無症候性心房細動における脳卒中予防のためのアピキサバン

Healey JS et al. Apixaban for stroke prevention in subclinical atrial fibrillation. N Engl J Med 2023 Nov 12

アップルウォッチなどのデバイスの進化によって、無症候性に偶然、しかも短時間の心房細動が見つかることが増えていると聞きます。我々としては心房細動が見つかった場合はスコアリング(CHADS2やCHADS−VAScなど)を用いてリスク評価を行い、抗凝固薬を開始するかを判断するわけですが、実際にはスコアリングをつけると開始せざるを得ない方々が多い印象です。でも抗凝固薬でも出血性合併症のリスクはあるわけで…なんて思うこともあります。そんな無症候性の短時間の心房細動患者において、アピキサバンとアスピリンの有効性・安全性を比較した試験です。

6分間〜24時間持続した無症候性心房細動患者を対象にアピキサバン 5mg 2錠 分2を使用した群とアスピリン 81mg 1錠 分1を使用した群とで比較しています。主要評価項目は脳卒中や全身性塞栓症としています。

3.5年±1.8年のフォローアップで脳卒中や全身性塞栓症は、アピキサバン使用群で0.78%/年、アスピリン使用群で1.24%/年でした。大出血はアピキサバン使用群で1.71%/年、アスピリン使用群で0.94%/年でした。

無症候性心房細動患者においてアピキサバンは脳卒中や全身性塞栓症のリスクはアスピリンよりも下げるものの、大出血のリスクは上げる結果となっています。

どのような群にアピキサバンを投与すると予防効果が高く出血性合併症が起こるリスクが低いのかがわかればなぁと思います。


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