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女性は結婚する際に夫婦別姓にすべき?フェミニストが矛盾した言動をとる理由

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私が「フェミニストのジレンマ」と(勝手に)呼んでいる事象がある。

それは、「フェミニストが女性の権利を守るために(男女平等を達成するために)女性の権利を制限(侵害)すること」である。

あなたは、メディアやSNSでフェミニストやそれに類する人々の意見を見ていて、「フェミニストが女性の自由を奪っている!」「日頃の主張と矛盾した言動をしている!」と思ったことはないだろうか?

それがフェミニストのジレンマだ。

矛盾した言動を取るフェミニストを見て、「あれは"似非フェミニスト"だ!"真のフェミニスト"ではない!」と思う方もいるかもしれない。

だが、それは間違いだ。真のフェミニストらが当然の様に矛盾した言動をしている。

結婚する際、女性は夫婦別姓を選ぶべき?

"フェミニストのジレンマ"の例として、英BBCのウェブサイトに掲載されている夫婦同姓に対する意見(Why do women still change their names?)を紹介する。

まずは、英国ブラッドフォード大学の家族生活学教授サイモン・ダンカン氏の意見だ。

ダンカン氏は、改姓する夫婦がその伝統を積極的に受け入れているのか、それとも単に既定路線で守っているのかにかかわらず、「かなり危険」であると述べている。
「夫が権威あるという考えを永続させ、男性が世帯主であるという伝統を再生させるのです」と彼は言う。

この主張は、イングランド北部の会社経営者、ニッキー・ヘスフォードのような女性たちから強く支持されている。彼女は現在離婚しているが、結婚の際に前夫の姓を名乗ることを拒んだ。そして、同じようにする妻が少ないことにショックを受けているという。


夫婦同姓は"有害な伝統"であり、例え本人らに家父長制や男尊女卑の意識が無くとも、夫婦同姓を選ぶことは危険であるというのが彼らの意見だ。

一方で、ロンドンを拠点とするアイルランド人のカップルカウンセラー兼心理療法士であるヒルダ・バーク氏の意見はこうだ。

多くの場合、夫の姓に変えることは、年上の親戚をなだめるため、あるいは学校の校庭で自分のことを説明するのを避けるためなど、現実的な選択でもあり、彼女たちが男女平等を推進していないことを意味しないと彼女は言う。
(中略)
もうひとつの主張は、フェミニズムとは結局のところ、女性に自由な選択肢を与えることだというものだ。
つまり、(パートナーや社会から強制されるのではなく)自分の好きな名前を決められるのであれば、それが家父長制の規範に沿っているか、反しているかは関係ないはずだ。

大切なのは女性に"自由な選択"が保障されている事で、その選択が家父長制だろうが何だろうが無関係だという意見だ。

女性は同姓と別姓、どちらを選ぶべきなのか?

自由な選択肢を放棄してフェミニズムに殉じるか、己が自由こそフェミニズムだと主張して好き勝手に生きるのか。

これは"フェミニストのジレンマ"の典型的な例である。

数多の"フェミニストのジレンマ"

言うまでもなく、フェミニストのジレンマは夫婦の名字以外にも様々なトピックで観測できる。

例えば、男児を産み育てることもまた、"フェミニストのジレンマ"である。

「女性の政治家を増やせ!」と言っておきながら、いざ女性の政治家が出てきたら、「名誉男性だ!(←直球の差別発言)」「性別より実力だ!(←突然の正論)」と言い出すのも、典型的な例である。

"フェミニストのジレンマ"とは一部のツイフェミや似非フェミニストにのみ見られる現象ではない。

フェミニストとして有名な笛美氏や実名顔出しの北原みのり氏、大学に勤める教授であるサイモン・ダンカン氏等が主張している事からも分かる通り、"フェミニストのジレンマ"は正真正銘、真のフェミニストに見られる現象なのである。

フェミニズムは矛盾している

フェミニズムは「女性差別を無くす」「女性の権利を尊重する」という矛盾した目標・理想を持っている。

女性差別や女性蔑視を行うのが全員女性以外であればこの主張は成立する。だが、現実はそう単純ではない。

女性が女性を差別したり、蔑視する事などいくらでもある。
そもそも何が差別で何が蔑視なのかは絶対的に決まっている訳では無く、女性の間でも様々な意見や解釈が存在する。

その為、女性同士でも「女性差別を無くす」といって出てきたアイデアがそれぞれ矛盾(対立)している事がある。

故に「女性差別を無くす」「女性の権利を尊重する」という目標はしばしば自己矛盾に陥る。

しかし、"フェミニストのジレンマ"が発生する理由はフェミニズムが矛盾しているからではない。
言うまでもなく、抽象的なイデオロギーはえてして矛盾しているものだ。

"子供の権利(パターナリズム)"など典型的なものである。

怪我をしている子供が手術を嫌がる場合、親はどうするべきだろうか?

子の意思を尊重して怪我を放置すべきか?それとも子の意思を無視して無理矢理でも怪我を治すべきか?
"子を尊重している"と言える選択肢は何だろう?

1つのイデオロギーから矛盾した2つ以上の選択肢が導かれる事自体は決して悪ではなく、むしろ普通のことである。

なぜ"フェミニストのジレンマ"は発生するのか?

フェミニズムはしばしば矛盾しているが、前述の通り、それ自体は何の問題もない。むしろ至って普通の事だ。

では、なぜ"フェミニストのジレンマ"は発生するのか?

それはフェミニストが揃いも揃って反自由主義なハードコア(強硬派)だからだ。

彼女らにはケースバイケース、落し所、トレードオフ等といった概念が無い(しかし日和見主義ではある)。

常に自分らの理想以外を認めないのだ。

故に、フェミニストらは"理想"を達成するために、女性の選択肢を狭めるような提案をしたり、女性を攻撃したり、男性を憎悪しながら男性に期待をしたりと、矛盾した言動(フェミニズム)を取り続けるのである。

ジレンマに陥らないフェミニスト

こうしたジレンマに陥らないフェミニストはまず存在しない。

なぜなら、「"フェミ"ニズム」という名前からも分かる通り、フェミニズムとは女性の事を考えるイデオロギーだからだ。

性別に囚われず、多様性を認め、尊重する…そうした思想は自由主義(個人主義)やジェンダーフリー、ヒューマニズムといった思想であり、フェミニズムではないのである。

逆説的だが、"女性"を中心に物事を考え、"フェミニストのジレンマ"を引き起こす人間こそがフェミニストなのである。

もっとも、当のフェミニストらはそうした矛盾を「全て男社会のせい!」と陰謀論を主張したり、意見の合わない女性を「名誉男性」と呼び女性にカウントしない事で、フェミニズムが矛盾なく完璧なものであると考えている。

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