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すぐそこにある未来 - 無人化された空港

昨年、将来なくなる仕事が話題となりました。じつは私の業界では、かなり近未来に実現する無人化の世界。

もう数年で、航空機に搭乗するまで、まったく人と会話することなく、人の手を介することなく、過ごす時代がやってきます。

ここでは、智代さんの海外旅行とともに、出国までの様子を見てみましょう。

航空券を買う

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智代さんはスマホでスペイン行きの航空券を探し始めた。いよいよ来月はスペイン旅行だ。一人暮らしの智代さんにとって、年に何度か旅行に行くのが楽しみなのだ。

検索サイトや航空会社のホームページなどから、出発時間や料金などを比べながら、一番よさそうなものを選ぶ。クリックをしながら、パスポートの顔写真ページを登録して、クレジットカードの番号を入力したら予約完了。

航空券はご自宅で印刷し、出発当日お持ちください

サイトからの確認メールから案内があった。

「安い航空券が買えたわ!出発時間もちょうどいい!ラッキー」

まだ出発までひと月あったが、智代さんはもうすでに旅行の計画を立て始めていた。

事前チェックイン

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「ああ、明日はスペイン!」

智代さんは、今日は普通に出社したが、気持ちはすでにスペイン!会社には心あらずだ。

「あら、航空会社からメールだわ」

事前チェックインはお済ませですか?
ホームページでチェックインができます。

「もう事前チェックインができる時間なのね。慌ててスマホでチェックインしちゃった。座席も通路側をゲット。今日は早く帰って荷造りしなきゃ」

NariNAVI登場!

当日の成田空港は晴天。智代さんは事前にダウンロードしておいた成田空港アプリ「NariNAVI」からの通知を受け取った。

おはようございます、智代さん。空港に到着しましたね。
手荷物預けは4階のCカウンターです。搭乗口は24番です。
09時30分までに搭乗口にいらしてくださいね。

「NariNAVIさん、私がどこにいるか知ってるのね」

空港ではAIカメラがあちこちで作動しているので、顔写真登録している智代さんの動きはそのままNariNAVIに伝えられていた。

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チェックインは昨日スマホで済ませているので、空港ではスーツケースを預けるだけ。
4階のCカウンターに行ってみると、そこにあるのは荷物自動受付機だった。
智代さんは画面の指示に従って、難なくスーツケースを預けることができた。

お荷物預けは終わりましたか?出国手続きは08時30分以降混雑します。
お早めに出国してくださいね

出国審査

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出国審査も機械化されていた。すでに航空券購入時に登録した顔写真と機械のカメラが本人照合確認をし、指紋を登録して、パスポートのバーコードを読み取ったら手続き終了。いまどきパスポートにスタンプを押すことはない。もうすぐパスポートもなくなるのだろう。

はやめの出国手続き、ありがとうございます。
免税店では今、海外ブランドのセール中です。

搭乗を待つ

出発ゲートは24番。NariNAVIのおかげでスムーズに出国できた智代さんは、ゲートの場所だけ確認して、コーヒーを飲むことした。
NariNAVIを開いて「コーヒー」と検索する。

コーヒースタンドは26番ゲートの前にあります。現在待ち時間1分です。

空港にはスタバやマックなどもコーヒーだけ注文する場合、自動化されていて、ペッパー君しかいない。なんだか味気ないけど、ストレスがなくていい。

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飛行機遅延、搭乗口変更!

あとは乗るだけ。ソファーに座ってほっと息をついて、スマホを眺める。友達にメールしたり、Instagram覗いたり。すると突然NariNAVIからメッセージがきた。

智代さん、ご搭乗便の出発時刻が20分遅延しました。
搭乗時刻は9時50分です。
搭乗口は28番に変更となりました。
マドリッド到着時刻に変更はありません。

「新しい搭乗口は28番ね。たしかバスゲートだわ」
「いいわ、急ぐ旅でもないし。空港でブラブラしよっと」

アップグレード!

遅延したぶん時間ができた。そうだNariNAVIが言ってた免税店の海外ブランドみてみようかな。空港って非日常の空間だから、たまにはこんな時間も楽しい。ぶらぶらしながらウィンドウショッピングをしていると、NariNAVIからまた通知だ。

智代さん、航空会社からお伝えすることがあります。
お早めに28番ゲートにお越し下さい

「ん?なんだ?なんだ?」

ちょっと慌て気味に28番搭乗口に向かう。

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ゲートのモニターに名前があった。搭乗券をかざしてメッセージを確認する。

智代様、いつもご利用ありがとうございます。本日エコノミークラス満席のため、智代さまにはビジネスクラスの座席をご用意しました。

「やった!ビジネスクラス!マイレージの醍醐味はこれよね」

智代さんは搭乗券をモニターの機械に入れると、代わりにビジネスクラスの搭乗券が出てきた。

「わーい、マドリッドまで13時間もあるから、ビジネスクラスは助かる!」

智代は思わずゲートでの自撮り写真をInstagramにアップした。

まもなく搭乗がはじまります

「もう私ゲートにいるわよ。ビジネスクラスにはやく乗りたーい」

いざ搭乗!

ゲートではもう一度機械で顔写真の認証があり、搭乗券のバーコードを機械にかざす。

やっぱりバスゲートだった。飛行機は建物からブリッジでつながってなく、バスに乗って飛行機まで行かなければならない。

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やってきたバスに運転手はいない。

おまたせしました。マドリッド行きIB0000便です

アナウンスを確認して、バスに乗り込む。

バスは決められたルートをたどって、航空機までスムーズに到着した。

さぁいよいよ飛行機だ!ビジネスクラスだ!

「いらっしゃいませ。搭乗券を拝見いたします」

「よろしくおねがいします。」

「あら、機内に入って、今日はじめて人と話したわ!」

まとめ

ここに出てくるNariNAVIの機能はデフォルメされています。しかし、空港利用者の95%は、上記の無人化ルートで対応が可能になると思われます。

では空港は無人化し、ほとんど職員は必要なくなるのでしょうか?

いまAIを持った機械が人に変わって働く過程にある空港で働く者として、無人化するからこそ職員のスキルが必要と言っておきたいのです。

業務として、流れ作業としての空港業務は上述したように無人化されていきます。しかし、規格外の大きな荷物、障害者、渡航書類などでトラブる外国人など、職員の対応が必要なお客様はいらっしゃいます。その対応には、空港業務をしっかりと把握している職員が、どうしても必要となってくるのです。

今後無人化が進む航空会社にとって、差別化の源泉は職員のスキルアップにあると確信しています。

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