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『正欲』から学んだ「他人に期待しない」ということ

朝井リョウの著書『正欲』が映画化され先日公開された。

2年前にこの本を読んでから、自分にとって大切な一冊であるこの作品の映画化が非常に楽しみだった。

原作から少し変更点もあったが、とても満足だった。あの世界観とストーリーを映画で味わうことが出来て良かった。

『正欲』から私が学んだことは「他人は決して理解できるものではない」ということだ。そして同様に「自分が他人に完璧に理解されることもない」ということでもある。

これらを自分の中で咀嚼しながら日々生きている。

一番の変化は、他人に期待しなくなったことだ。何か自分にとって嫌なことをされたとしても、もう怒ることはない。「ああ、この人はこういう人なんだな」という諦めが先に来るのだ。

先日麻雀の最中、負けが込んでいてイライラを表に出す人がいた。こちらがアガると、明らかにふてくされるが、いざ自分がアガる時に「それは甘いよぉ」と言って煽ってきた。以前の自分ならキレて煽り返していたかもしれない。しかし、もう何も思わない。

この人はこういう人なんだ。不機嫌な時にイライラをまき散らすけど、調子が良くなると周りを煽る人間なんだ。私には理解が出来ないけれども、世の中にはこういう人がいるんだな。うんうん。

改善して欲しいとも思わない。もう自分が距離を置けばいいだけだから。

自分が理解できない人間を、自分の理解の範疇に収めようと改善を促すのは自分のエゴでしかない。理解できない人間の存在を素直に認めよう。

こういったことを『正欲』は教えてくれた。


何か汚い言葉を掛けてくるホームレス、面倒くさそうに接客するコンビニ店員、Twitter上で陰謀論を述べる人、私利私欲のために活動する政治家、インスタグラム上で幸せマウントをとる昔の友人たち。

みんな自分には理解できない。けれども、みんな生きている。彼らに何かを期待する方が間違っている。だって自分の理解の範疇外で生きている人だから。

社会は、自分が理解できない人で溢れている。
社会は、自分が理解できない人たちで回っている。

そんな社会は今日も揉め事を生みながら進んでいく。

この人間社会はどこに行き着くのだろうか。


製作陣の方々、そして朝井リョウさん、素晴らしい作品に出会えて良かったです。ありがとうございます。


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