【アークナイツ】収録曲 『Towards Her Light』 和訳と意味を考えてみる
はじめに
アークナイツはイベントごと,または主要なキャラクターに合わせてイメージソング的な物が作られる.どれもハイクオリティで楽曲の公開を楽しみにしているプレイヤーも少なくないだろう.
さて,日本では新章解放と共にオペレーター『サイラッハ』が登場した.
サイラッハは今回の物語で登場した,聡明で勇敢なヴィクトリアの女性である.そんな彼女をイメージして作られた『Towards Her Light』(彼女の光へ向かって)を和訳,考察してみる.
楽曲情報
作詞:Adam Gubman
作曲:Adam Gubman
歌:Hannah Crowley
リリース:2022/03/24(日本)
登場作品:アークナイツ(Hypergryph · Yostar スマートフォン向けゲーム)
歌詞(和訳)
春霞がかかる
渓谷が息づくような場所
そしてヒロックの影は明るく穏やか
必要とされていないなんて思わないで
世界から忌み嫌われようとも
あなたの帰る場所はヴィクトリア
夜風が戦場へ私たちを誘うときも
戦いに敗れ心まで疲れ果てようとも
彼女の名誉を守るためなら海岸にまでだって行進しよう
そのときヴィクトリアに気付く
私の心は何度でもヴィクトリアを歌うでしょう
彼女の光は信仰なき者さえ守る
彼女はあなたを見捨てはしない
闇があなたを誘うときでも
揺らぐことはない
盾のように,彼女こそがヴィクトリア
彼女の愛は貴方を守り抜く軍隊のよう
貴方が自分を見失おうとも
彼女は貴方の希望であり続ける
剣のように,彼女こそがヴィクトリアだ
サルゴンに至る丘で迷おうとも
彼女は呼び続けてくれるだろう
そして灯が導いてくれる
嵐の中だろうと動じない軍船のように
私は彼女の腕に抱かれて安心のまま
ヴィクトリアの癒し
希望溢れるヴィクトリア
心はヴィクトリアを詠うだろう
穢れた荒野を行進し
千の戦争も跳ね除け
どんなに離れようとも一人にはしない
ヴィクトリアは私たちの帰る家だ
必要とされていないなんて思わないで
世界から忌み嫌われようとも
貴方の帰る場所はヴィクトリア そうでしょう
考察的なもの
曲の意味
おそらく歌詞で何度も出てくる"彼女"はサイラッハの事なのだろうと思う.この曲はサイラッハの優しさや強さがよく伝わる.またそれだけでなく,自然が豊かであり軍事にも優れるヴィクトリアも讃えるような曲である.ところで本編は…
事前知識
結構抽象的な部分が多かったので意訳が多めになってしまった.要点の解説をしていきたいが先に地名の説明をしておく.この歌で出てくる地名は
ヴィクトリア
ヒロック
サルゴン
[ヴィクトリア]
この動画を見るとヴィクトリアは主要都市国家にも近く(画像じゃ分かりづらいがウルサス帝国やカジミエーシュが近い),優れた経済力,軍事力によりテラ(私たちで言う地球)にヴィクトリアの時代を築いたと言われている.名前やその文化(サイラッハはスコーンがお好き)からイギリス(イングランド)モチーフらしい感じがする.
[ヒロック]
正確にはヒロック郡と呼ばれており,国ではなくヴィクトリアの地名である.ヴィクトリア内における位置だが恐らく画像のオレンジ色になっているマーカーの部分で南西部に位置している.そういう地名があるんだなーくらいの認識でとりあえず問題なさそう.
[サルゴン]
これは別の国.出身オペレーターがビーズワクス,ユーネクテスなどであることからもエジプトをモチーフにしていそう.ヴィクトリアとは海もはさんでいるような立地をしている.歌を知るにあたっては一旦ここまでの知識で問題なさそう.
(2022/12/05追記)
DISCOVERED TERRA 3.0が公開され,より詳細なテラの地形が判明した.
白~水色っぽい六角形は陸地,六角形の枠のない紺色の部分が水辺(海や湖),紺色の六角形は海岸線?であると思われる(ヴィクトリアが面しているのは正確には「海」ではない.後ほど詳しく).これによると一応ヴィクトリアとサルゴンは陸続きである.とはいえ,距離は結構あるなという印象だ.
ゲーム内の地名を曲中にも用いることで国同士が持つ印象や情勢をなんとなく想像できて面白い.一方でそういうのを理解していないと味わいつくせないという難解さがある面もまた良いと思う.
和訳について
さて,地名をおさらいできたところで和訳の解説をしていきたい.
春霞がかかる…
春霞(はるかすみ)は季語的な感じでちゃんと日本語がある(調べたらあった!).春のぼやっとした霞のことを言い,その正体は水蒸気や花粉,黄砂などちょっと綺麗ではない…この曲においては情景描写としてこんな画像のようなものをイメージさせたいのではなかろうか.
霞ががかる谷があるなど地形からヒントがいくつか出てきた.恐らく内地,それも自然が豊かなんだろうなと思わせる.
彼女の名誉を守るためなら海岸にまでだって行進しよう
これが先の説明で半ば強引に「内地,それも森があるような」と納得した理由である.多分「海岸への行進」はそのままではなく「難しいこと」を表しているのだと思う.「どんな困難に身を投じようとも彼女の名誉を守る」というわけだ.海辺の町じゃそんなことは成り立たないので,今回の和訳にあたっては舞台が内地であると想定することで意味を通してみた.
盾のように,彼女こそがヴィクトリア
剣のように,彼女こそがヴィクトリア
彼女,つまりサイラッハはヴィクトリアを象徴するかのようだ的な意味だと私は捉えた.中でも盾と剣,すまりヴィクトリアの持つ慈愛と軍事を象徴していると言っている.
サルゴンに至る丘で迷おうとも
これも先の説明で「サルゴンはエジプトっぽい」「ヴィクトリアから遠い」としたことの理由.サルゴンに至るまでがまず遠くて辛い.そして砂漠であるとしたらそこで迷うなんてもっと辛いだろう.彼女の頼もしさを際立たせるためのヴィクトリアン表現なのだろう(エジプトの砂漠のど真ん中で迷ったらやばいよね…).
ちなみに”yon'”は少し特殊な言い回しで「ずっと向こうの~」を表す古い言葉/方言らしい.
(以下2022/12/05追記)
嵐の中だろうと動じない軍船のように
和訳した当初,私は「ヴィクトリアもまぁ船くらいあるよね~」程度にしか思っていなかった.しかし,「狂人号」によりテラの世界における「海」についての解釈が広まった.それと同時に「ヴィクトリアも海に出てたの!?」という疑問が生じた.ここではそれに触れていく.
まず……答えとしてヴィクトリアは海へは進出していないだろう.こちらの地図を見て欲しい.
この画像だと分からないが,画面右下から中央あたりにかけて,濃い水色があるが,これはエーギル陣営のエリアである.
さて,シエスタは海辺のような景観だったが実はあれは内海,または巨大な湖と言われている.画像からイベリアが細い陸地で外海と分断していることが分かる.また,海に暮らすエーギル陣営もシエスタが面しているところまでは迫っていない.
同じ内海または湖に面しているヴィクトリアもまた,本当の海(イベリア人が遭遇した海,外海)を知らないと考えられる.
また,外海まで出ていたら恐らく海の脅威(恐魚,シーボーンなど)に襲われてただでは済まなかったはずだ.そしたらヴィクトリアにとって航海は失敗の象徴となってしまいそうである.
そうはならずに,歌詞中では船を称えているのでそもそも海の脅威に遭遇したことがないと考えた方が自然そうである.まぁ見栄を張っただけという可能性もあるが……
以上,
ヴィクトリアが面しているのはあくまで内海(または湖)
海の脅威に遭遇したことがなさそう
この理由から,ヴィクトリアは海へは進出していないと私は考える.
編集後記的なもの
今回はアークナイツ サイラッハのテーマソング(?)『Towards Her Light』を翻訳して色々考えてみた.彼女らしさのある歌詞,民謡の持つ独特な安心感と高揚感があるお気に入りの一曲をより深く知ることができた気がする.
(2022/12/05 追記)
DISCOVERED TERRA 3.0により,さらにテラ世界の解像度が高まった.これにより大筋は変えていないが,一部内容を変更した.
公式がしっかりと世界観を固めてくれるのはとて助かる.
英語は不得意であったので頑張って調べつつであったのでそもそも英文法的に違っていたり,意訳がおかしいかもしれない.なにかあれば今後の和訳精度上達のためにもコメント頂けると幸いです.
読まれた方の一助になれば.お読みいただきありがとうございました!
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