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素敵なおじさんに会えた星月夜

高校時代からの友人2人との年に1度の恒例行事。
2泊3日の旅行、今年の行先は長野。
場所決め、観光、一番重きをおいている食事まで、各々の希望やリサーチ内容をグループLINEでミニプレゼンして旅行前から盛り上がる。

【女子3人グループはうまくいかない】と昔からよく聞くが、わたしたちはそれぞれの好き嫌いや得意不得意を補いあってうまくやっていると思う。これは誰が得意だから、とか、苦手だからとかを考えて動くより前に、なんとなくでその時々で役割がすっと入れ替わりストレスなく過ごせている。他の2人がどう思っているかは聞いてみないとなんともだが、少なくてもわたしはそう感じる。自分が面倒くさい性格だと自覚しているからこそ、10年以上友達を続けてくれる2人に感謝しているし、ありがたい存在だとつくづく感じる。

今回の旅行では、初めてグランピングを体験した。
キャンプはハードルが高いけど、初心者にはグランピングってちょうどいい。スタッフさんが何かと手筈を整えてくれるし、優しくてユニークなスタッフさん達で楽しく過ごせた。3人ともグランピングは初めてで景色やごはん、ドームテントに年甲斐もなくはしゃぎまくった。ゆっくり時間が流れていて、空気が澄んでいて、どの瞬間も写真に残した。少し間があると「幸せだな」「ずっと続けばいいのに〜」と呟いていた気がする。

なかでも思い出深かったことの1つが星を見たこと。市街地で宿泊した1泊目の夜は雨が降ったのだが、グランピングに宿泊した2泊目は天気に恵まれ、これぞ!って感じの満点の星空だった。
どれくらいの頻度で来るのか分からないが、星空案内人という方が来てくれる日だとチェックイン時に教えてもらったので夕食後に参加した。
集合場所には、望遠鏡と星空が映っているパソコンを楽しそうに操作しているおじさんがいた。

軽い気持ちで参加したこの星空観望が最高だった。

感動もしたし、結構ここ最近で一番くらい心洗われるというか、話を聞いて星を見てるだけなのに無意識のうちに涙が出ていた。泣きながら笑った。
おじさんの解説も丁寧で、わかりやすくて。
当たり前のことを言われてるんだけど、それをちゃんと理解して自分の中に落としこんでいるか、いないかでこうも違うのかと思った。もともと空を見るのはすきだったけど、こんなにいろんなことを感じながら見るのは初めてだった。たまに、人の悩みなんて宇宙から見たらちっぽけだ、みたいな言葉を聞くとそんな言葉で片付けないでよって思っていたけど、案外そうでもないかもしれないと思えた夜だった。

忘れないうちに書き留めておきたい。
といっても、思い返すとこれに感動したって言う言葉があるわけではないと気づいたので、そのとき友達が撮っていた動画をもとに振り返りながら書き連ねていきたい。記録に残してくれた友達に感謝してもしきれない。


そもそも今空を見て光っている星以外にもたくさんの星がある(当たり前だけど、文字にするとすごくチープになってしまっていやだな)。
そのとき空にはほんとにたくさんの星があって、大きい星や小さい星、色が赤っぽいものから白っぽいもの、光が強いもの弱いもの。これがあの星座で、あれは木星でって教えてもらって、それから初めて望遠鏡をのぞかせてもらった。土星には輪っかがあって、木星には横線が見えた。パソコンの方には、今見てる星の他に肉眼で見えない星がたくさん表示されていた。あれは?と聞くとすぐ望遠鏡で合わせてくれるおじさんはカッコよかった。「今見てないけど数時間後にも見える星や季節によって見える星がまだたくさん」とおじさんは教えてくれた。

「今見えてるほとんどがわたしたちがいる天の川銀河の星なんだよ」って教えてもらって。ああ、天の川って夏だけじゃないんだなあ、天の川ってほんとに川みたいだなとか、私たち銀河のなかの地球にいるんだよなあ、と思ったりして。
ちょっと馬鹿みたいというか、わたしは賢くないから、そういう普通のことを【あのときの理科の授業の一部】と生活と切り離して知識として残らずどこかにいっていた。けど、こんなにも眩いくらいに輝いていて、綺麗や素敵で片付けるのが勿体無いないくらい心に響いてくるものだったんだな、と知った。しかもそれが見えにくい日はあれど、毎日私たちの上に見上げればこんなに簡単に見られるところにあったんだなと。29年生きてきて気づかないことってあるんだな、とこれも当たり前ながら思った。

「アンドロメダ銀河は唯一肉眼で見られる銀河なんだよ」って言われて。そもそも星だけじゃなくて木星や金星見られるのもびっくりしたけど、いや、木星も金星も星なんだけど、なんか特別感というか。星だけじゃなくて銀河も見られるのか。銀河って星の集まりでしょ?すごいな、とか。

「金星が一番輝いているから見つけやすいよ」って教えてもらって、じゃあ知らないだけで今まで見上げて綺麗だな〜と思ってたのって金星かもしれないんだな、とか。なんだか、一緒なんだけど星だと思ってたけど惑星だったのかという驚きがあって。
「あれがスバルだよ。車のスバルはあの星から来てるんだよ」って。楽しそうに教えてくれるおじさんほんとにキラキラしていた。

それでね、おじさんがパソコンで今日この時間に地球から宇宙に離陸したらっていうシミュレーション映像?みたいなものを見せてくれて。それが結構宇宙に旅立ってるみたいにリアルで面白くて。
あっという間に地球が小さくなって月が見えてくるんだけど、無知すぎて恥ずかしいけど月って小さいんですね〜。あんなにお月様って大きく見えるし、明るく照らしてくれるのに、あんなに小さいのに頑張ってるなあ、なんて星相手に思ってしまったり。

そしておじさんが「どんどん行きますよ〜」ってマウスを動かして地球と月が見えなくなるくらい小さくなったところで、やっと火星やら太陽やらが見えてくるですね、もうそこでなんだかわたし泣いてました。こんっなに地球って小さいの?その中の小さい日本のそれまた小さい範囲で生活してるんだなと思った。思う前に感じたのかな?

まだまだ先があって、「冥王星はね準惑星になったんだよ、セドナとか色んな惑星がどんどん見つかってどこかで線を引くことになったんだよ、ここまでが100天文単位だよ。太陽から地球が1天文単位。」なんとも言えない感情でこの時点で我ら感嘆。

「太陽系の一番外にオールトの雲っていう小さな氷が集まったところがあるんだよ」って。オールトの雲って小説とか歌とかありそう。なんか良い響き。これも星の集まりなんだよな〜なんて思ったりした。

隣の星は1光年先に行ってもなかなか出てこなくて、わたしが聞いたことあるような?シリウスは3光年より先にあって。聞いたことあるって言ったら、おじさんが「シリウスはもう少し時間が経てば肉眼で見えるよ」って言って、え?こんなに離れてるのに肉眼で見えるの? っていう驚き。ていうかおじさん、1光年から3光年をサッとすっ飛ばしたけど、さっきの1光年までの色々が、もう2個分の距離進んだってこと?って思ってる間にどんどん進む。なんで1光年って謎に大したことない気がしてたんだろう。そもそも1光年って?ってなったところで

1光年は9兆4600億km。1光年は光が1年間に進む距離で、光は1秒間に地球を7周半するんだよ。

星のおじさん

とてつもなすぎて理解が追いつかないね。すごすぎてすごいしか言えなくなっている私たちに「もっと遠い星はたくさんあるんだよ」と、まだまだこれからだぜって感じで笑うおじさん。ほろほろ流れる涙。

北極星、スピカって聞いたことある星や、さっき見せてもらったスバルはみんな300光年先。300って…さっき見たスバル300光年?なんかもうなにがって感じだけどすごい。さっき見たのは300年前の光ってことでしょ?こんなに光ってるのに?ざっと1700年代の光ってこと?そんな時代のことを今感じられるんだな〜不思議。

おじさんあっという間に1万光年に到達。そこにとっても大きくて明るい天の川銀河がありました。銀河ってすごい、こんなに規模が大きい話なのか。驚いてた1光年とか300光年ってなんだったの?何倍かももう計算というか考えられない。このあたりで思う、あれ谷川俊太郎さんが20億光年の孤独って本書いてたな、え?20億だと??

「250万光年にいくと、さっきの天の川銀河が見えるよ〜」っておじさん。「あーもう何言ってるかわからない」ってため息混じりに呟く友達。笑うおじさん。わかるよ、わかる。
「今見えてるのは250万年前の光ってこと!?じゃあ、もしかしたら今光ってるけど、その星ないって可能性もあるってこと!?」って友達が聞いてハッとした。やっぱり違う感性の友達がいるっていいね、わたしは気づかなかったや。確かにそうか。

「1000万光年を超えると、この小さく見えてるのはもう星じゃなくて銀河なんです。さっき見た銀河がこれ1つ1つ、だから何兆個の星の集まりなんですよ」とおじさん。さっきの友達の言葉でハッとして以降ほろほろだった涙が、ぼろぼろに変わり、ここでばーっとに変わる。なんかもう鼻啜るレベル。理由は不明。

1億光年超えると銀河がもう無数にあった。まばゆいくらいにたくさん。えー!って(え)に濁点ついたような涙声が動画に入ってた、これわたしや。
友達が「わたしたちの悩みなんてどうでもよくなるね」と、大きくうなづく。「ほんとにそうですよね」とおじさん。「悩みができたらこれ見よう」って言ったわたしに、「あなたは小さい悩みがたくさんあるから定期的にこれ見たらいいよ」って言ってくれた友達、そういう分かってくれてるところだいすきだよ。
「これWindowsの無料アプリだから悩みができたら見てみてください」って言ってくれたおじさんもまとめて愛す。

「これね、どこまで行くかというと〜、宇宙ができて138億年と言われているので、138億光年までしか見られないんです」というおじさん。「しか!?」とか驚くわたし達に、夜空バックに満足気に微笑むおじさんがとってもイケてた記憶。谷川俊太郎さんのはあっという間に飛ばされてたね。

流されやすすぎ、とか、ロマンチック、で終わらせられる話だけど、熱くて優しいおじさんのおかげで何倍にも心に残る思い出になった。なんだかこんなに星が綺麗に見える日なことも、星たちにも、今日来てくれてた素敵なおじさんにも、おじさんが話してくれたり見せてくれたすべてのことにも、一緒に見てくれた友達にも、いろんな縁を感じで感謝した夜だった。疲れたら夜空とこの動画を見よう。

この次の日に、私たち3人のLINEグループの名前が【いつかまたあのおじさんと星をみたい】に変わっていて、それにもとてもほっこりした。同じ感性の友達がいるって幸せです🤟🏻



たまたま見つけてお読みいただいた方へ
見つけていただいてありがとうございます。
今日1日、いいことがたくさんありますように。
たまに夜空を眺めてみてください。