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【劇場めし 第16回】日本大通り&元町・中華街の富士山もりそば

「劇場周辺の、おすすめのご飯屋さんをご紹介!」する、このコーナー。今回は日本大通り駅から元町・中華街駅周辺に行ってきました。この言い方でピンと来る方も多いでしょう。神奈川芸術劇場・通称KAATや、神奈川県民ホールがある地域です。特にKAATは、首都圏の公共劇場の中でも意欲的な作品創作・上演が目立ち、僕もよく訪れる劇場のひとつ。最寄駅は、先ほどの日本大通り駅と元町・中華街駅で、二駅のちょうど中間くらいに位置します。どちらの駅で降りてもほぼ同じ移動時間で、道もシンプルで分かり易いですが、日本大通り駅は特急が止まらないなど、駅によって停車状況が異なります。「この電車ならここで降りよう」と、乗った電車で降りる駅をチョイスすると便利です。

駅名に「中華街」と入るほどですから、あの有名な横浜中華街が近くにあり、元町・中華街駅の場合、階段を上がると中華街の入口が見えます。この周辺でご飯を食べる場合、最有力の選択肢になり得ますが、僕自身は観劇前後に中華街へ行ったことはありません。理由は複数あり、最も大きいのは時間でしょう。せっかく中華街へ行くのなら、ある程度時間を割いてゆっくり堪能したい。そういう心理が少なからずあります。なので、KAATを訪れる時は、ほぼ100%直行、直帰でした。

しかし、そんな心理と無関係に、胃袋はせっせと活動し、極めてナチュラルにお腹は空きます。忙しい時は空腹のまま直行、直帰することも。この機会にKAAT近辺で劇場めしの候補を探そう! とリサーチして、今回は味奈登庵 山下店へ行ってみました。こちらは神奈川県内に多数の店舗をかまえるお蕎麦屋さんで、神奈川在住の方にはよく知られた人気店。蕎麦のボリュームと揚げたての天ぷらに定評があり、大盛りのワンランク上、「富士山もり」があります。「自分の年齢では富士山もりを食べきれないかも…」と心配しつつ、ここはひとつ、もりそばの富士山もりを頼んでみました。

富士山もり。写真を見てもらえたでしょうか? その名の通り、山盛りです。しばらく眺めていたら、フォルムがどことなく富士山に見えてきました。我ながら単純だなぁと思いつつ(笑)、それでは、いただきます!!

まず嬉しいのは、注文後に蕎麦を茹で、しっかり水で締めて提供されたこと。やはりお蕎麦は茹でたてが美味しいですよね。出汁につけて、勢いよく啜ります。うん、蕎麦のコシも感じつつ、かつ喉越しも良く、するりと口の中を流れる食感が気持ちいい。富士山もりの長所として、どんどん食べ進める楽しさがあります。そして、蕎麦をお腹いっぱい食べられる満足感と、「俺はいま腹ぺこから脱出したぞ!」という謎の安心感がありました。出汁はほんのり甘めで、万人に好まれるバランスの良さ。ちなみに写真の生卵は途中の味変用に追加注文したもの。この相性もバッチリで、最後まで美味しく食べられました。つけ出汁も多めに提供してもらえるので、途中で出汁が足りなくなる心配もなく、最後は蕎麦湯でフィニッシュ。満腹です。そして満足です。

味奈登庵さんは、いわゆる立ち食い蕎麦系のセルフサービス店と、定員さんが配膳などをしてくれるフルサービス店の2タイプがあり、メニューや値段なども店舗により異なります。この山下店はセルフサービス店ですが、ここから徒歩圏内に総本店というフルサービス店もあるそうです。次は総本店にも行ってみたいし、何より揚げたての天ぷらを試したい! 富士山もりを食べきる為に、今回は天ぷらを諦めましたが、次はつけ天そばを頼もうと思います。どちらの店舗もKAATから徒歩数分なので、混んでいたら別店舗へ…という選択が可能なことも嬉しい。

KAATに行く際にお腹が空いていて、サッと食べたい時や、しっかり食べたい時など、観劇前後に色々な使い方ができるお店だと思います。そして「私は劇場近隣にある気軽に入れる店を知っている」という安心感。この安心感が、あなたの観劇ライフをより彩ることを願っています。

 文:園田喬し(演劇ライター・編集者・『BITE』編集長)

味奈登庵 山下店
神奈川県横浜市中区山下町45-1
TEL:045-651-7363

味奈登庵 総本店
神奈川県横浜市中区山下町25
TEL:045-641-8290


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