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【脆弱な基礎が問題の生産工場となる】

算数ができなければ数学がわからないように、運動や動作も基礎がなければ、動作を改善することはできません。身体の司令塔である脳と神経システムという視点から考えれば、呼吸もバランス能力も思考も性格も全てにおいて脳が関与しない活動はありません。しかしそれぞれの能力における基礎を理解する為には、まずは分かり易い関節の動かし方という観点から「基礎とは何か?」を考えてみましょう。


手首や肩など日常的に使い慣れている関節を「上下左右」「円」「横8の字」「縦8の字」などの運動方向に様々な速度で動かしてみると思いの他、可動域が狭かったり、動かし難い可動域や速度があることに気づきます。


脳は繰り返し使用する動作や可動域は「体の動かし方の設計図」に残してくれますが、滅多に使わない可動域や速度は「いらないもの」とします。


しかし何かの拍子に滅多に使わない可動域や速度で動かした瞬間に、脳は「設計図に無い使い方だっ!」と感じて関節を硬くしたり、痛みを作ってその可動域を使わせないようにする事で安全を担保しています。痛みは体を守るためのとても重要な防御システムなのです。


実際によくある例を挙げれば「ギックリ腰になった時どんな動作をしていましたか?」と聞くと「なんて事ない動作だった」という方が多いです。


椅子に座ったまま、後のペンを取ろうとした瞬間に「ギクッ!」となってそのまま動けなくなった。など、ギックリ腰を経験した事があれば、姿勢や状況に違いはあっても似たような簡単な動作だったのではないでしょうか?


では「座ったまま右後にあるペンを振り返って取る動作」を具体的な関節で観察してみましょう。


  1. 背骨を右後ろに捻る:背骨の可動域

  2. 右腕を右後ろ持っていく:右の肩関節の可動域

  3. 右肘を伸ばす:右肘の可動域

  4. 右の指を伸ばしてペンを取る:右手の指の可動域


例えば、1~4の可動域を単体で動かした時に、1と3に(痛みの有無に関係なく)制限がある場合、それらを同時に使おうとすれば、脳は緊急ボタンを押さざるを得ない状況に追い込まれてもおかしくないのです、何故ならば使い方があやふやな複数の関節を同時に動かしす事は脳にとっては安全ではないかもしれないからです。


つまり、根本的な解決法の1つとして、身体中の関節をあらゆる方向と速度で日常的に動かせるようにして、脳が「知らない可動域」や「知らない速度」がないようにすることで、初めて色々な運動を安全に実行する基礎が出来上がるのです。

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