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変化を楽しむ!仮チラシのススメ| 「おちらしさん」のチラシまとめ③【おちらしさんアワード2022】

こんにちは。おちらしさんスタッフのきしみです。

突然ですが、みなさんは「舞台公演チラシ」というと両面カラーで公演情報が詳しく印刷されたチラシ・・・だと思っていませんか?

実は舞台公演のチラシには大きく分けて「本チラシ」「仮チラシ」の2種類があるのです・・・!
冒頭の問いかけのように、よく舞台公演チラシで想像されているのは本チラシ。
今回はもう一方の「仮チラシ」に注目したいと思います。

仮チラシとは?

仮チラシとは、"仮"と頭についている通り、舞台公演の大まかな情報を先行して掲載しているチラシのことを指します。たまに「【速報】次回公演決定!詳細は後日発表!」と書かれているチラシ、見たことがありませんか?それも仮チラシの一つです。

スタッフや公演スケジュールなどより詳しい情報を掲載し、両面カラーのビジュアルから受け取った人に作品のイメージを膨らませるのがみなさんよく手にしている「本チラシ」。

本チラシとは違い、仮チラシは基本的に文字情報のみで構成されたチラシです。ビジュアルは明かさずにタイトルや主要キャスト、大まかな公演期間などざっくりとした情報のみを載せ、受け取ると「いますぐあなたにこの情報だけでも届けたい!」という劇団の気持ちが直に手元に伝わってくる、それが仮チラシです。

ちなみに「仮チラシ」でGoogle画像検索してみると結果に表示されるほとんどが舞台公演。実は仮チラシは舞台芸術特有の文化なのです。

仮チラシの良さは最新の公演情報が届くこと…だけではありません。
届いた時の「本チラシはどんな風に変化するんだろう・・・!」と待ち遠しくてたまらない気持ち、そして本チラシが届いたときの胸の高まりが仮チラシの素晴らしさだと思っています。

そんな私は自宅に届いたおちらしさんを開けた時、仮チラシが入っていると「あっ嬉しい!」といつも舞い上がってしまいます。

ここからは今年2022年の1年間、おちらしさんでお届けした仮チラシ、そして変化した本チラシに注目していくつかご紹介します!

セールスマンの死

左:1月号に折り込まれた仮チラシ
右:2月号・3月号に折り込まれた本チラシ

淡いクリーム色と黒で構成されたシックな仮チラシ。
タイトル・キャスト・大まかな公演期間と情報量はシンプルなものになっています。クラシックなデザインで作品の時代の情景が伝わってきます

それが本チラシになると・・・少し色味が変わっていますが、仮チラシの2色で構成されたセピアな配色やクラシックなレイアウトデザインがそのまま本チラシにも引き継がれています!
仮チラシのタイトル裏に隠れたシルエットから、本チラシでは主人公・ウィリー・ローマンが姿を現すところが素敵ですね。

野外劇 嵐が丘

左:1月号に折り込まれたオーディションチラシ
中央:3月から7月ごろにかけて劇場で配布された仮チラシ
右:9月号に折り込まれた本チラシ

こちらはオーディションチラシ・仮チラシ・本チラシの3種類です。
仮チラシはおちらしさんには折り込まれていないのですが、今年の春から夏にかけて劇場で配布されていました。
オーディションチラシが折り込まれた1月から、仮チラシを経て、本チラシが折り込まれる秋までの年月を想うと、じっくり時間をかけて作品が熟成されてきたことが伝わってきます

本チラシには嵐に髪をなびかせた白い首筋の人物の後ろ姿。
「嵐が丘」のタイトルがなびく髪で遮られるその様子から、吹きすさぶ風が紙面で視覚化され、ごうごうと嵐の音が聴こえてきそうです。
仮チラシの「憎悪と復讐をはらむ風、吹きすさぶ荒野」。
その言葉が本チラシへとつながり、表現されています。

オーディションチラシ・仮チラシではモノクロでデザインされ、「憎悪」「復讐」というキーワードからも既に重い印象を受けていたのですが、本チラシでは深い緑が一面に広がり、よりずっしりとのしかかってきます。黒みを帯びた緑は荒野の色でしょうか、それとも復讐の心の色なのでしょうか・・・?

劇団鹿殺し『ランボルギーニに乗って

左:6月号に折り込まれた仮チラシ
右:7月号に折り込まれた本チラシ

こちらは仮チラシから本チラシへとデザインが大きく変化しています。
黄色と黒の配色がとても目を引かれる仮チラシ。
本チラシになるとシュールな世界観に一変しました!
こんな予想外の変化を想像できた人はいるのでしょうか?

 こうして並べてみると「黄色」という共通点に気がつきませんか?
実は仮チラシの一面の黄色は、本チラシの中央に座すイタリアの高級スポーツカー、"ランボルギーニの色"そのものだったのです!

さらによく見ると仮チラシの中央の縦のラインにはタイヤの跡が・・・!
これもまさしくランボルギーニに間違いありません。

まさにタイトルの通り「ランボルギーニに乗って」います。
ランボルギーニの車体の色と疾走するタイヤの跡が仮チラシにそのまま染みこんだ一枚。本チラシと並べたことで気づかされた発見です。

仮チラシの楽しみ方

さて仮チラシの楽しみ方、伝わりましたでしょうか?
今回、紹介した仮チラシはほんの一部。
・・・ですが!実はおちらしさんに折り込まれているチラシのうち、ほとんどが本チラシで、仮チラシはたったの6%!
意外と思われるかもしれませんが、仮チラシが入っていることは"レア"なのです!そういう意味でも入っていると「あっ嬉しい!」という気持ちになってきます。

仮チラシと本チラシを並べてみて、大きく変わったところを探したり、逆に共通点を見つけたり・・・。見比べることで新たな発見が生まれ、作品により一層愛着がわきませんか?

おちらしさんに仮チラシが入っていることはとても珍しいことですが、
仮チラシから本チラシへの変化による発見やワクワク感から、おちらしさんアワードに投票してみてみるのも一つの楽しみ方かもしれません。
みなさんもぜひ、お気に入りの仮チラシを探してみてください!


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