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Ballade Op. 5 〜「本番」を活用し、「大本番」に備える〜

こんにちは。Neuer Klassikerです。先日練習方法について触れましたので、今回私の方では現時点での自分なりの本番の活用方法について、記載したいと思います。

社会人になったのち、ピアノを再開してもうすぐ7年になりますが、驚いたのがアマチュアにとって本番の機会は無数にあり、数は作ろうと思えばいくらでも作れるということ。あまたあるアマチュア向けのコンクールに加え、ピティナステップ(東京なら毎週どこかでやっている)、有志のサークルの弾きあい会や演奏会、楽器店やスタジオ主催のコンサートなど。。もちろん門下発表会なども入れるとなおさらです。先生が以前「アマチュアの方のほうが本番機会多いよね」とおっしゃっていましたが、本当にお金を払えば弾ける機会が無数にある、恵まれた環境だと思います。

そういう環境なので、以前は本番を入れすぎて毎週のように本番に追われ、何のための場なのか本末転倒になってしまったこともありました。試行錯誤している最中ではありますが、今は一旦以下の方針で本番を設計しています。


【本番①】初めて楽曲を披露する場・・・ピティナステップ

新しい楽曲を始めたら、だいたい練習を始めて2ヶ月目位に初めて人前で弾く機会というのを作ります。私の場合はステップであることが多いです。お客さんはほぼいないですし、レッスンの延長で取り組むことができます。この時の目標はいつも結構低くて、「とにかく暗譜で曲を弾ききること」が第一、その上で「現時点でのやりたいことやイメージが少しでも伝わったらいいな」という感じ。この時の私のステップコメントは大体「これから磨いていくためのアドバイスをお願いします」です笑。

※ピティナステップはこちら
https://step.piano.or.jp/

【本番②】弾き込み始めた楽曲を人前で弾くのに慣れるための場・・・有志や仲間の演奏会、門下発表会など

練習を始めて3ヶ月目位に改めてオフィシャル?に人前で弾く機会というのを作ります。こちらは、できる限りお客さんがいる場を選んでおり、①それまでに楽曲の解釈を深め、②お客さんがいる環境での完成度を上げていくことを目標にしています。

【本番③】大本番(コンクールやリサイタルなどの本番④)に向け磨いてきた曲を人前に出し、講評をもらう場・・・ピティナステップ

大本番に向けてより曲を磨いていく過程で作る本番です。大本番から逆算していつになるかは変わりますが、だいたい大本番の1ヶ月〜2週間前に入れることが多いです。曲の仕上がりを客観的に評価してもらいつつ、大本番のイメージを作るための本番です。なお、そのステップの会場も出来る限り大本番に合わせて選びます。大本番がサロンであれば少し小さめの会場とか、ホールであれば響きが豊かな会場にするとか、スタインウェイのピアノならスタインウェイが弾ける会場にするとか、です。それにより、今準備している演奏が大本番当日どのような音楽になるのか、想像を膨らませることができます。
なお、この本番③は、曲の進捗や大本番の大きさによっては1回だけでなく2回など、複数回設定することがあります。

【本番④】練習してきた曲について、自分が伝えたいことを伝えるための大本番・・・コンクールやリサイタルなど

大本命の本番です。これまでの本番はこのためにあるのであり、自分の取り組んできたことの集大成です。自分が楽曲から学び、感じ、伝えたいことをシェアする場です(とかいいながらいつもど緊張ですが)。ちなみにこの本番までの道のりは本当にしんどくて、「ピアノの練習は楽しいな♫」なんて悠長なことは言っていられない日々を過ごしますが(この辺りの練習の話はまた別途書くとして)、この大本番を迎え自分の演奏ができた時の喜びはひとしおで、やっぱりまた戻ってきたくなるんです。アマチュアの身でありながら大本番はいつも命を削っているような感覚に陥るので、プロの方は本当にすごいといつも思っています。ちなみに私は大本番の数としては年に3〜4回くらい(予選があるコンクールは1と数えるとして)が限界。

大体上記のような本番設定をベースに臨機応変に増やしたり減らしたりしている感じですが、本番について自分なりのルールが3つあります。

目的のない本番を作らない
「人前でたくさん弾いたら慣れるでしょ」というだけで本番をたくさん作ることはもうしないようにしています。本番経験を増やすと緊張しなくなってうまく弾けるというのは幻で、むしろ変に曲に飽きがきてしまったり慣れが出てマイナスなことも多いです(と経験上今は思っています)。もちろん、曲によっては人前で弾く回数を重ねた方が良いものもありますが。

ネガティブな体験をする本番を作らない
「間に合わないかも」「暗譜できてないかも」みたいなネガティブな状況で本番に望まないようにしています。ステップや仲間内の演奏会等の場合、暗譜ができていなければ潔く楽譜をみますし、全楽章でエントリーしていても間に合わないと判断して1楽章だけにすることもあります。マネージ不足な部分だろと言われればそれまでなのですが、一度ネガティブな本番を経験するとそのイメージを払拭するのに時間を要したりフラッシュバックしたりするので、これは自分の中では結構大切にしています。

本番の振り返りこそ大事にする
どんな演奏であったとしても、できる限り録音またはビデオにとった演奏を聴き返し、復習します。弾き終わった直後は大抵「できなかったこと」にフォーカスしがちで落ち込むことも多いのですが、必ず振り返りでは「できたこと」にもしっかり着目するよう、心がけています。この本番はこういう目的を持っていたけれど、この部分で達成できたな、など目的に照らし合わせつつ、それ以外でもできたことに細かく着目し、自分を励まします笑。「このセクション、やりたいことができた」とか「いつもより自分の音をたくさん聴けた」とか「間違えても動揺せずに自分の演奏にフォーカスすることができたなー」とか。



本番の設定の仕方も練習方法同様、人それぞれだと思います。ある年は小本番を重ねて翌年に大本番をたくさん重ねる、とか、そういうやり方もあると思います。私も未だ模索中ですが、現時点では本番→大本番を半年くらいかけて設定し、それらを時期をずらして複数曲で掛け持ちする形がフィットしているかなという感じです。いずれにしても、上記記載のルールの1つにも通じますが、本番はやはりどんなステージだったとしても、新たな学びがある、ポジティブな経験にしたいもの。なので自分なりに目的を持ち、今後も来たる本番に向けて練習できればなと思っています。やっぱり本番があるからこそ、ピアノはやりがいがある!本番用ドレスを選ぶのも楽しみの一つですしね。

筆者情報:
桐明しおり(きりあけしおり)
外資系フィンテック企業で広報・PRを担う。3歳からピアノを習うも、受験を機にレッスンを中断。2015年に再開し今に至る。


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