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そもそも「カンヌ映画祭」や「ベルリン映画祭」「ヴェネツィア映画祭」などヨーロッパの映画祭の価値は、どの程度あるのか?(映画関係者にとっては凄いことだけど)

 「日本映画」とひとくくりに言っても、実はかなりいろんなジャンルがあると思う。「日本映画」はつまらない、というのはいささか言い過ぎだったかもしれないと思うが、アニメ、漫画、小説を原作にしていない、「オリジナルの脚本の実写の日本映画」が置かれている製作環境は、かなり厳しいものであるのでは、という思いをこめて、ずっと感じてきた疑問をしたためたい。

「そこまで厳しいことを言わんでも」とお思いの方もおられることとは思うが、こちとら妙にエロくて暗くて親がいない時に見たけどいつ親が帰ってくるかと気まずかった団地の家の14インチのテレビで見たカンヌ映画祭の最高賞?を受賞した役所広司主演の「うなぎ」のレンタル代を皮切りに、中学生時代のお小遣いからはじまり、今でも自腹ですべて見ているし、何の影響力もない自称ライターなので、大目にみてほしい。こちとら自腹じゃ!(©️井筒監督のコーナー。あまりにも本音でコメントを言いすぎたせいで配給会社が映像を提供してくれなくなり、手書きのフリップに変わっていった井筒監督の深夜番組内のコーナーは印象的でした)

是枝裕和監督の「そして父になる」「万引き家族」韓国の名俳優がオールスターキャストで登場するも、追いかけ合わずカーチェイスもなく、会話ばかりで繋ぐ、衝撃的な作品だった「ベイビー・ブローカー」(一度目は、キャラクターの名前が韓国名なので、誰が誰だか分からず、途中からストーリーが追えなくて完全に置いてけぼりになった。頑張って面白さを理解したくて、YouTubeの解説などを必死に見て二回見た。たまにある金曜ロードショーの吹き替え版のように、誰が誰なのか、字幕で最初に出してほしい。切実に。本当に誰が誰だか分からなかった!)など、カンヌ映画祭で賞を取ったことが、映画の宣伝においては、とても重要のようである。

情報番組で何度も何度も映し出される、監督とレッドカーペットとフラッシュ!世界が認めた!フランスが認めた!凄い!最高等級!プレミアムモルツ並!

私もカンヌ映画祭で賞を取った作品なら、面白いに違いない!と思ってまんまと見に行く観客のひとりである。

しかしながら、ここで大きな疑問がある。特別に映画好きと言うわけでも、映画雑誌を愛読するわけでもない、そうそう同じ映画を2回も見ないような、スーパーでネギを買ってネギをぴょんこと袋からはみ出させて、ちょっと時間が空いたから映画でも見ようかしらん、と思うような市井の日本人たちにとって、「カンヌ映画祭」「ベルリン映画祭」「ヴェネツィア映画祭」「ロカルノ映画祭」などなどヨーロッパの映画祭での賞をとった日本映画の価値は、どの程度あるのか。

恐らくは「それを言っちゃあ台無しよ」的な、誰も指摘できない日本の映画界におけるタブー的な問題なのかもしれない。だが、敢えて指摘したい。映画の質に関する評価を、一部の映画雑誌の関係者、アメリカやヨーロッパの一部の好事家からの評価という偏った軸にあずけ、もはやそれだけに頼っているかのような、日本映画界の作品の質(特に脚本)をはかる仕組みの脆弱さは、看過できない。映画だけではなく、日本の演劇やアートなどを取り巻く環境において「海外の本場の審査員に認められたから凄いのだろう」と思ってしまうメンタリティは、根深くも深刻な問題であると思う。

現場で日々汗を流している方からすれば実態も知らないのに偉そうに何を言うかと思われることであろうが。

私は10代の多感な時期を大学入試対策のための勉強にあけくれて、見事、英語教育に日本で最も力を入れている大学に合格し、そこでの勉強を生かして、TOEICをノンネイティブだが865点取ったものの、働き始めたところ、朝起きるなどの普通のことが全くできないために、「大変に偏った使えない人間」として、職場で多いなる批判を全方位的に受け、鬱になって失職しかけ、死にかけながら生きてきた人間である。そのため、ある特定の文脈で高い評価を得ても、その文脈を共有していない人たちのなかでは、その評価が無意味になってしまうどころか逆にその評価が仇(あだ)になる、ことの悲劇や絶望感を、骨の髄まで味わっている。

映画祭は大学入試とは根本的に異なるものではあるが、何か賞を取ろうと思ったり、何かのコンテストにおいて、上位になろうとした場合に、過去の成功事例を参考にしてそれに向けた対策を取らせる、というのは、痛いほど想像がつくのである。

最近は、あまりにも沢山の映画を日常的に見すぎたせいか(それでも見たことのない作品ばかりだが)どういうシーンを入れたらヨーロッパの映画祭で賞をとりやすくなるのか、製作に携わる人々が、その審査員の目を意識して、対策を練って作ったのでは?と言うような映画を見ることが多くなり、「この作品の製作陣は、カンヌなどの「過去問」をしっかり解いてるなあ」と思うようになった。受験脳なのである。

その観点からすると、ヨーロッパやアメリカの、少しわかりにくいが芸術的な映画を評価する映画祭において、賞を取ったり、取らせようと関係者が尽力したとおぼしき日本映画には、かなり高い割合で以下の特徴があると思う。

それらを以下に記す。

①妙〜にエロいシーンがある。

②風俗関係の仕事をしている女性が必ず出てくる。

③ヤクザやチンピラ、またそのほかやけにこわい人々が出てくる。すぐ殺し合う。

④日本語の少し古めの歌を、鼻歌や伴奏なしで肉声で歌う場面が出てくる。(これは必ずとはいわないが、かなり多い。映画関係者における、河合塾や東進ハイスクールやその他の塾講師にあたる人たちが過去問を調べた結果現れる、頻出演出だ!)

好き好きはあるとは思うが、急に古臭い日本の歌を歌い出す演出が、私は苦手である…。

⑤海辺、浜辺のシーンが必ずでてくる。

観客としては、また海辺かよ!浜辺かよ!と思う。日本の海なんてプラスティックゴミとヤンキーだらけでまるで行きたくもない場所なのに(私の地元調べ)

⑥重ための社会問題を扱う(詐欺、親子の虐待の問題、移民の問題、高齢化など)

→自分と同世代の日本人は、政治や社会の問題の話などは、空気を読めないと思われるせいか、基本誰も話さないから、映画だけで表現されても、唐突感が半端ない

⑦会話でつなぐ淡々とした映画、特撮を使わない地味目な映画が多い。

→眠い!眠いー!とにかく眠い!辛い辛いガムとミンティアと眠眠打破を映画館のロビーで売ってくれ!

⑧自然な光で撮るのかなんだか知らんけど、常に画面が暗い。

→レンタルしてテレビで見たりPC画面で見ると、画面がぼんやりしててこれまた眠い、眠い!眠いのだ!

⑨踏切、電車、ボロいワンルームアパートが必ず出てくる

→フランス人(その他ヨーロッパの審査員)は踏切、電車、その他ボロいアパートがエキゾティックで、日本的で面白いのかね。特に和室と深いバランス釜の風呂。

お金がないからそこにしか住めなかったんだけど。。(学生時代)

⑩役所広司、浅野忠信、オダギリジョー、永瀬正敏、あるいはその他、日本映画の常連とおぼしき役者さんが必ず出てくる。

→オダギリジョー以外の俳優さんは私が高校生の時からだから、ずっと変わっていない!20年以上同じって!あだち充の漫画かよ!全員、上杉達也にしかみえないんだけど!

カンヌやベルリン、ヴェネツィア映画祭を目指さないと映画に箔がつかないし、その後の宣伝にも結びつかないし、なんなら日本国内の配給にも繋がらないのであろう、と思うのだが。。。

カンヌ映画祭などなどヨーロッパ映画祭自体の価値はどれほど浸透しているのか?とも率直に、思うのである。あるといえばあるような、ないといえばないような。。

むしろそう言う芸術的な映画がとにかく苦手、という知り合いもたくさんいた。テンポが独特でセリフも聞き取りにくいし、苦手なのもよくわかる。

そこで提案したい。

カソヌ(かそぬ)映画祭やヴェネシア(べねしあ)映画祭、ベルリソ(べるりそ)映画祭、などをあらたに一般社団法人で作って、日本人の一般的な観客も面白いと思える作品が評価される賞を、日本映画に与えたらどうであろうか。

事務局には、カンヌやベルリンなどヨーロッパの映画祭で賞をとった作品を作られた偉大な映画監督、偉大な大学教授、大手テレビ局、大手広告代理店、大手配給会社等にかつて勤めたり映画評論の分野で著名な、とにかく大変に著名な人々を(70代以降)高額な給与水準で配置させるのだ。

映画祭のロゴのデザインなどは、美大や映画関連大学に勤める、かつてアメリカやヨーロッパの映画祭で賞を取ったことや、何かのミエナイチカラが働く「人脈」で正規の教授になった(主に男性の)教授の教え子たちの中で、デザインの勉強を頑張っている、やる気のある若い学生にお願いしよう!

「いつか映画業界で働きたい」と夢を持つ彼らの勉強にもなるであろうから、無料で頼もうか!なんなら少し謝礼もだしてあげよっか!QUOカードとか!図書カードとか!あれ?最近の子は本なんか読まないのかな?困ったもんだね!あとのこまごましたことは、まあ、事務スタッフの有能な女性にお願いしますよ!彼女は僕の大学の後輩だからね、彼女はデキるんだよ!頼んだよ!

ちょっと皮肉が効きすぎただろうか。こちとら、自腹なので、どうか大目に見てほしい。


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