。だけどのっぺりしないように表紙は特殊紙を使う。マンガの中に夜空について言及するセリフがあるので、夜空を思わせるキラキラ感のミランダの黒色をチョイス(あかつき印刷さんも表紙フェア用に確保しているという理由もアリ)。ついでに表紙は1色刷りとし、あかつき印刷さんが色替え用に準備している銀インクを使うことにして製作費を抑えることにします。
※そして「穴、開けたいんスよ」とあかつき印刷さんに相談した所、穴の位置や大きさによってちゃんと給紙できるかどうか不安ということで一度テストしてみたいとの事。かなり余裕のあるスケジュール進行で表紙デザインも既に超早めに仕上がっていたので、問題無く表紙データを送り無事OKの返答を貰う。つまりは、穴を開けようと思うとかなり前倒しにしてデザインを進めないといけないという訳ですな。
※とはいっても、今回の同人誌で一番作業時間が必要なのは1P目のフルカラー口絵である訳で、今回のようにシンプルにすぐデッチ上げられるような表紙デザインにすれば、製本会社さん側での事前テストを早めに通過させることが可能になる訳なので、ここはデザイン担当者の工夫し甲斐のあるポイントでもありそう。
※ということで、あかつき印刷さんに表紙入稿→創成企画さんに刷り上がった表紙を送って貰う→穴を開けて貰った表紙をあかつき印刷さんに戻してもらって→印刷された本文と一緒に製本! 完成!
※子供が砂場で穴を掘るのと同じように自分も表紙に穴を開けるのが好きな訳なので大満足なのですが、大きな穴をあけてしまうと表紙をめくるときに割と不便、という学びも得たので、次回の課題は「ちょうどよい穴の大きさを空ける」かな。いっそ窓貼り加工にチャレンジしてみますかねゲヘヘヘ。 

■ORBIS EX-1 SCHOOL LIFE (2022.10.1)

内容:世界の学生服イラスト紹介本
発行:怪獣使いの遺産(発行者:自分)
担当:アンソロ主催がやるようなこと色々
印刷所: 印刷-㈱グラフィック 製本-(有)長井製本所
     箔押-(有)コスモテック PP加工-㈱東京加工
POO松本さんによるレビュー
□通販ページ ( アリスブックス

※キャラクターを表現する演出として、「ケモノ」であることに意味がある同人誌を作りたい、という問題意識を以前から持っていまして。そんな課題に対してある程度向き合えたんじゃないかな、と思っている同人アンソロです。つまり、「ニンゲンの絵ではなくて、ケモノキャラという架空の存在を経由して表現」したからこそ、学生服や学生文化、あるいはそれぞれの作品の作家さん自身の個人的感情に寄り添える内容になったんじゃないか、と考える訳です。
※というのは、これがニンゲンの絵であるならば、どうしてもそこに肌の色であるとか、「人種」であるといった文脈とそれに基づく先入観を読者さんが持ってしまう訳です。もちろんそういった文脈も重要ではあるのですが、今回はそれを切り離して、作家さんが描く個人の体験・経験を通してそれぞれの国の文化に読者さんが興味を持ってくださったらイイネ、という狙いを、作家さんが個人的な好きな種族のケモノキャラ(=作家さんの個人的な好み以外は無文脈なキャラクター)を依り代にすることで実現出来たりしないかな~という感じですね。
※タイトルについて、世界のケモノ系イラストレーターさん紹介本である「ORBIS」シリーズのオマケ(extra)ということで、EX-1というナンバリング。オマケとはいえスペシャル感を出したいので、ホログラムっぽい箔押しを軸に考えていきます。また、学生文化がテーマという連想で、紙の質感を黒板に近づけたいのでベルベットPPを表紙加工にチョイス。この時点でグラフィックさんでは依頼できない仕様になったので分割発注で製本までもっていきましょー。
※ということで表紙の回付ルートは以下

①グラフィックさんにA2カード印刷として表紙2面付データを入稿。東京加工さんに納入

②東京加工さんにてベルベットPP(ただし、東京加工さん内での呼び方はソフトマットPP)加工、コスモテックさんに納入

③コスモテックさんにてホログラム透明箔押し加工、長井製本所さんに納入

④長井製本所さんにてグラフィックさんより納入済本文と合わせて製本

ホログラム箔は押される側の素材と上手く相性がかみ合わないと綺麗に箔押しできないという難点が有り、とはいえ以前コスモテックさんベルベットPP+ホロ箔をやっつけてもらった経験があったので問題ないでしょーとお願いしたものの、ホログラム透明箔は透明箔で色々とあるらしく、結局事前にテスト押しすることに。ホログラム箔ほんと難しいな! そしてテスト押しの結果、コスモテックさんで取り扱っている2社のうち1社のものはガビガビになっちゃったものの、もう1社のホログラム透明箔は綺麗に箔押しできたということでそちらを使って本番の作業を進めて頂く事に。いやほんとホログラム箔難しいな!!
※とはいえ、上記の問題は箔押し面積にも左右されるものでもあり、当初の計画通りタイトルロゴ部分のみに小さく箔押しということにすれば問題は発生しなかったのかもしれない(素人考えですが)のですが――表紙を描いた方は中国のイラストレーターさんで、だったら一度カッコよく簡体字で表紙に文字ズビズバーンって書いて欲しいという中二病が抑えきれなかったので静まれない俺の左手(のサイフ)から万札がズビズバーンという……。それにホログラム透明箔だったら、結構大きめに押さないとホロだと分からなさそう的な不安もあるし……。

■Grande Valse brillante (2022.12.31)

内容:ケモノっ娘×コスチューム創作イラスト集
発行:Space Cat (発行者:Bukoyaさん)
担当:紙面デザイン・編集手伝い・翻訳
印刷所: 印刷-㈱グラフィック 製本-(有)長井製本所
     箔押-(有)コスモテック
POO松本さんによるレビュー
□通販ページ ( アリスブックス

※『Fantasy Forest』に引き続いてのBukoyaさん主催の同人アンソロのお手伝い第二段。表紙に使用した紙は『パチカ』。加熱スタンプを押した場所が半透明になる不思議な紙です。一度表紙用紙に使ってみたかったので、パチカに合わせて色々と仕様を決定させて頂いて――そしてそれが泥沼の始まりだった……。
※……といいつつも泥縄という訳ではなく、単純に試行錯誤がわんさか必要だったというだけの話でもあり(だけ?)、まずは製本過程で出てきた問題点を以下に列記。

①パチカ、クソ高い
②パチカ、ちゃんと製本糊が使えるか(製本所さん的に)不明
③パチカ、加熱押し加工済みでもちゃんと無線綴じ機に給紙されるか(製本所さん的に)不明


①については石油王になることで解決できるのですが、自分は来世にならないと石油王になれなさそうなので今できる次善策を考えます。
※まずパチカを購入させて頂く紙問屋さんのウェブサイトにてパチカの全紙サイズを確認。『788x1091mm』ということで、紙目に気を付けながらこのサイズから何枚の表紙用刷本が良い感じにゲットできるかを計算します。

以上が導き出された刷本サイズ。全紙サイズ1枚から9枚の刷本がゲットできるという算段ですな。このサイズに従って仕様を決めて、製本会社に相談にお伺いします。そして出てきたのが②。紙によってノリ付けできるできないがあるなんて知らなかった……。刷本と同じサイズでなくてもいいということで、紙問屋さんからA4サイズのパチカを購入し、製本所さんに送ります。テストの結果OKが出たのでようやく仕様にGOが出せました――
※―—といいつつ、箔押し段階で新たに発生する問題③。パチカ、加熱押しすると紙が収縮してちょっとヨレちゃうんですよ。そのヨレた状態で給紙ができるのか?という不安が発生し、製本会社さんに改めて相談させて頂いたところテストしてみないと分からないですというお返事(そうですよね……)。ということで2度目のテストを行います。トホホ……。
※加熱押し後の製本可否が重要なので、まず箔押会社さんに箔の色味合わせも兼ねて校正押しをお願いします。また、不可だった場合を考えてもう1種類の紙を用意しようということで、半透明用紙のシープスキンにも校正押しを依頼します。紙問屋さんにA4ではなく、刷本と同じサイズに裁断したパチカとシープスキンを用意して頂いて箔押し会社さんに発注。また、表紙に使用するパチカの厚みが130gとペラさが不安だったのでこんな仕様を考えていました。

(※実際に使用した紙はコート165kgじゃなくて180kg)

上記の通り、パチカ以外にも1枚目と最終ページに厚みのある紙を使って糊付けに問題ないかも個人的に不安だったので、コート180kgの紙を自前で仕入れてテスト製本に使っていただく事に。そしてそのまま仕入れるのもつまらないので、グラフィックさんでコート180kgの紙にA4カードとして150枚フルカラー印刷して頂き、一部を製本、残りを4等分に裁断しておまけのポストカードを作って頂く事にしました。
※結果、パチカは問題なく製本できることが確認できたのですが、余談としてシープスキンについては製本糊が定着せず製本NG。そ、そんなことがあるのか……。無事に仕様通り進められたものの、プランBが綺麗に撃沈したのを見て恐怖を感じた吉宗であった。

■SLEEPING SHARK DREAMS (2023.5.5)

内容:サメがテーマの創作イラスト集
発行:SHARK DREAM(発行者:Requnioesisさん)
担当:紙面デザイン手伝い・編集・翻訳・インタビュー
印刷所: 印刷-㈱グラフィック 製本-(有)長井製本所
     箔押-(有)コスモテック
□通販ページ ( アリスブックス / メロンブックス

※ブラジルのイラストレーターRequnioesisさんのライフワークである、サメたちが主役の幻想的でKawaiiイラストをまとめた個人作品集。Requnioesisさんは毎年10月に『Sharktober』というTwitter上でサメのイラストをテーマに従って投稿しようという企画の発起人をされているのですが、2023年初旬に諸般の事情でフルカラーイラスト集を1冊編集する必要が出てきたジブンは、そのSharktoberに参加された方々のイラストを収録したイラストアンソロを編集するのはどうかとRequinoesisさんに提案させて頂くことにしました。するとそんなら個人誌を作ろうやということになり、マジか~~いやそっちでも最高なのでジブンは問題ないのですが、ただこの時点で締め切りまで2.5ヵ月とかだったような……。超スピードで取り掛からねばばば。
※まずは表紙。Requinoesisさんは表紙映えする超高密度なイラストが得意なのですがそんな時間はねぇ。時間が無い中で安定して見栄えが出るものは何か、はい箔押しです。また箔押しだよこの子は。そらもう手慣れた手つきで紙問屋さんに見積もりを出し箔押し会社さんに連絡をし覚悟完了。表紙の紙はオシャンな質感だけど映える色味のある紙がいいなということで『ビオトープ』をプレゼン。すんなりOKが出てヨカッター。あとは箔押しの絵柄のデザインをしてもらったらOKよっしゃデザインが届いた~予想外にシンプルなデザインですな。まぁいいいや箔押し会社さんに見積もりだ~

箔押し会社さん「箔押しのベタ面積が大きい+ベタに弱いホログラム箔を使用ということで、ピンホールなどによるミスが発生する可能性が高いっす」

ギョエエエグゴゴッゴゴゴゴオゴッゴゴッゴg

ギョエエエエエエあかんあかんこれはあかんで。でも今更デザインのやり直しをお願いする訳にはいかないので、ということで当初予定させて頂いた会社さんに頭を下げて別の箔押し会社さんにお願いする事に。そう、無茶振り相手といえば有限会社コスモテック。いつもすまんな……。相談の結果、なんか工夫したらOKじゃねの返事を頂けたので一安心です。
※そして本文。前述の通り密度の高いRequinoesisさんの絵をできる限り大きく印刷する為に、普段使用しているB5ではなくA4サイズでの製本を考えます。しかしながら、グラフィックさんで印刷したものを製本会社さんで改めて四隅裁断した後に製本する都合上、グラフィックさんに入稿するデータはトンボ付きデータである必要があります。つまり、印刷会社でA4サイズのチラシとして印刷してもらった場合、製本会社でA4の四隅のフチを裁断した後に製本する為に、どうしてもA4より一回り小さいサイズでの仕上がりとなってしまいます。普段制作しているB5サイズの本だとあんま気にする事はないのですが(印刷会社でA4チラシとして印刷→製本会社でB5に裁断)、今回はできるだけ大きくが重要。また、ビオトープの全紙サイズ(1091x788mm)から効率良く刷本を手に入れよう&1梱包(全紙100枚)分買わないと損でっせというアドバイスを踏まえて、自分の答えはこれや。

全紙1枚=刷本4枚+謎紙4枚

赤の部分は今回の本の表紙刷本として使った部分。青の部分については特に何も計画なくなんか家に転がってます。青の部分、将来的に使えたらいいね。なんかこのサイズの青っぽい本が以降出現したら伏線回収って言ってくださいネ。ということで仕様は決定しました。後は1ページ1ページちぎっては投げの地獄の編集作業です。
※本文デザインについては自分のアイデアもあったのですが、Requinoesisさんが割とこだわりのある方だったので時には協議、時には素材の制作をお願いして進行しています。なので今回の自分のデザイン面での貢献は「手伝い」レベルですね。とにかくRequinoesisさんが馬力ある方だったので(鮫力?)、他にも足りなかったイラストを描き下ろすわ長文インタビューには付き合ってくれるわIntelと交渉して仕事絵を本に掲載許可もぎとってくるわ効果的で密度の高い宣伝投稿をぶっぱしてガンガン通販成績上げてくるわ、まぁその分ジブンの仕事も増えまくってかなり大変だったのですが(折り込みポスターページとか初めて編集したわよ)、頑張った分だけやりがいが生まれた本でした。でも2.5ヵ月で編集するような本じゃないよこれ。

(将来に渡って続く……!多分)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?