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日銀黒田総裁と庶民との温度差

日銀黒田総裁の会見を見た。過去それほど興味がなかったが、資産の9割ほどをドルで持っているので、さすがに興味が湧いた。要旨は日経新聞がよくまとまっているので、個人的な感想を書きたい。

会見のまとめ

  • 物価安定のために、金融緩和を継続する

  • 物価上昇による低所得者層の影響は承知している(承知しているだけ)

  • ボーナスが上がっているので物価上昇は大丈夫

  • 来年は物価が落ち着く

日銀は物価安定が仕事

黒田砲とかいろいろ言葉があるので、日銀が介入し、市場を操作するのが仕事かと思っていたが、違った。記者の中でも誤解しているような質問があった。あくまで物価安定させるために、いろいろとやっているだけだ。

黒田総裁と庶民の温度差

問 賃上げを巡る環境をどうみるか。
答 夏のボーナスは高水準の企業収益を反映して製造業を中心にはっきりした上昇を示している。先行きはペントアップ(先送り)需要が顕在化して対面型サービス部門に多い非正規雇用の賃金が徐々に上昇基調が明確になっていくとみている。供給制約の緩和に伴って製造業でも賃金が上昇すると見込んでいる。

日経新聞

物価安定が仕事というのであれば、今の物価上昇率をどう捉えて、どう抑えていくのか。黒田総裁は製造業を中心に夏のボーナスが上昇しているので、今後賃上げが起きることにより、物価上昇率分を吸収するとのこと。そんなわけあるかというのが正直な印象だ。ボーナスが上昇云々の前に、ボーナスが出ていない企業がほとんどではないのか。ボーナスが出た企業から出した数字を見れば、上昇だろうが、温度差が違いすぎると感じた。しかも賃上げは日銀がどうこうできる問題ではないので、雇用主おねがい政策だ。

日銀がやることは限られている

景気を回復し、賃金上昇と物価を安定させていくのは正しいし、第一の選択だと思う。しかし、日銀ができることは引き続き金融緩和するだけだ。あと2~3年は続ける見通し。これだけ長い期間金融緩和しているのに、不景気なのだから期待は持てない。

対ドルの感想

アメリカが勝手に利上げしたので、どうこういう立場にないという感じだった。かつ、対ドルで安くなっているのは日本だけではないとも。為替レートは見ていないし、為替の担当は財務省というスタンスだった。

物価が落ち着くイメージが沸かない

来年は物価が落ち着くとの見解だが、一度上げた物価を企業がもとに戻すだろうか?需要と供給で物価が決まるのであれば、捨てるぐらい余った牛乳は安くなったのか?買って欲しいとお願いしただけで、全く安くならなかった。私は来年以降も上がった物価は下がらないと思っている。賃金が上がるのは円安の恩恵を受けている企業だけで、多くは来年以降も暗い年になると思っている。

余談

平日だったが、1万人も見ていた。普段はどの程度かわからないが、1万人はすごい人数だと感じた。私も含めて記者は為替は日銀担当という意識を持っている人が居た。あとアベノミクス政策がどうとか、責任がどうとか叫んでいた記者がいて、場違いで苦笑いしかでなかった。個人的には黒田総裁の雰囲気とか空気感とか、ノンバーバルコミュニケーション(いわゆる、しぐさ)を観察できたのがよかった。数字以上に心理戦が繰り広げられている感じがした。

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