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無観客配信ライブに出演した所感①


5月29日、いつもお世話になっているライブハウス、京都GROWLYにて人生初、ライブハウスからの配信弾き語りライブを行った。

配信ライブは最初音声だけだったと思うが、10数年前には確立されている発信のスタイルだろう。私も酔っ払っている時にツイキャスなどの配信をしたことがある。バンドの練習の風景を配信したこともあった。手軽にはじめられるからこそ、クオリティを追求すると終わりがない情報発信の手段だろう。

あくまでCDリリースのPRやファンとの交流など、副次的なものとして捉えられていた動画配信が、ライブハウスの1日の模様をすべてを送る手段になろうとは。

普段お客様に入場してもらい、生の演奏を届けていたライブハウスに人が入れないという事態が起こるとは誰が考えただろうか。

現在、多くのライブハウスが無観客配信ライブを行っている。単なる配信ライブだけでなく、お客さんが楽しめるように試行錯誤しているライブハウスの方々の姿が目に浮かんでいたが、実際に自分が出演者として現場で制作に立ち会うとなると、その努力量は予想をはるかに凌駕していた。

最後にバンドでライブをしたのは3月6日、渋谷TSUTAYA O-nest。弾き語りは緊急事態宣言が出されるギリギリにお客さんもいれて開催された3月24日、京都。実に2ヶ月間ライブができなかった。

形は違えど、久しぶりのライブのため、数日前から緊張していた。
形が違うからこそ、緊張していたのもあったかもしれない。

配信ライブでもチケットを購入してもらう方式であるので、お金を払ってお客さんは自身のデバイスからライブを観覧する。自分が配信しているライブなら、コメントや観覧してくれている視聴者数などを目で追いながらライブを進めていけるが演奏をするのみという形式で、無観客で曲の終わりに拍手や歓声が飛び交うわけでもない空間で演奏をしていくのは不思議な体験だった。

ライブハウスにお客さんが居たとき、いかに幸せな環境でライブが出来ていたかという事実を噛みしめると同時に、配信によって、全国の人が同時に見ることが出来るという状況に興奮を覚えた。

普段のブッキングライブだとはっきりいって30人、お客さんが居たら「今日は人が多いな」と感じるという昨今のライブハウス事情。本当に良い音楽をやっていてもオトナが気づかないと日の目が当たらないのが今の世の中だろう。
アーティストはそのためにサブスク解禁や映像制作に力を入れている。

ただ、ライブで音源以上の力を出すバンドも多いだろう。そのようなバンドをライブハウスでの演奏だけでなく、配信ライブによって多くの人が見つかる世の中に今変わりつつあるのかもしれない。

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みんなで試行錯誤したリハーサル


数年前から京都GROWLYに出演させていただいており、スタッフの方々にお世話になりっぱなしである僕は当日の1番手を任せてもらった。テスト配信も兼ねてリハから手伝ってほしいとのこと。普段バンド(ソロなら僕1人)とPA・照明さんとの1組対1組の構造なのだが、昨日のリハーサルは僕(演奏者)とPAさん、カメラマン、配信ライブの映像を切り替える役(音声チェックも兼ねている)、別モニターでテスト配信ができているかチェックする役と、さながらPV撮影の現場のようにリハーサルからたくさんの方が関わってくださっていた。

普段通り、ライブハウスのスピーカーから流れる音をお客さんが聴くのではない。お客さんは自身の携帯やPCから音を聴く。

当たり前の話だが、現場で流れている音とPCから流れる音は違う。その差をリハーサルでは重点的に埋める作業を行っていった。

お客さんを入れるライブと同時並行で配信を行う際には新たな対策が必要なのだが、配信ライブのみという状況だけ考えると音作りは大げさにしたほうが良い。ある程度音作りが終わり、テスト配信の録画をチェックさせてもらうと、チャカチャカ感(例えるのならウクレレのような音)があった。少しやりすぎかな?というところまでエレアコの低域を出してもらったところ、納得のいく音が画面上から流れ出した。これには安堵と同時に「奥が深すぎる....」と調整が必要なのだなと配信の難しさを感じた。

どこに基準を設けるかという話が今後必要になるであろうが、ライブハウスに足を運ぶ人、自宅などで演奏を見守る人が相互に楽しめるような仕組みづくりが今後たくさんの関係者によって実験され、実践されていくだろう。

音響だけではない、動画撮影のため構図を練りつづけてくれたスタッフ(普段は動画撮影はしていない方)、配信がうまくいっているかフロアと別の部屋をいったりきたりしてくださったスタッフ、多くの人たちが、リハーサルからみんなで本番が成功するように動いてくださった。


少しまだ書きたいことがあるので2部に分けようかと思っている。
ひとまずたくさんの方々の協力のもと、1日を無事終えることができた。


配信ライブは生放送後も、アーカイブが残る場合もあるので好きなタイミングで視聴することができる。「どうしてもその日はライブハウスに足を運べない」、「遠方に住んでいる」などの理由で当日ライブハウスに行くことができない、物理的にライブハウスにいけない人たちにとっては良い時代が来ているだろう。

ライブハウス関係者も全国のライブハウスで鳴らされているライブをその目で確かめることが出来る。音源が勝負、MVが勝負という考え方も変わってくるだろう。やはりライブでしか味わえない音像が「ライブハウス」には存在している。


その場でしか味わえない生感が味わえるライブハウス。
どこにいてもライブハウスの音とその場の雰囲気が味わえる動画配信。

その両立が成功したとき、音楽はもっと人々にとって身近になるのかなと感じた一日であった。


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