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奇跡の倍満で瀬戸熊プロが涙の最強位

 TEAM雷電の瀬戸熊直樹プロが2021年12月12日(日)に行われた麻雀最強戦2021で優勝し、悲願の最強位に就きました。オーラスで倍満ツモ・跳満直撃という極めて厳しい条件をクリアした奇跡の戴冠でした。

 瀬戸熊プロは鳳凰位、十段など数多くのタイトルを獲得し、麻雀ファンの人気を集めているトッププロ雀士です。けれども、最近は調子を落としていて、今回の最強戦では長年のライバルで親友の多井隆晴プロからタイトルを奪取しようと、並々ならぬ決意で臨んでいました。

 瀬戸熊プロは魂のこもった闘牌で決勝戦に勝ち上がりました。決勝戦では、宮内こずえプロが好調でオーラスの南4局を迎えた時点では、瀬戸熊プロが優勝するのには倍満ツモ・跳満直撃が必要という追い詰められた状況でした。

 南4局1本場で南家・醍醐大プロ、西家・宮内こずえプロ、北家・瀬戸熊直樹プロ、東家・一瀬由梨プロの並び順です。持ち点は宮内46400、瀬戸熊27400、一瀬15900、醍醐10300となっています。

  瀬戸熊プロの配牌です。ドラの8筒が2枚あるもののバラバラで倍満にするには難しい手です。

瀬1

 3巡目にドラ8筒をツモって暗刻にして、次の手牌となりました。

瀬2

 三暗刻も狙える手となり、ここから南を切ります。さらに順調にツモが伸び、7巡目にはドラの8筒を暗槓し、絶好のチャンス手のイーシャンテンになりました。槓ドラは中です。

瀬3

  一方、親の一瀬プロが11巡目に聴牌しリーチ。槓ドラの中を2枚抱えたリーチ・ドラ2の7700点の5萬・8萬待ちです。

一瀬1

 瀬戸熊プロも12巡目に7索をツモり、5筒を切って聴牌。リーチしてツモっても一発か裏ドラがなければ逆転できません。瀬戸熊プロは暗槓で裏ドラが1枚増えたので、この一打に勝負を懸けて迷わず5萬・8萬待ちでリーチしました。

瀬4

 条件を満たす一発ツモはありませんでした。それでも瀬戸熊プロは14巡目に8萬をツモります。裏ドラがなければ最強位には届きません。瀬戸熊プロは祈るように裏ドラをめくると、2枚ある4索が裏ドラになっていました。

瀬5

 リーチ・タンヤオ・ツモ・ドラ4・裏ドラ2の4000、8000(+1300)です。ほとんど見えない針の穴を糸で通すような奇跡のあがりで瀬戸熊プロは最強位に輝きました。

 感涙にむせぶ瀬戸熊プロの姿にとても魅せられました。何度も挑戦して届かなかったこのタイトルにどうしても就きたかったという思いが伝わってきました。

 瀬戸熊プロは優勝インタビューで多くの麻雀ファンや、不振の時期が続いても「本気になったらこんなもんじゃない」と、ずっと瀬戸熊プロの力を信じてくれていたライバルの多井プロに感謝の言葉を述べていました。最強戦を盛り上げ、盟友を鼓舞した多井プロの魂を引き継ぐ最強位の座に就いたことをきっかけに、「卓上の暴君」の完全復活を願っています。

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