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#松本清張
『影の車:確証』(松本清張)を読む
大庭章二は妻が浮気をしているのではないかと勘ぐる。相手は章二の同僚だろう。どうにか証拠を掴みたい章二は、自ら性病となりそれを妻に移すことで、妻と同僚の仲をはっきりさせようと夜の街に出かけた。
この異常な手段はなんだろう。妻を問いただしたところで信用できない章二。物語の結末は、浮気の相手は同僚ではなかったのだが、妻に裏切られていたことにはかわりはなかった。
確証を得ることは簡単なことではない、た
『影の車:鉢植えを買う女』(松本清張)を読む
精密機器の会社に勤める上原楢江は、女子事務員としてはキャリアの長い独身社員だ。散財することもないどころか、社内の男性に利子をつけて貸していたほどお金に執着していた。男に縁のなかった楢江だったが、ある日社内の男性といい仲になる。しかしその男は、会社の金庫から800万円を盗んでしまう。高跳びする前に楢江の部屋に泊まりに来た時、その事実を知った楢江の取った行動は。
お金しか信用できなくなっている楢江。
『影の車:田舎教師』(松本清張)を読む
良吉は、父親から聞いていた中国山地の山奥にいる親戚を訪ねてみた。親戚の杉山俊郎は医者で、地域の信頼も厚く、田舎ながらに裕福だった。しかし訪ねたその日に俊郎が事故で亡くなったことを知る。生活道路の崖沿いの道から崖下に落下したのだが、どこか腑に落ちない。俊郎はその日、戦前満州で羽振りの良い暮らしをしたものの、戦後無一文で帰省した兄弟の博一の家に診察に行っていたのだ。
終戦を迎え無一文となってしまう弟