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あなたとは 私は違うの・・・あなたほど酷い目になど・・・あってはいないの!

 さて、クラス内の幼少期のカースト問題、その後の様々な集団や、残念な組織における職場内での悩み、などなどを経験し、さらに家族の問題などと向き合いう中でいろんな本を斜め読みしたりしたが、差別をされた経験のある人々は、より「下」の存在を作りあうのだ、それは、構造上、よくあることなのだ、ということを知った。

(なにぶん参考文献が出せないほどに斜め読みであることはご容赦ください…。)

例えば、自分の場合は、家族から暴力は受けていなかった、と思っていた。
そのため「DVを受けたことはない」とずっと思っていた。それほど深刻なことは経験していないと思っていた。ニュースで流れるような陰惨な家庭とは、全く違うと。

つまり暴力が日常にあった家ではない、そんなに「下」ではない、という意識がどこかにあったのだと思う。

あなた(この場合はニュースに出てくるような暴力的な出来事があった人々)とは 私は違うの…あなたほど酷い目になど…あってはいないの!
と、心のどこかで思っていたのだと思う。

確かに、全員華奢で、肉体的な暴力に関しては、ジャンプ漫画を熱心に読んで、脳内では吉祥寺で不良たちとの戦いに参戦していたり、重いものを体に身につけて世界中の中華料理のような名前の誰かと闘っていたりしたが、そのくらいで、身体的な暴力とは、ほぼ無縁であった。

兄にからかわれたことに怒った4歳児くらいの私が必死にぽかぽかと兄を
グーでたたいていたという証言も見られたが、ぽかぽかと殴っても4歳児童のパンチは弱すぎて周囲でその様子を見ていた親族一同の笑いが起こるばかりで、まったく効かなかったという思い出もある。

第一人者の先生によるカウンセリングにおいて、「問題を抱えた家族の中では、身体的な暴力がなかったことは実は非常に珍しく、そのことは幸運なことだ」というようなことを、言われたことがあった。

先生:「お父さんはお母さんを殴らなかったのですか?」

私:「いやいや、そんな、うちの父はそんなタイプではなくて…。(とてつもなく華奢だし)」

先生:「ほぉ…。」

と言うようなやりとりが、あった(プロフェッショナル仕事の流儀風)。

非常に吝嗇(りんしょく)≒(ニアリーイコール)節約家≒(ニアリーイコール)けち、であった、母親によって、高額な学費はまかなわれ、父親も、比較的安定性の高いことが(地方都市では)自慢の仕事につき、定年までまっとうした。

常に120%自炊であった我が家は、お小遣い漫画が人気の令和時代の先取りのような家であった。私服はもらいものの2着程度しかなく、とてつもなく時代からズレたダサすぎる私服だったことは、大変に辛かったとはいえ、外出着とパジャマと下着用のシャツと外着用のシャツの違いはあったし、(アメトーク!の名作回「実家ビンボー芸人」を見て、今や売れに売れている芸人さんであるかまいたちの濱家氏がインナーを外に着て行っている写真は目から鱗であった)食事にも困るような貧困などは、無縁ではあった。

ゆえに、傷ついたとか辛いとか言っているけれど、それほどでもないのでハ…?

そもそも今「Everything」を得ているのだからネ…?

東京に出られる、私立の大学の学費を出してもらえるような選択肢があったなんて恵まれていたじゃないかァ…?

むしろめぐまれている面もあったよネ…?

自分でもそういうことを地元の学校の先生や、友人からも100回くらい言われてきたと思うし、そう思おうとしてきた。

世の中にはもっともっと大変な人々がいるのだから。

ほら、外国ではもっと大変なことが起きている。もっと自由でない国もたくさんあるのだから。日本に生まれてよかったじゃない。東京に出られる地方都市だったことも良かったね!

自分の受けた経験は、大したことではないのだ。
自分は家族から、暴力を受けたことなど、なかったのだと。

その思いが、心身に影響を及ぼすほどまでに悪化させてしまう原因になったと、今は思っている。後悔はしていないが、もっと早く相談できる誰かがいれば違っていたのに、とは思う。スクールカウンセラーなど、当時はいなかった。相談ダイヤルも、おそらくなかった。そもそも東京近郊に住んでいなければ、働いていなければ、夫に理解がなければ、第一人者の先生のもとへ、子供が小さいにもかかわらず、高額なカウンセリング費用をかけて通うことなどできなかった。

何か嫌なことがあったら、本当に早く、なるべく早く、外に出さなければいけないのに。実際に辛い思いを経験していた頃に、すぐに信頼のできる誰かに話していたら、きっと違ったのに、とは思う。相談できる環境はあまりなかった。

「そんなのよくあることだよ」
「あなたにも悪いところがあったのでは?」
「世の中にはもっと大変な目に遭ってる人がいるよ、あなたは恵まれている」
「まあ、あなたほど酷い目には私はあってないけど」

なんの専門家でもない人に話すと、そう言うことを言われてしまう可能性があるのだった。

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