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1円玉の穴を埋める

キャッシュレス化で皆で共有できる尺度がなくなっていく

大きさを伝える

「今回のiPhoneは前のより◯ミリ小さい」「◯mm画面サイズが大きくなった」___。

モノの魅力や迫力を伝えるために、大きさを伝えることは文字媒体にしろ動画媒体にしろ重要な仕事の一つだと思います。新発売の商品であればなおさら求められることですし、あまり身近ではないものについても大きさの情報は大事です。

・新製品、まだ誰も触ってないもの→大きさの情報大事
・身近ではないもの想像しにくいもの→大きさの情報大事

日頃カメラを傍らにおいて生活している身として、カメラの“センサー”はこの両方の条件を兼ね備えた「伝えにくさの極地」にあると感じています。

スマホのディスプレイやカメラボディーはEveryday毎日目にするものだし手にも持つので、かなり身近でサイズ感を想像しやすいと思います。

一方でセンサーやそのサイズについてはカメラやスマホの新製品が出るたびに進化が謳われ、より大きくなって画質が向上したとか、解像度が高くなったとか、省電力化したとかたくさん広告宣伝されるので、買うまでは重要な要素なのですが、購入した後はセンサーそのものは目にしないし手に持つこともないので、その実際のサイズ、重さ、構造はほとんど知られていないと思います。

センサーの実態が知られていないので、その先にある一眼カメラのことや、センサーサイズによって画角が変化したり、センサーがどうなっているかなども理解しにくくなっていて、そして光学現象そのものへの理解が難しくなってきているように思えます。

そういったことを考えながらカメラのセンサーのサイズについてまとめを作ったりしています。

そしてそうした中で悩んだことがありました。どうやって実際のサイズを伝えれば分かりやすいか?ということです。

大きさをどう伝えるか?

見なれぬものの大きさを伝える際、何か共通の尺度があればよいはずです。僕の考える大きさを別の誰かが再現できるための尺度。そうやって決まったものの一つが国際単位のメートル(単位:m)であり、そこに接頭語をつけて応用したミリメートル(mm)という単位です。

電気製品のサイズ表記でもっとも目にするのはこのmmだと思います。

しかし、このmm表記にも問題があると個人的には思っていて、例えば

本体サイズは17.44mm×105.64mm

と言われたとして、そのサイズ感を正しく理解して把握できるでしょうか。この場合はメジャーや物差しでサイズ感を把握することになると思いますが、そんなものを普段から持ち歩いている人がどれくらいいるでしょう。

ではどうするかというと、

iPhone12 miniはiPhoneSE2より一回り小さい

というように、別のもののサイズを利用して伝えることがよくあります。この場合、掲載メディアのユーザー層や製品のターゲット層によく知られているものが比較に使われます。しかし、どうしても大雑把な伝わり方になりますし、ターゲットを絞っているので誰にでも伝わるものではありません。

一方、誰もが知っているものを比較に出したとしても「東京ドーム◯個分」という表現ではサイズ感を把握するのは難しいようにも思えます。

サイズを正確に伝達するには、なにか、みんながいつでも持っていて、サイズが統一されているものがあればよさそうです。

こういうとき1円玉が便利なんですよ

そういったことを念頭に、私がよく利用していたスケールは「1円玉」でした。

他の硬貨、紙幣と同じく1円玉もその素材やサイズが厳密に決められていて、純アルミニウム製で重さが1.0g、直径が20.0mmになるように製造されています。

1円玉が役に立つ

これを、カメラのセンサーのサイズ比較の図に描いておけば、実際のサイズがどれくらいのサイズなのかが伝わりやすいと思います。

また、画面に表示された円を一円玉と同じサイズに拡大縮小することで、センサーの実寸大も把握できるという利点があります。

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サイズを調整することでセンサーのサイズを実寸大で表示できる。

表示している画像はこちら↑

共有できる尺度がなくなっていく

こうしたときに問題になってきたのが「キャッシュレス化」です。

私自身、PayPayを初めとするバーコード決済やSuicaを日常的に利用していますし、ネット通販利用時に現金での払い込みをしたのは高校生の時にパソコンを初めて買ったときが最初で最後でした。
(この時はMacBookPro13”(2012Mid)を買ってコンビニ(ファミマ)で12万円?の払い込みをした。いい思い出です。)

近年では幼年層(0〜10歳くらい)の間でも同じような状況が広がっているのではないでしょうか。

例えば、都内ではスイカの通学定期を持った学童が山手線に乗り込んでくる光景をよく目にします。これは私の勝手な決めつけなのですが、おそらく、彼/彼女たちは硬貨というものを見たことがないのではないかと思います。

また、これはとあるツイートですが、算数の引き算の問題に出てくる「おつり」という概念が理解されない、という話もあります。


これが氷山の一角なのか、重箱の隅をつついたものなのかはわかりませんが、今後こういったことは間違いなく増えていくように思えます。

ちなみに令和2年度の1円玉の製造枚数は100万枚。この予定枚数通りになるわけではなく、実際には50万枚ほどで打ち止めとなる場合もあるそうです。

時事通信によれば、1円玉の製造・流通枚数はこの十数年でかなり減少傾向にあるとのことです。(2018年の記事です)

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これによってレジ横に置いてあるような現金での募金へ影響が出るのではないかとも指摘されています。

一円玉に替わるスケールはなんだろう

とはいえ、自分もキャッシュレス化には賛成なのでどんどんやってもらっていいと思ってます。ただ、サイズの伝達に関しては不便だなと思うので、この際1円玉に替わる共通スケールを探してみたいと思います。

条件としては
①平面(ディスプレイ)で表示できること
②誰もが知っているもの
③誰もが持ち運んでいるもの&よく触れるもの
④手に入りやすいもの
⑤実寸表示を実現するために、一般的なスマホの画面より小さいこと

といったところ。

早速周りを見渡して、候補を出してみました。

・バンカーリング
・AirPods
・名刺
・リップクリーム
・ボールペン
・印鑑
・ApplePencil
・家の鍵
・USB-C端子
・マスク
・コンタクトレンズ
・歯ブラシ
・Suica (ICカード)
・絆創膏
・TwitterAppのツイート作成ボタン
・パインあめ、フエラムネ
・アイスの棒
・トイレットペーパーの芯
・ペットボトルのキャップ
・ホッチキスの芯
・水道屋のマグネット
・はがき
・ポケットティッシュ
・傘
・A4の紙 でかい
・折り紙、折り鶴
・SDカード

などなど。羅列すると見づらいので以下の表にまとめました。独断と偏見で作っているので異論はあるとは思います。

2アートボード 1@2x

たて軸に「みんな持っている/誰も持ってない」
よこ軸に「持ち運ぶ必要がある/家に置いてある」
を、設定したマップです。

みんなが持っているということは入手しやすいということでもありますし、持ち運び必要があるということは必然的に触れる回数も多いのではないかと思います。

もちろん例外はあって、例えばランドセルは高価なので入手難易度は高いですが、文化的に大抵の小学生は持っている可能性が高いです。なので「みんなが持っている=入手しやすい」とは言い切れないのですが、ここではそう設定します。

あとは家に置いてあるけど触れる回数が多いこともあり得ますが、今は気にせずに進めましょう。

ちなみに表の中にある「ツイートボタン」は皆さん大好きTwitterのツイート作成ボタンのことです。

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この画面の

IMG_0749のコピー

これ。

スマホの画面上に表示されるUIをスケールに使うというのはいい視点だとは思うのですが、使っているスマホの機種やアプリのバージョンによってサイズが異なる可能性があります。

ちなみに僕の使っているiPhoneSE2、Twitter公式アプリのバージョン8.84のの環境では幅112ピクセル、画面に定規を当てて測ると9mmくらいのサイズになっています。

iPhoneSE2の画面は326ppiなので、1ピクセルのサイズは
1インチ÷326ピクセル=25.4㎜÷326ピクセル=0.07791411…(mm/ ピクセル)

になります。ツイート作成ボタンは幅が112ピクセルなので、

112ピクセル× 0.07791411(mm/ ピクセル)=8.726…(mm)

となり、大体8.7mmほどです。

発想は良いのですが、1円玉がφ20.0mmだったのに比べると分かりにくいですね。

さて、表に戻ります。全部を検討する時間はないので、表の右上「みんなが持っていて持ち運ぶ必要がある」の部分に集中して考えてみます。 

1アートボード 1@2xのコピー

マスクが最強?

この中で「マスク」は一番右上にあって最強に見えるのですが、大人こども、女性男性でサイズはバラバラでしょうし、使い捨てかどうかで形状も異なっています。

自分の手元にある玉川衛材のFittyというマスクは、使用前の状態で9×16.5㎝です。これは4×5フィルムの12×9㎝が近いサイズですね。

いや分かりにくいわ!

そもそも条件の5番目、

⑤実寸表示を実現するために、一般的なスマホの画面より小さいこと

が満たせてない。誰もが持ってて身につけているという好条件でしたが、残念ながらマスクはスケールには向いてないようです。

ということで、ということで端折りますが同じような理由で

鍵、コンタクト、AirPods、ばんそうこう、リップクリーム、ツイートボタン、Suicaはだめそうです。

で、残ったのは???

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ペットボトルのキャップ!


これは結構よさそうな予感!

家に転がってたキャップを捕まえてきてサイズを測ると、ピッタリ3㎝。

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飲料大手キリンさんによると、複数種類あるものの共通規格で製造されていて日本国内では内径28mmのものが主流とのこと。であれば外径は3㎝くらいになりそうです。

1円玉のように「直径20.0mm」と言い切れるわけではなく、「大体3㎝」なので1円玉より有効数字が減った伝え方になってしまうものの、かなりいい共通スケールではないでしょうか。

結論

小数点以下1桁くらいまでは厳密にしておきたいので、今後もいいスケールを探すことになりますが、今回は「ペットボトルのキャップ」が1円玉の代替として使えるという結論にしておきます。

やはり硬貨と同じく共通規格になっているものであれば他にも使えるものがあるのではないかと思います。食品、衛生、工業製品のなかにヒントがありそう。

ということで今回はここまで。

何か使えそうなものがあればコメントください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!


つづく?


書いている人:@YoneharaRyuhei


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