みちのくの真剣師の美しいシュンツ手
日本プロ麻雀連盟の菊田政俊プロが日テレプラス麻雀リーグ2022に初参戦しています。
菊田プロは仙台市を拠点に活動しており、「みちのくの真剣師」の異名を持ちます。東北天翔位のタイトルを3回獲得したことがある期待のプロ雀士です。
日テレプラス麻雀リーグ2022ではパイレーツ・リーグに出場。これまで(9月8日現在)に放送された2試合の予選を観戦しました。
菊田プロはペンチャン・カンチャン待ちの役のない愚形リーチは好みません。シャンテン数を落としてでもじっくりと両面待ちへの変化を目指し、ピンフを軸に手役をつけてからリーチに踏み込むメンゼン主体の重厚な打ち筋が印象的です。
「シュンツマスター」と称される最高位戦日本プロ麻雀協会の新津潔会長と丁寧な手作りが相通じるところを感じました。
菊田プロの特長がよく出ていたのはパイレーツ・リーグ予選第3戦南4局2本場です。
菊田プロが見事に親満をあがった一局を振り返ります。
パイレーツ・リーグ予選第3戦はKADOKAWAサクラナイツの岡田紗佳プロ、KONAMI麻雀格闘倶楽部の佐々木寿人プロ、KONAMI麻雀格闘倶楽部の高宮まりプロ、日本プロ麻雀連盟の菊田政俊プロの並び順。
南4局2本場を迎え、持ち点は北家・高宮67200、東家・菊田31800、南家・岡田29900、西家・寿人-8900です。
高宮プロが大きくリードし、寿人プロはハコ下に沈んでいます。菊田プロは岡田プロと激しく2位争いをしていました。オーラスの親で連荘して抜け出し、高宮プロとの点差を縮めたいところです。
菊田プロの配牌です。ドラ入りのメンツがあり、早く聴牌できそうなチャンス手が入りました。
第1打に北を切った菊田プロは2巡目に8索をツモりました。
菊田プロは9索を切って8索をアタマで固定する形にしました。
めいっぱいにはせず、ペンチャンの7索の受け入れを求めません。少しスリムに構えて、安全牌になりそうな白を残しました。
3巡目に1索をツモってイーシャンテンです。
一方、ラス目の寿人プロが3巡目に1枚目の發をポンしました。
寿人プロは手牌にドラと赤ドラをそれぞれ1枚持ち、中をトイツにしたリャンシャンテンです。鳴き仕掛けで素点回復を目指しました。
菊田プロは4巡目に6萬をツモり、ペンチャンの3筒待ちで聴牌。黙聴に構えました。
この手ではドラ表示牌のペンチャン待ちであるものの、親なのでリーチに踏み込む打ち手がいると思います。
鳴き仕掛けをしている寿人プロを親のリーチで抑え込む狙いがあります。また、寿人プロがオリずに向かってくれば出あがりも期待できます。
解説の和久津晶プロも「この巡目ならば」とリーチを推奨していました。
しかし、菊田プロはリーチしてドラ表示牌のペンチャン待ちの手に勝負を懸けるのは厳しいと判断。黙聴で手変わりを待ちました。
3筒は岡田、寿人、高宮の3プロがそれぞれ1枚持っていて、ドラ表示牌も1枚あり、山には残っていませんでした。
菊田プロは5巡目に5萬をツモって1筒を切り、聴牌を崩しました。
ペンチャンのターツを外して好形のイーシャンテンに取り、両面待ちでのリーチを狙います。
寿人プロは4巡目にドラの4筒を重ね、5巡目に4萬をチーしてイーシャンテンです。
満貫のあがりが見えるハコ下のラス目なので、もうオリはありません。
菊田プロのペンチャン外しはずばりでした。6巡目に7萬をツモって6萬・9萬待ちで聴牌。満を持してのリーチです。
すると、寿人プロが6巡目に一発で9萬をつかみ、菊田プロに放銃。菊田プロはリーチ・ピンフ・一発・ドラ1の12000点(+600)のあがりです。この試合で2位に入りました。
親で愚形でのリーチのスピード勝負には持ち込まず、きっちりと両面待ちに仕上げた菊田プロの美しいシュンツ手のあがりでした。日テレプラス麻雀リーグ2022はもちろん、さまざまな試合で闘牌に注目していきたいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?