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最強戦伝説へあと一歩 あがり見逃しからの親の三倍満聴牌

 「麻雀最強戦2022 全日本プロ代表決定戦」=2022年11月13日(日)=の決勝で大きな見せ場がありました。

 主役は最高位戦日本プロ麻雀協会・吉田昇平プロです。

 トップ目と14600点差の2着目だった南3局3本場(供託1)の親。3900点の出あがりを見逃し、手を進めて高めをツモれば親の三倍満という大逆転の手を聴牌しました。

 惜しくも流局となりました。強烈な一撃を決めていれば麻雀最強戦の伝説に残るあがりとなったと思います。

 吉田プロが大胆な打ち回しで魅了した一局を振り返ります。

 決勝は最高位戦日本プロ麻雀協会・新野竜太プロ、日本プロ麻雀協会・田本英輔プロ、最高位戦日本プロ麻雀協会・吉田昇平プロ、日本プロ麻雀協会・大塚翼プロの並び順。

 南3局3本場(供託1)を迎え、持ち点は南家・大塚46900、東家・吉田32300、北家・田本12500、西家・新野7300です。

 2着目で親の吉田プロがトップ目の大塚プロを激しく追い上げています。

 吉田プロの配牌です。發と中がトイツのチャンス手が入りました。

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 吉田プロは索子のホンイツをまっしぐらに狙って、萬子や筒子のターツを外す選択もありましたが、1索を切りました。

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 全く無理のない一打です。

 吉田プロは2巡目に中をポン。早くもイーシャンテンです。

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 3巡目に鳴きたい發を暗刻にして、あっという間に4萬・7萬待ちで聴牌しました。

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 3巡目に新野プロから4萬が切られました。吉田プロはあがれば發・中の3900点で積み場と供託の収入を合わせると5800点になります。

 5800点増えてトップ目との点差を縮めて親を続けられるので、ここではあがる打ち手が多いと思います。

 吉田プロも大塚プロからの直撃ならばあがったと思います。 

 吉田プロはラス目の新野プロから出たのであがりを見逃しました。トップ目の大塚プロとの14600点差を鑑み、訪れた一番のチャンスを活かそうと、この一局に懸け、大物手を決めにいきました。

 吉田プロは最低でもホンイツ・發・中か、トイトイ・發・中の親満12000点のあがりを目指しました。

 一気にトップ目に立つホンイツ・トイトイ・發・中の親の跳満18000点、ホンイツ・トイトイ・三暗刻・發・中の親の倍満24000点も視野に入っています。

 強気で大胆な打ち回しです。

 吉田プロは4巡目に8索をツモって5萬を切り、聴牌を外して索子のホンイツに向かいました。

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 再び聴牌する間に他家にあがられてしまう恐れがあります。勇気ある選択です。

 その恐れは現実味を帯びていました。トップ目の大塚プロが4巡目にイーシャンテンになりました。

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 吉田プロは7巡目に場に1枚切れの白をツモりました。

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 小三元、大三元の可能性もありましたが、8巡目に絶好のドラの5索を引き入れ、白を外しました。

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 そして9巡目にツモったのがドラの5索。どの待ちの聴牌に取るかの選択です。

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 9索を切れば5索・7索のシャンポン待ちに取れます。

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 けれども、7索は見た目から1枚しか残ってなく、ドラとの窮屈なシャンポン待ちです。トイトイの役もなくなります。この聴牌に取る打ち手はまずいないと思います。

 7索を1枚外せばカンチャンの8索待ちです。

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 7索を暗刻で持っていたので8索は他家には使いにくく、山にも残っている可能性もあり、あがり牌として狙い目です。

 ホンイツ・發・中・ドラ2の親の跳満確定の手です。それでもトイトイが付かないので親の倍満はなくなります。

 吉田プロは最高打点を目指して8索を切り、5索・9索のシャンポン待ちに取りました。

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 ホンイツ・トイトイ・發・中・ドラ2の親の倍満確定の手です。ドラの5索をツモれば、ホンイツ・トイトイ・三暗刻・發・中・ドラ3の12000オールになります。

 山に5索は1枚、9索は2枚残っていました。

 麻雀の神様はいじわるです。吉田プロが選んだ自然な形のシャンポン待ちが裏目となりました。

 大塚プロら他家はオリに回っていました。

 吉田プロが12巡目にツモったのは8索。カンチャン待ちに取っていれば6000オール(+1900)でした。

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 5索と9索は他家に流れ、吉田プロはあがれずに流局。その後も懸命に逆転を目指したものの、大塚プロが辛くも逃げきって優勝しました。

 吉田プロは2位にとどまりました。それでも、あがり見逃しからの超大物手聴牌は観戦していた麻雀ファンの心を熱くする打ち回しでした。

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