障害年金を知ろう
香芝市の社労士、宮永です。
今回の投稿は、以前「いつか書く」と予告?していた障害年金について綴っていこうと思います。
障害年金とは
公的年金(国民年金・厚生年金)の給付の一つです。
※公的年金の給付は大別して「老齢」「障害」「遺族」
日本年金機構「障害年金ガイド令和5年度版」
LK03-2.pdf (nenkin.go.jp)
障害年金支給要件
障害基礎(国民年金)、厚生年金ともに
①初診日 ※障害厚生年金は初診日に厚生年金に加入していること
②保険料納付
③障害認定日
以上の3つの要件が必要となります。
各要件の注意点
①初診日要件
初診日にいずれかの保険の被保険者であること、
また、初診日の確定がまずは重要となります。
請求者が思っていた初診日と、
カルテに記録の実際の初診日が異なっていることもよくあります。
②保険料納付要件
端的に言うと、未納が多いと納付要件が満たせなく、
障害年金の請求が出来なくなる可能性が高まります。
「初診日の前日において」となっているのは、
病気やケガがあったその日以降に、
慌てて保険料を納めたり、免除をしても駄目、という事です。
③障害認定日要件
原則「初診日から1年6か月を経過した日」ですが、
例外もあります。
例…人工透析を受けた場合は、透析を受け始めて3カ月を経過した日
さ行 障害認定日|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
20歳前の傷病による障害基礎年金
(いわゆる「20歳前障害」)について
障害基礎・厚生年金ともに、原則上述の②保険料納付要件が必要です。
しかし、初診日が20歳前(知的障害等の先天性のものも含む)の場合、
納付要件は不要となります。
これは、現行の法律では、
20歳到達~60歳前まではいずれかの年金に強制加入となります。
しかし、20歳未満で、まだ年金に加入していない期間の病気やケガは、
強制加入期間ではないため、納付要件は(そもそも納付していないため)
不問となります。
ただし、20歳前で会社等にお勤めで、厚生年金に加入期間に初診日がある場合は、原則の障害厚生年金の要件となります。
請求に必要な書類の注意点
必要書類はその方によって異なりますが、
主治医の診断書は必要です。
障害者手帳申請のものとは別に必要となります。
(そもそも障害者手帳と制度が別で、
手帳の等級と、障害年金の等級はリンクしていません)
いつの時点の診断書を作成するのか、も重要で、
その為に上記の「初診日」「障害認定日」の確定が必要で、
慎重に進める必要があります。
他の年金との調整
他の年金(老齢、遺族)を受けられるときは、
上記の通りの組み合わせの選択となります。
特に、65歳以上で老齢年金も受けられるときは、
「老齢基礎+老齢厚生」と「障害基礎+障害厚生」の全てを
同時に受給できない点が注意です。
【速報】令和6年度年金額改定
1月19日に厚生労働省より発表がありました。
https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/001040881.pdf
年金額(各年金のもらえる年額)及び
国民年金保険料は、
毎年この時期(1月下旬頃)に翌年度分が決められます。
これらは賃金や物価の変動で決められ、その仕組みは複雑なのですが、
「毎年1月下旬に、翌年度分が発表される」と、とりあえず気に留めておけばいいかと思います。
国民年金保険料は、
令和6年度 16,980円
令和7年度 17,510円
となります。
(国民年金保険料は、最大2年分前納できるため、
翌々年度…今回の場合は令和7年度 の保険料まで決定されます)
自分と、大切な人を守るために
公的年金といえば、「老齢年金」は知られていますが、
「障害年金」「遺族年金」、
とりわけ当投稿の「障害年金」は知名度が低く、
社労士からのより一層の啓発の必要性等、課題があります。
公的年金の不信感故に、
「どうせ、年金払っても大してもらえないやろ」
と、未納にされている方もいらっしゃるかと思います。
上述の国民年金保険料は、大きな負担となるかと思います。
しかし、未納が多くなると、将来の老齢年金がもらえなくなるだけではありません。
もらえるべき障害年金や、残された遺族に支払われるべき遺族年金が
もらえなくなる可能性も高くなります。
健康なうちは、気づかないかもしれませんが、
障害状態になったり、最悪亡くなられた場合、
本人のみならず、ご家族も大きな不利益を被ることになります。
そうした悲劇を起こさない様、
国民年金加入の方で、納付が厳しい方は、
是非、お早めに免除申請をして下さい。
日本年金機構
「国民年金保険料の納付が困難な方へ 国民年金保険料の免除・納付猶予申請が可能です!」
https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kokuminnenkin.files/LN07.pdf
免除には前年の所得等の審査があり、ご希望に添えないこともありますが、
取れるべき策をどうか取って下さい。