見出し画像

【脱東京をはばむ迷信】競争原理が働かなくて物価が高い

「競争原理」という言葉については、いまさら私がレクチャーするまでもないですよね?

界隈に店が1軒しかないようなヘキ地には「競合相手」が存在しないからこれが働かず、「うるさいな、ウチが1000円と言ったら1000円なんだよ!」と言い切られたら、その地域の消費者は「高いなぁ……」と内心で思いながらも1000円を払わざるをえません。

しかし新たに競合店がオープンして「ウチは900円ですよ~」と呼び込みを始めたら、当然ながら消費者はそっちに行きますよね。
すると元からある店がアセッて「だったらウチは850円にするよ!」と対抗し、それに対して新しい店が「じゃぁこっちは800円だ!」と勝負を挑む。
これがつまり「競争原理が働く」ということで、同業他店がひしめき合う都会では「年がら年中値引き合戦」みたいな状況(消費者にとっては超ハッピー!)が呈されるわけです。
東京で言えばJR中央線中野駅や小田急線下北沢駅のあたりは「ドラッグストア激戦区」で、他地区よりかなり安く売られている商品が多いので、私はお薬類が欲しい時には中野か下北沢で買ってましたね。

その真逆のパターンも私は知っています。
まだ昭和期だった大昔、関東某県奥地の大学に進学した高校の同級生を訪ねたことがあるんですが、乗り継ぎながら先へ先へと進んでいたら巨大農業地帯の地平線に夕陽が沈んできて、ものの本で読んだ戦前の大陸開拓団員にでもなったような気分がしてきました。
長旅を終えてようやく目的地に着いたら、首都圏の駅前なのに定食屋と昔懐かしい「よろず屋」の雰囲気をたたえた雑貨店しか店舗がなくて、呆気にとられたことを37年経った今でもよく憶えています。

今ではさすがに状況も変わってるでしょうが(たぶん)、あの時に見た「外食できるのはここだけ!」「買い物できる店はここだけ!」という「選択肢の存在しない世界」だったら競争原理なんてものはなく、店側の言い値に従うしかありません。
まさに「競争原理が働かなくて物価が高い」という状況が迷信ではなく存在しているわけです。

しかし、これは「事前リサーチ」さえキッチリしておけば問題にはなりません。
「うわぁ! 見渡す限りの田んぼだなんてチョー素敵ぃ!!!!」
みたいな感じで移住場所を安易に決めると、納豆ひとつ買うために30分車を走らされたうえに「競争原理が働かないせいで起こる物価高」に泣かされる羽目になります。
どこに住むか決める時に「近くにどんな店が何軒あって価格相場はどのくらいか?」をチェックしておくのは当然のことですよ。

いわゆる「田舎暮らしファンタジー」に浮かされて脱東京を思い立った人というのは「家そのもの」「周囲の自然環境」ばかりに目をとられがちですが、そんな地に足の着いていない移住なんか上手くいく道理がない。
80年代の連ドラ版『北の国から』が人気だった頃、黒板五郎(田中邦衛)の生きざまに憧れて東京から北海道へ移り住んだお調子者が結構いたそうですが、ほぼ全員がじき逃げ帰ったとも聞いています。
「大自然のハードなリアル」「都会人のふわっとしたファンタジー」など寄せ付けないのです。

なお「移住前にチェックしておいたスーパーが移住直後に閉店した」なんて悲劇も起こり得るので、近所の良さげな店は最低でも5~6軒はあってもらいたい。
そのくらいの軒数があれば競争原理もしっかり働き、都会と大差ない価格で買えますから。

ちなみにウチの近所は住宅地のせいかスーパー・コンビニ・ドラッグストア(生鮮食料品も多い「半スーパー」タイプの)だらけで、地元密着系スーパーの他、24時間営業の「西友」とか、イオン系の「マックスバリュ」とか、生活コスト削減の強い味方「業務スーパー」とか色々あります。
それに加えて移住後に発見した穴場店なんかもあって非常に助かってます。

絶景マックス

絶景業務

ただ、「単に『店がたくさんあればいい』わけではない」ということだけは肝に銘じておいてください。
重要なのは「各店の特性をしっかりと見極め、比較データを有しておくこと」なんです。

手間暇を惜しまず全店舗のリサーチを行い、「これを買うならあそこが一番安い」とか「あっちの店は税込み表示だからお得感が高い」とか「あのスーパーは閉店の何時間前から生鮮品やお惣菜の大幅値引きが始まる」みたいな情報を掴んで脳内にインプットしておく。
そうすれば、「目についた品を考えナシに買ってしまい、もっと安い他店価格を後で知って落胆する」といった失敗(これ、ものすっごく悔しくて自分を殴りたくなる)をしないで済むのです。

こうした「細かな店舗情報の積み重ね」はバカにできません。
じつは私は2020年2月2日から、食費(嗜好品を含む)+衣類費(靴代を含む)+交際費+交通費+趣味費(書籍代)+雑貨費(文具代を含む)を記す「出金帖」をつけているんです。
「サテサテいつからつけ始めようかな~」と考えていた時、この日が「上から読んでも20200202、下から読んでも20200202」という超クレイジーな日であることに気が付きました。
こんな面白いタイミングを逃す手はない! ということで早速ノートを買って来てその日からつけ始めたのです。

最近はスマホカメラでレシートを撮れば自動で家計簿を作成してくれる便利なアプリなんかもあるそうですが、あえて私は「ノートにボールペンで全購入品名を記入してレシートも貼っておく」という究極のアナログ手法を選びました。
作業がメンドクサイほうが「戒め感」があって、ムダ遣いが減らせると思ったんです。
レシートを全部貼ってあるので厚みがモノスゴイことになってますけどね。

出金帖

毎月最終日に集計し、「自分は今月、必要経費(光熱費・税金・保険料・通信費・医療費等々)以外にいくら使ったのか?」を明らかにしているんですが、2020年7月にはなんとわずか「23.630円」で収まりました!
ここまで低く抑えられたのは移住後初のことで、たぶん最大の勝因は「服も靴も買わない月だったから」だと思うんですが、「近隣各店の特性をしっかりと見極め、買い物に最大限に活用した」というのも大きいはずです。

「知恵を凝らして100円浮かせる」のは「知恵を使って100円稼いだ」のと同じことで、私にとって「節約」は一種の「労働」と言えます。
ゲーム感覚楽しんでやれば悲壮感なんかは全然ないですよ。
「ムダにダラダラ使う」のを抑えることで「ムダにセコセコ稼ぐ生活」から解放される、というのが私が脱東京を決意した理由のひとつなんですが、この「節約という名の労働」頭も体も健康的に使えて超オススメ!
私の場合はイマドキの「ミニマリスト」ではなく単なる「怠けたがり者」ですが、やってみるとホントに快適ですよ。

サテ今回の結論です。
「競争原理が働かなくて物価が高い」というのは、事前リサーチさえちゃんとやっておければ「迷信」と言えますが、しかしリサーチ不足で移住地選択を誤ると「真実」になってしまいます。
一見さんがチラッと探っただけだとどうしても細かな部分までは見きれないので、可能ならば地元在住者からの情報提供を受けてください。

私は脱東京アドバイザーもやってますので、静岡県東部のことならば相談に乗りますよ!

この記事が参加している募集

#習慣にしていること

131,143件

#おうち時間を工夫で楽しく

95,452件

読者のみなさまからの温かいサポートを随時お待ちしております。いただいた分は今後の取材費として活用し、より充実した誌面作りに役立てていきます。