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陽キャはすぐに知らん人を連れてくる

20年来の親友(男)と、夫と、私とで
数年ぶりに飲むことになった。

3人とも元々同じバイト先で出会った仲。

その店をそれぞれ辞めた後、
私は夫と結婚し、
夫婦で起業。

彼が2年ほど社員として手伝ってくれて
それはそれは毎日楽しくやっていたので

家族以上の仲の良さ。
最高の3人組。

しかも数年ぶりに再会するこの日は
偶然にも会社の12周年。

彼と思い出話に花を咲かせるのに
なんと最高の日だろう。

当日の夕方、
夫を急かして早めの電車に乗り
るんるん気分で
お店に向かっていたところ

彼からLINEが来た。

「お邪魔じゃなければ、
 彼女連れて行っていい?」


え?


邪魔でしょ。

と、咄嗟に思った。

私は今日、
めちゃくちゃ大好きな
お互い分かり合ってる人に会うのだから
なんの気負いもせずに
純粋に1000%楽しみにしていた。

知らん人と会う心の準備はしていない。

社交的な人の仮面は準備していない。

今日は部外者はいらない。すごく。


なんて返事しようか迷った。

「邪魔です。」
「いやです。」
「お断りです。」

ちょっと直球すぎるか、、、

「心の準備ができてません」
「今度にしてくれるかな」
「あのさ、私の性格、忘れた?」

うーん、、、

なんて書くにせよ、
断る以上は
彼は気分を害さないわけはない。

彼としては
「好きな人たちに自分の大事な人を会わせたい」
というピュアな気持ちだろうことは
予想できる。

「好きな人たちみんなで仲良くしたい」
という期待を抱いているはず。

私のわがままを受け入れてくれる親友だけど
自分の期待を否定されたら
がっかりするのは当然。
彼は今日、
100%楽しむことはできないだろう。


私が断る →  彼が100%楽しめない
私が我慢 →  私が100%楽しめない

なんてことだ。

全員が純粋に
目いっぱい楽しめるという優しい世界は
もはや存在しない。


私は、社交が好きではないが
社交性はあるので
彼女さんと普通に喋ったり
気を使うことはできる。
超できる。

ただ、今日はそんな心の準備をしていない。

どうしてもというなら
7営業日前に
プロフィールを送って欲しかった。

いっそのこと、
私が社交性ゼロだったらよかったのに。
そしたら彼も当日いきなり
こんなアドリブをかましてくることもなかっただろう。


「会うかどうか考えるから
 プロフィール送って」

って返事しようか。


ああ、
嫌な感じだ。
もうどう足掻いても私が嫌なやつになる。


めんどくさい。

行きたくなくってきた。

悩む私の隣で
夫はのんきにも
ミニバンの中古車情報をググっている。

夫にLINE画面を見せてみた。

「ねえ。いきなり彼女つれてきたいって」

「へー‼️ちゃんと付き合ってる人がいるんだ!
 いいじゃん!!」

そう言うと思った。
このク◯陽キャめ。

どうしてこう
陽キャの連中は

知らん人と仲良くしたがるんだ。
知らん人を急に連れてくるんだ。


マズローの五大欲求のうち
「安全欲求」が完全に欠けている。
バランスが悪いんじゃないのか。



こう返信してやろうと思った。

「どうぞ。私は帰るね。夫くんは行くって」

いやーーー、、、

陽キャは負の感情のバリエーションが
少ないから

彼と夫には、
「私が小姑っぽく彼女さんに嫉妬してる」と
雑な誤解をされるかもしれない。

それは私の矜持が許さない。

私「なんて返事しよ。もう行きたくない」
夫「出たwww」
私「だって気ぃ使いたくないじゃん」
夫「気なんて使わなくていいじゃん。
  向こうもそのつもりでしょ」
私「無視していいってこと?」
夫「なんで無視するんだよ」
私「気を使わなくていいんでしょ」
夫「なんで気を使わない=無視なんだよ」
私「視界に入ったら気を使うからだよ」
夫「普通に喋ればいいじゃん」
私「知らん人と普通に喋るのは気を使うでしょ」
夫「そんなこと言って、結局うまくやるじゃん」
私「うまくできることと、
  やりたくないことは違うんだよ。
  私は今日、やりたくもないアドリブの
  トークを強制されるということだよ」
夫「大袈裟だなーw 大丈夫だってwww」


あーーーもう。

話が通じない。
ほんとに陽キャとは、話が通じない。
理論が雑すぎて
ほんっっっとヤダ。

そもそも
当日に急に連れてくるとは
どういうことだ。

こちらの選択肢は奪われている。
卑怯じゃないか。

私は苦肉の策で
こう返信した。

「気を使わなくていいなら。」

たぶん彼は
私の不愉快さを嗅ぎつけるだろう。
しかし、
気がついていないフリをして
陽気に振る舞うに違いない。


案の定、
こう返事が来た。

「全然気を使わなくて大丈夫だから!」


詰んだ。

「気を使わないよ」「どうぞどうぞ」
という
会う前提の契約が成立してしまった。

もう会わないわけにはいかない。

シラフではとても機嫌良く話せないので
彼らより先に着いて
アルコール摂取することにした。


5分ほど後に遅れてやってきた二人。
彼女はひとまわり下で
控えめで気が使えるとても良い子だった。


ただ、
私は、

今日会いたかったんじゃないんだよ。

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