【劇場めし 第14回】初台で観劇後の一杯!
「劇場周辺の、おすすめのご飯屋さんをご紹介!」する、このコーナー。今回は初台駅周辺に行ってきました。初台といえば、現代舞台芸術を上演する国営劇場「新国立劇場」があります。僕が初台で観劇する場合、新国立劇場へ向かうことが圧倒的に多いです。小劇場、中劇場、オペラ劇場と、大小様々な空間があり、公演時は多くの演劇ファンで賑わいます。新宿駅から京王新線に乗ってわずか一駅、初台駅直結で徒歩2〜3分という利便性の高さも嬉しいポイント。
さて、初台駅周辺。劇場の目の前を通る甲州街道を渡った先に商店街があり、その近隣に並ぶ飲食店も非常に魅力的、なのですが。今回は敢えて甲州街道を渡らず、この「徒歩2〜3分の利便性」にこだわってみようと思います。名付けて「新国立劇場から、初台駅と逆方向に2〜3分歩いてみた」。
結論から言います。そこにあるのは東京オペラシティ。新国立劇場を含む複合文化施設で、レストランやショッピングフロアが立ち並んでいます。これがもう、様々なニーズに応える選択肢の宝庫。これまでほとんど利用してこなかったのですが、素直に「……便利すぎる!」と思いました。
観劇前後に立ち寄るお店。それは、当人のその日の状態に大きく依存します。観劇するのは昼公演なのか、夜なのか。胃腸の具合、体調、メンタル、エトセトラ。それにより、アイスコーヒーを飲みたいのか、温かいものを食べたいのか、時間を潰したいのか、作品の余韻に浸りたいのか、一杯飲みたいのか、いっぱい飲みたいのか、等々、変わってきます。
例えば、ある日の観劇後「帰りに麺類が食べたいなぁ」と思って駅まで歩いていると、そういう日に限ってピンとくるお店を見つけられず、結局駅に辿り着いてしまうこと、ありませんか? 今日が焼き鳥の気分だったら面白そうなお店があったのに! とか。よくよく考えると、いま観たお芝居の中に麺類をすするシーンがあり、「……あれか!」と気付いたり。観劇前後に立ち寄るお店を選ぶ際は、妙に感受性のアンテナが働きがちです。
作品の余韻に浸るなら、なるべく早くお店を決めた方が得策。そう考えると、徒歩2〜3分で沢山の選択肢が並ぶ東京オペラシティは、非常に魅力的です。では、いざオペラシティへ!
東京都は秋口から新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきており、個人的に「そろそろ劇場めしでお酒を飲みたい」と考えていました。ということで、今回は英国風パブのお店「HUB」をチョイス。店頭で検温と手指の消毒を済ませ、一人だったこともあり、文字通り一杯だけハイボールを注文。チケットの半券を提示すると5%割引になり、せっかくなのでそれも活用しました。ありがとうHUB! ありがとう新国立劇場!
一人用のカウンター席に座り、劇場でもらったばかりのチラシ束を取り出します。いま観劇した作品を振り返りながら、ハイボールを一口。うん、美味しい、嬉しい。チラシ束を開いて、パラパラとめくります。新型コロナウイルスに左右され続けている演劇業界。先のことが見えにくい昨今ですが、上演を控える公演チラシの数々に、何度励まされたことか。そしてハイボール。美味い。
……なんだか、懐かしい時間だなぁ。
今回はハイボール一杯で帰りましたが、食事の選択肢も多い、カフェ需要にも対応、お酒好きもOK、コンビニやスーパーもあるので、ちょっと買い物してベンチでゆっくり、なんてこともできちゃう。正に万能型だと思います。東京オペラシティ、なぜ今まで立ち寄らなかったのだろう? 連想したのは童話『青い鳥』。幸せは、ここにありました。
文:園田喬し(演劇ライター・編集者・『BITE』編集長)
BRITISH PUB HUB
東京都 新宿区西新宿 3-20-2 東京オペラシティビルB1F
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