小学校の先生になるまで。 学生時代②

前回、旅に出ることを決めたが、ただ目的地に行くだけではつまらないと思ったので、出会う人たちに夢をノートに書いてもらうことにした。自分の夢を見失いかけていたので、人の夢を聞くことで刺激を受けると思ったからだ。

段ボールとホームレス

神奈川から愛知までひたすら下道を走った。 今なら退屈な目的地までの道のりだが、不安やめんどくさいではなく、ワクワクしかなかった。

深夜に名古屋入りして、冒険がしたかったので名古屋の繁華街にある小さな公園で眠ることにした。その公園には、ホームレスが5〜6人寝ていたので寝れる場所なんだなと思い、ゴミ捨て場から拾ってきたダンボールを敷いて眠むりつく準備をした。

疲れていたのですぐに眠れるかと思ったが、11月の夜は寒い。雨風防げる家のありがたみを痛感しながら横になって、眠りに落ちるのを待った。

朝の通勤のサラリーマンの足音で起きた。

人の夢は刺激的。

道中、バイクを停めるタイミングで街ゆく人に声をかけていたが、ほとんどが相手にしてくれない。それはそうだ、突然道で声を掛ければ、誰だってそうなる。

そんな中、めげずに声をかけ30人弱の方が協力をしてくれた。

・自分のお店を出す
・一人前の営業になる
・エンジニアになり、大きな発明をしたい
・ライブハウスのPAに絶対なる
・思いやりを忘れない人になりたい


皆も自分と同じように夢や目標をって、それに向かって頑張っているんだなと思うと励みになった。

浜名湖へ行った際に、湖上にある鳥居がライトアップされていて美しかった。今までは、家族や友人と旅行をしても行動が全て決められていた。初めて、自分の足で旅をして自由に行動し、見たいものを見れる体験は刺激的であった。

その後、三重県四日市に行った。道行く人が関西弁を話しているのを聞いて、関西弁を堪能できたことでもう満足してしまい、近隣の京都や奈良まで足を伸ばさずに引き返して岐阜県へ向かった。 

この進路決定が運命的な出会いを生んだ。

色即是空 空即是色

無事に岐阜県に入ったので、道の駅にある足湯で休んでいたら40代くらいの夫婦が話かけてくれた。旅の主旨を話していると、その夫婦はキャンピングカーで来ているので泊まっていけばと言ってくれたので、甘えて泊めさせていただいた。 

泊まれるということで、温泉に行くことにした。
それまでは、テントなしの寝袋だけで野宿しているので湯冷めしてしまうのが嫌で、風呂に入っていなかった。そんな体に温泉は染みた。

ご夫婦の話の中で特に印象深かったのは、「色即是空 空即是色」と言って、
般若心経の言葉であり、形あるものはいずれなくなり何もないとこから、また何かが生まれてくる。 

「移り行く世の中であれこれ結果を心配しても、結果は変わらないのでとりあえず飛び込んでみた方がいい。だから君も他にやりたい職業がみつからなかったら、あれこれ悩むより教師を信じて目指してみてダメだったらそこからやり直せばいい」

とおじさんから強く背中を押してもらえた。  それまで親や40〜50代の大人が目線を合わせて真剣に話を聞いてくれて後押してくれることがなかったからこそ、このおじさんのシンプルな言葉が届いた。

旅から戻ると、モヤモヤしていた気持ちが消えていた。


人生のパイセンからのアドバイス

自分の所属している学校や組織などのコミュニティ外で会った、普段とは異なる大人の話(考え方)を聞くことがとても新鮮で有意義だと感じた。もっと色々な人の考え方を知りたいと思えた。

そう思わせてくれたのはキャンピングカーのご夫婦や50歳以上のおじさんたちだ。夢を聞くのとは別に、年配の先輩たちに人生を後悔しないように話を聞いていた。

内容は、「大学生のうちに何をしておいた方がいいか」を聞いて回っていた。おじさんたちも30年前には学生だったはず、後悔していることもあるだろうから、それをヒントにしようと思って聞いていた。

聞いた人全員が口を揃えて、やりたいことをやっておいた方がいいと言っていた。大学生は社会に出るまでのモノトリアム期間で、後悔しないように行動した方が良いということだ。

この旅がきっかけとなり、半年後に日本列島横断(前編)翌年には東南アジア一人旅日本列島横断(後編)をすることになるとはこの頃の自分は気付いていなかったが、自分の探究心が解放された瞬間であった。


まだ30代だが、悩める大学生には「やりたいことをやっておいた方がいい」という言葉を送りたい。やりたいことがなければ、自分の心の声に従って行動して見つけていくしかない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?