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【大学生の私を構成した音楽3枚:邦楽編】


【〇〇の私を構成した音楽3枚:〇〇編】という企画を今日から始めようと思う。


「#私を構成する音楽する9枚」というハッシュタグがtwitterで少し前に流行った。

この企画をすっかり忘れていたのだがふと、好きな音楽のことを自分の言葉で「客観的に」表現したことはあったかと記憶を辿ってみたが、明らかに足りないなと結論が出た。

ブログではずっと自分の好きな音楽を書いていた。しかし「誰かに向けて書いた?」、「誰もが分かるように書いた?」、「好きの押し売りでない?」、「それはあなたの感想ですよね?」など脳内の2ちゃんねる創設者が次々に指摘してきたことにより、自分の好きな音楽をレビューしたこと個人のnoteではないなと気付いた。

自分の音楽の趣向は徐々に変化している。ターニングポイントを決めると

・大学生時代
・大学院生時代
・大学院卒業から現在

この3つに分けられるだろうか。中高生のときはとにかくいろいろなジャンルをかき集めていった。今も常に、新しいものを探している。

大学生の時にナンバーガールの系譜のバンドをとにかくディグっていった。

今日のnoteでは「大学生の私を構成した音楽3枚:邦楽編」と題して3枚のアルバムを300-500字でレビューしていく。くるりをどうしても入れたかったがくるりについては今度の企画でじっくり書こうと思う。


【1】ハヌマーン / RE DISTORTION

2004年結成の3人組オルタナティブ・ロックバンド。山田亮一 (Gt / Vo)が紡ぐ叙情的な歌詞と切れ味の鋭いギターを主軸にオルタナティブ・ロック界隈のみならず、各種イベント、RISING SUN ROCK FESTIVAL、COUNTDOWN JAPANなどに出演し、ASIAN KUNG-FU GENERATIONと共演するなどブレイク目前だったのだが、2012年に解散した。

彼らの2枚目のアルバムとなる『RE DISTORTION』は2010年にリリースされた。カッティングが印象的なリフレインの“Fever Believer Feed Back”、彼らの持ち味であるハイミッドに寄せたベースとファズにとる野太い音像のギターを聴くことができるM3 “今夜、貴方とマトンシチュー”とM4 “ワンナイト・アルカホリック”。前作にも共通する疾走感、焦燥感を強く感じたのだが、今作ではミドルテンポの楽曲を多く収録し、自己の内面にさらに焦点を当てている。

M1”Nice to meet you”の一節「あらゆる弱者を巻きこんで / 鳴るミュージック 」から物語は始まり、M6 “幸福のしっぽ”では「それでもまだ人間でいたくて / 明日もまた同じ場所へ同じ手段で行く」という一節もあるように自身の体験を赤裸々に聞き手に共有する。自身の「弱さ」を強い言葉、楽曲で表現している。数少ない彼らの音源の中で、特に聞き手に自身の経験を詳細に綴ったこの作品は彼らの珠玉の一枚だろう。



【2】SuiseiNoboAz / SuiseiNoboAz

2007年に石原正晴(Gt / Vo)、溝渕匠良(Ba)、櫻井範夫(Dr)によって結成された3人組オルタナティブ・ロックバンド。轟音サウンドからサイケデリックな浮遊感までをも表現する。2010年にリリースした1枚目のアルバム『SuiseiNoboAz』。プロデュースはZAZEN BOYSの向井秀徳氏が担当した。

3人という音数に制限がある中で、それを彼らは強みとしていた。個々の楽器スキルの高さは言うまでもないのだが、彼らは「音の隙間」をうまく使っているのだ。難しいことができるからこそ、簡単なフレーズには命を吹き込む。M10 "happy 1982”においてその特徴を聴くことができる。ドラムが単調なフレーズを刻む中、ベースは低音から高音へと縦横無尽に駆け巡るフレーズを弾き、ギターは浮遊感のあるアルペジオを奏で、ギターソロではおなじみのファズソロを放つ。各々の楽器の抜き差しがしっかりしているのが印象的な作品だ。

本作に限らず、石原のテープエコーを用いて浮遊感を表現するフレーズ、リフレインやアップテンポの曲の際に弾く力強いフレーズ。石原自身もギターという楽器の中でオンオフを適宜、切り替えている。

2014年に石原以外のメンバーが脱退することになり、現在は4人の編成をとっている。今年の3月に"3020”という今の世の中に一石を投じた曲をリリースし、今年も要注目のバンド。メンバーは変われど、SuseiNoboAzが初めて世に出した1枚目のアルバム『SuiseiNoboAz』は2010年代の音楽シーンを語る上で欠かすことの出来ない1枚だろう。



【3】39108 / 吉井和哉

1988年に結成し2004年に解散。そして2016年に再結成された日本の伝説的なロックバンドTHE YELLOW MONKEYのフロントマン、吉井和哉の3枚目のアルバムであり、"吉井和哉”名義では初となるアルバム『39108』。当時の年齢が39歳であったこと、誕生日が10月8日だったこと。そして煩悩の「108」、ありがとうの「39」の意味も兼ねており、今まで自分を苦しめてきた煩悩に感謝するという意味も込められている。

アルバムのM1 "人それぞれのマイウェイ”の一節「どうでもいいことが / 大事なことなんだ / BEFORE と AFTER の間で / 立ち止まってみるマイウェイ」というフレーズにアルバムの全体のコンセプトが表れている。

楽曲のレコーディングは吉井以外、アメリカ人ミュージシャンによって録音されており、タイトなドラムが楽曲のビートを支配しており、少しウェットな吉井の声質との対立が新鮮である。

吉井和哉はTHE YELLOW MONKEY解散後のソロ名義、YOSHI LOVINSONからミニ・アルバムも合わせて通算8枚のアルバムをリリースしている。本作は吉井和哉を聴いたことがない方でも彼のキャラクターを知ることのできる作品となっている。





このレビューを書く際に久々にそれぞれの音源を聴いたが青春そのものだった。大学生活はハヌマーンを中心にまわっていたことも懐かしい。グレーなことなのであまりよろしくないが、REGRESSIVE ROCKの音源を怪しい中国のサイトから得たこと。そして楽曲のすべてを聴いて涙を流したこと。

皆様も特定の時期を決めて、当時聴いてきた音楽を今、聴いてみてはいかがでしょうか?

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