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多井プロの細い道巧みにつないだ逆転の満貫ツモ【Мリーグ】

 あがりまでの細い道を巧みにつないだ満貫ツモが見事でした。
 
 渋谷ABEMAS・多井隆晴プロがMリーグ2022-23ファイナルの2023年5月8日(月)の第2回戦でトップを獲得しました。

 勝因となったのは2着目からトップ目に浮上した東4局2本場の満貫ツモです。

 KONAMI麻雀格闘倶楽部・伊達朱里紗プロの先制リーチを受け、丁寧に放銃を避けながらあがり牌を萬子と読みきり、筒子を次々と外して聴牌。場に安かった索子の6索・9索待ちが山に残っていると確信。追っかけリーチに踏みこみ、ハイテイでツモりました。

 この日の第1回戦で日向藍子プロがラスに沈んでいたので、多井プロはもちろん、渋谷ABEMASにとっても会心のあがりです。

 渋谷ABEMAS・多井隆晴プロ、TEAM雷電・萩原聖人プロ、KONAMI麻雀格闘倶楽部・伊達朱里紗プロ、EX風林火山・松ヶ瀬隆弥プロの並び順。

 親の松ヶ瀬プロが6000オールをあがってトップ目に浮上して迎えた東4局2本場。2着目の多井プロが秀逸な打ち回しを見せました。

 持ち点は東家・松ヶ瀬41600、南家・多井34600、西家・萩原28100、北家・伊達-4300です。

 ラス目でハコ下圏内から抜け出したい伊達プロが5巡目にカンチャンの二萬待ちでリーチしました。

 伊達プロの捨て牌は中、7筒、8索、7筒、2索。萬子は1枚も出ていません。チートイツにも見え、中以外の字牌は切りにくいです。

 早いリーチなので、他家は対応に苦慮しました。

 伊達プロのリーチを受けた直後、2着目の多井プロが6巡目に八萬をツモった手牌です。

 現物は2索しかありません。各チーム94試合のレギュラーシーズンだったら多井プロはトイツの2索を1枚外していたと思います。

 けれども、ファイナルは各チーム16試合の短期決戦。トップを取れるチャンスはできる限り、ものにしたいはずです。

 多井プロは字牌ぐらい押そうと、初牌の發を切りました。

 いつもより前がかり気味の多井プロに、悲願のチーム初優勝への熱い思いを感じました。

 7巡目にツモったのが危険牌の2筒。さすがに続けて押せず、現物の2索を1枚外して、いったん回ります。

 8巡目に南をツモって続けて2索を切り、9巡目に現物の中をツモ切りました。

 10巡目に通っていない6筒をツモり、場に1枚切れの南を外しました。

 他に安全牌がなく、字牌は伊達プロに通ると判断したようです。

 厳しい打牌選択の続く多井プロにさらに難題が突きつけられました。11巡目にツモったのが危険牌の7索です。

 安全牌は1枚もありません。浮いている一萬を外したいところですが、伊達プロに1枚も通っていない萬子は切れません。

 2筒、4筒、6筒、7索からの選択です。

 多井プロは通れば2巡しのげるとして、トイツの4筒を1枚外しました。伊達プロの捨て牌に7筒があり、4筒・7筒待ちがないことも考慮したようです。

 この繊細な打ち回しで放銃を避けながら、あがりの道を探るのが「最速最強」の異名を持つ多井プロの真骨頂です。

 萩原プロと松ヶ瀬プロはオリに回っています。

 多井プロは12巡目に一萬を重ね、もう1枚の4筒を続けて切りました。

 浮いていた一萬を強引に勝負しなかったことが奏功しました。

 多井プロは13巡目に中をツモり、直前に伊達プロが切って現物となった6筒を外しました。

 多井プロは萬子のチンイツが狙える手になりました。

 伊達プロに筒子は4筒、6筒、7筒、8筒、9筒が通っています。筒子でのあがりの可能性は少なくなり、2筒は通ってませんが押しやすい場況となりました。

 それでも、伊達プロが13巡目にツモ切りした一萬を多井プロはポンしません。手牌に残る7索が伊達プロに通る確信を持てず、見送りました。

 この攻守のバランスが多井プロの放銃の少ない強さの秘訣です。

 多井プロは14巡目にカンチャンの七萬を引き入れ、中を切ってイーシャンテンです。

 2索や4筒をトイツ落とししながら、ようやく聴牌まであと一歩までこぎ着けました。

 多井プロが15巡目にツモったのは7索にくっつく8索。2筒を押して6索・9索待ちでリーチしました。

 場に6索が3枚、9索が2枚出ていました。けれども、場に索子が安いことから、多井プロは6索・9索待ちに手応えを感じ、山に確実に残っていると読み、勝負を懸けてリーチに踏みこみました。

 また、伊達プロのあがり牌を萬子一色に絞りこんだようです。

 山に6索は1枚、9索は2枚残っていました。

 多井プロは18巡目にハイテイで6索をツモりました。

 多井プロはリーチ・ピンフ・イーペーコー・ハイテイ・ツモの2000、4000(+1600)です。

 多井プロの持ち点は44200点となり、トップ目に浮上。南場は安定した打ち回しで得意の逃げきり勝利です。

 最終結果は多井38000(流局で残った供託の1000点を含む)、松ヶ瀬35100、萩原29600、伊達-2700。

 針の穴を通すような、これしかないという細い道を巧みにつないであがった満貫ツモ。「ファンの皆さんに優勝の喜びを差し上げたい」という多井プロの熱意が伝わる一撃でした。

 

 

 

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