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ゲーマー参加型オフイベの特別な充足感。私がコミュフェスLoLにかける想い。

2024年1月19日。イベント前夜。

「景品で送っていただいた丼ぶりが割れてました」

なんとも縁起の悪いスタートだった。前日に会場入りした私はゲーム会社から郵送で送ってもらったイベントの景品が入ったダンボールを開け、ひとつずつ確認している中でキャラクターのエモートを商品化したラーメン丼ぶりが割れてしまっている事に気づき、連絡メールを打っていた。

とはいえ、丼ぶり。Worldsのグッズやフィギュアなど他にも用意できている抽選用の賞品はあるから大丈夫と、開催の不安に比べてそれは小さなことであり、あまり深くは考えていなかった。

今となって思えば、この時からコミュフェスLoLのエンディングへの導きがあったのかも知れない。

はじまりはいつもプレイヤーの情熱

時は3ヶ月戻り、2023年10月21日。

東京ゲーマーズHubの月1の交流会があり、上野の飲食店で食事やお酒を飲みながら数人の参加メンバーと話していると、そのうちの一人が「LoLが好きです」という話をしてくれた。聞けば一番好きなゲームのリーグ・オブ・レジェンドを昔からプレイしていて、オフ会の開催もしたことがあり、日頃も熱心にプレイしているとのことだった。

ちょうどこの月のはじめにオフラインコミュニティイベントの開催を終えたばかりの私は次のキッカケを探していたところで「サポートするのでLoLのオフラインイベント開きませんか?」と軽い気持ちで誘った。

なかなか決めたことを実行に移すことが難しい人が多い中で、楽しそうにLoLの話を語る彼の目にイベントの情景が浮かんだからだった。

イベントは前回開催した枠組みを使って開催しようと思った。コミュフェスというオフラインでのゲームプレイ、コスプレ、参加者交流を中心に行うものだった。

コミュフェスが目指す世界観

最初のゲーマーコミュニティフェス(コミュフェス)を開催してから、私は昨今のeスポーツイベントに対してかなり大袈裟な表現を使えばアンチテーゼとしてコミュフェスを考えるようになっていた。華やかな壇上とそれを眺める客席というゲーマーの分断を感じるイベントが多く、そういうイベントも大切だが、もっと違う方向の喜びだったりゲーマーのエネルギーを感じたかった。

「一般のゲームプレイヤーに主体性のあるイベントがしたい」

ゲームをプレイすることから離れずその場にいる全員が同じ目線で楽しめることをコンセプトとして重要視するようになっていた。

そのわかりやすい例が一般的にはゲームイベントで演者の立ち位置にいるコスプレイヤーさんたちにも参加チケットを購入して参加してもらうことだった。

これは予算を捻出する必要があるという実情もあるが、全員が等しくチケットを購入して参加しているという平等な参加者意識をどの参加者にも持ってもらうためだ。

また表記も"コスプレイヤー"ではなく"コスプレ参加者"とさせてもらい他の参加者から見える説明にも注意を払った。

他にも前回のコミュフェス反省を色々なところに活かした。

前回は放任主義なイベントだった。パソコンを用意するから好きに楽しんで欲しいという参加者の自主性を尊重したが、かえって何をすればよいか分からない状態を産んでしまった。

正直いまでも「コミュニティイベントの楽しみ方は自分で見つけて欲しい」という思いが根底にはあるが、ある程度の場を作るために参加者を運営でマッチングして5名1組のチームを作り、対戦表を用意した企画マッチを組んでメインのコンテンツとすることにした。

会場には40台のプレイ用のゲーミングPCが配置されていたが30台を企画マッチの席とし、それ以外の10台をフリープレイエリアとした。

企画マッチは真剣勝負ではあるが、勝ち負けによらず同じ試合数を全員がプレイできるようにした。企画マッチのチームは大きく赤と青陣営に分かれていた。10チームあったので赤1, 赤2, 赤3, 赤4, 赤5, 青1, 青2, 青3, 青4, 青5という具合だった。違う色同士で対戦をし、勝つと1ポイントが陣営に入るという感じだった。

また最終的に獲得したポイントは最後の抽選会のくじ引きルーレットの数に影響するようにした。

もし赤が3勝で青が7勝の場合は、赤陣営の参加者の中から景品が当たる抽選を3回、 青陣営の参加者の中から景品が当たる抽選を7回実施するという形で強いチームのたった5名だけでなく陣営ごとに勝利の喜びを感じれるようにした。

また企画マッチには参加せずに観戦やフリープレイ、交流をメインとする人の参加チケット(観るチケットと呼んでいた)も用意していたので彼らも赤、青グループに振り分けることで自分がどのチームを応援すれば良いかの理由づけをした。もちろん景品の抽選会にも参加できるようにした。

会場全体に赤対青のようなわかりやすい構図ができた。また陣営の色を聞くことは話のキッカケにもなるかなと思っていた。前回の反省で、プレイしない間にすることや企画マッチのどちらのチームが勝っても自分に影響が無いことが観戦の楽しみををわからなくさせていたことへの改善だった。 

相変わらず大変なチケット販売

イベント計画は前回の反省を活かして組んだが、チケット販売開始しても前回ほどに全然購入者が増えずに焦った。

前回はパブリッシャーの公認や告知協力のチカラが大きかったことを改めて感じたところだった(理解はしているつもりだった)。

途中で販売の形式や何本も告知の矢を作って順番に放っていった。

これが実ったのか日を追うごとに徐々に参加者が増えていき、最終的にはコスプレ参加者も含めると70名以上の参加となった。

スタッフやゲストも含めると会場には100名に届きそうなほどの人が出入りすることになり、お祭りムードが楽しめそうな空気感が数日前から漂っていた。

イベント開催

イベントが開催されてからは終始順調だった。もっと良くできる部分はあるとは思うが期待していた通りの流れや参加者の気持ちを作れたのかなと思った。

企画マッチの参加者は目の前の対戦相手を倒すために夢中になってプレイしていた。途中カメラを構えて写真を撮っていた時間もあったが、こちらに気づかないほどだった。

フリープレイエリアでは参加者同士が声を掛け合って一緒にプレイする姿が見られた。参加者が自らコミュフェスという場を利用して交流を持っていくことに意義深さを感じた。コスプレ参加者と一般参加者が混ざってゲームを楽しむ姿も見られ"同じ目線"で参加してもらうことが叶っているように見えた。

さらにコスプレ参加にも声をかけて一緒に写真を撮ってくれたりもしていた。自分の行動でイベントの楽しみ方を変えられることを実感してもらって、いままでの決められた枠の中で遊ぶイベントから参加者もイベントを作ったり変えることができる一員という意識を高めていけたら良いなと考えていた。

仲良く写真を撮っている二人組の女子が居たので話を聞いてみると、お互いに個人参加だったが、今日初めて会って声を掛けて仲良くなってくれたようだった。そうやって繋がりが増えることを期待していたのでとても嬉しかった。

また協賛してもらったVASE eスポーツスクールの講師が解説に入ってくれたり、同社のコンテンツを疑似体験できるLoLのスキルアップカウンセリングを実施してもらうブースを設けることで面白い要素がイベントに取り込めたと思った。

確信を持ったコミュニティイベントの形

コミュフェスLoLの開催中に自分の頭の中で実感が湧いたところで、前回のコミュフェスでも感じたがやはり情熱をもった数十人が集まれば、自分たちでも楽しいイベントは作れると思った。

少なくともみんな2,800円で6時間を楽しく過ごしてくれた。映画2本観るくらいの楽しさを提供できているのではないかと思った。

もちろんゲームパブリッシャーの協力やゲームというコンテンツそのものの面白さがあってこそだとは思っている。

ただ自分の好きなゲームのオフラインイベントが公式から開かれなかったり、盛者必衰のことわりの如く最盛期に比べてプレイヤーが少なくなったとしても、50人で集まれれば自分たちのためのイベントを開くことができる。

もし似たような想いの人がいたらぜひそのゲームタイトルでも開催したい。
今回もLoL好きの熱意に惹かれてイベントを開催するに至っている。実を言うと私はLoL初心者の部類に入っている。ゲームに関する部分はすべて彼が担ってくれた。

コミュフェスという枠組みが5v5のeスポーツタイトルを軸にプレイヤー主体で楽しめるイベントができることに自信を持てた。これからイベントを開催を続けて、同じようにイベント開催してくれる人が増えたら嬉しいと思っている。

また大きくなることが目的ではないが、より多くの人に参加してほしいと思って今回も筆を執っている。

コミュニティイベントなのでビジネス観点で見ると大したことは無い。規約もあり、収益も上げられない。私はゲームが好き過ぎて狂っているのだ。ただそんな自分の企画するイベントに乗っかってくれた参加者に今一度感謝したい。みんなが参加してくれる限り、ずっとずっと何回もイベントが開催できる。そしてみんなで笑える。

イベントの雰囲気

コミュフェスの会場は一般参加者とコスプレ参加者が入り交じり最高の空気感だった。

コスプレ参加者が居ることで世界観が作られ、いつもと違う場所に来たという特別感が生まれた。

正直、どっちのチームが何勝上げたか覚えていなくてみんな勝っても負けても楽しそうにしてくれたのが印象的だった。

また企画段階から感じていたがコスプレコミュニティの結束力が厚かった。お互いに知り合いの人も多く、150以上のキャラクター(チャンピオン)が存在するゲームでまさに十人十色な姿でイベント参加してくれて、もちろんLoLのプレイングも上手く普段からLoL愛に溢れた人たちだと思った。入場の花道を作ってくれるなどイベント盛り上げに積極的に関わってくれて嬉しかった。

誰一人欠けても成立しない

1月20日 17:30。イベント終盤。

もうほとんどイベントが終わった気分だった。手に持っていたカメラも置いて定点で場内撮影をしていた。前日からの準備の疲れもあったかも知れない。

抽選会の途中で「そう言えば例の丼ぶりって何回目の抽選にしましたか?」と確認すると「最後にした」と言われた。

「(なるほど、韓国のLoLパークまで行って買ってきたものを差し置いて、最後は笑いで締めるのか)」と少し思ったが任せた。

自分の中ではゆったりとした時間だった。

だが最後の景品抽選の当選者が、手を挙げながらステージに進んで来た時にこの日一番大きな声を上げてしまった。

前日に割れてしまった景品を当日にゲーム会社の人が新品を携えて来てくれたこと、二度と割れないように大事にしまっておいたこと、青陣営が勝って抽選チャンスを多く掴んでいたこと、残念ながら帰ってしまった人が居て抽選の順番が狂ったこと、多くの人が最後まで帰らずにイベントを楽しんでくれたこと。

そのどれもが最高のエンディングへの導きだった。

イベント開催はチームが大切

何か物事をおこす時に先導者だけが目立つが、その人に着いて行ってくれる人にも大きな価値があると再認識した。ゲームに関わる企画マッチの組分けや、実施の方法などの設計をしてくれたゲーム担当者、コスプレコミュニティを率いてくれたコスプレ担当者など、多くの人の協力無しには成し得なかった。

また次のイベントも開催したいと考えているが当然一人ではできない。恥ずかしいですが、こんなことをやりたいという夢を書いておくので、賛同してくれる方の協力をお待ちしてます。
話しかけやすいようにフォームを用意しておきました。

またどこかで。

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